第267話 そういえばそんなのあったね、忘れてたよ。



 昼飯は皆で豪華に寿司を食べに行った。まぁ、回る方の寿司なんだが十分美味いしワイワイやれて楽しかったな。


 別にポイントには余裕もあるし回らない寿司も普通に行けるんだが、あぁ言う所は大人数で行くのも憚られるし、金があるからといってあぁ言う所に行っても、味が分からない程緊張しそうだったので満場一致で此方になった。


 一通り買い物も終わったので今は全員で周囲を意味もなくぶらついている感じだ。後はハトメヒトにお土産でも買って帰るとしよう。


「色々買い込んだねー」


「こ、こんなに買ってよかったのかしら・・衣服だけでかなり」


「ポイントに余裕はある、気にしなくていい」


「あんたがそう言うならいいけど」


 ソウルギアになった立川は自分のポイントもお金も持っていないので金などは全て透哉が出している。新島の分も最初は出していたが、今は定期的にポイントを現金化して渡しているので、新島自身が自由に色々買い込んでるようだ。


 しかし蘇生したばかりという事もあるのと、性格的に貰いっぱなしはあまり性に合わないのだろう。買い物が終えてからも結構ソワソワしているように見える。


 逆に透哉の方は普段通りなので、まぁその内慣れたりするだろう。彼女の事は透哉に任せるのが一番だからな。


 んでこっちはこっちで周りの人達からの視線を大きく集めていたりする。


 理由はまぁ分かりやすいだろ、俺の周りにいるサイレーン達に視線が集まってる訳だ。


 独特な服装がとても似合っているサイレーンや、歩く魅了兵器なテルクシノエー。


 すぐ後ろで山田を揶揄いつつも俺の傍を離れないショコラとクレア、何故かうーうー唸って後ろにいる片桐と、立川も含めて美女ばかりだからな。朝もそうだったが人が増えてきた昼過ぎにもなると更に衆目の視線が突き刺さる。


 透哉や山田、新島はイケメンだからいいとして、俺はただの気のいいケーキ作りが大好きなお兄さんだから、やはり違和感甚だしいだろう。


 ま、それでもナンパ等が来ないのは俺の見た目のせいなんだろうがな。土木作業で鍛えた身体とミッションで戦い続けてお陰で優しいお兄さんの中に精悍な顔つきがプラスされている、とサイレーンが言っておられましたぞな。


「マスター♪ 帰ったら買ってきた服見せてあげるね♪ 良いの見つけたんだ~」


「あ、私も気に入ったのが・・・!!」


「テルク姉さん・・・あれはダメだよ・・・あれは」


「ダメだし!? 凄い勢いでダメだし!? け、結構安くて、尚且つ機能美に溢れてたのに!?」


「安いけど機能美は・・・あったのかな半身・・・?」


「茶色いスウェットにそんなものありません」


「えぇっ!?」


 悲しいかな、前にクソダサジャージ云々をどうにかしてみたんだが、結局こういう地味というかおばあちゃんとかが用意してきそうな服を好んでいるのは変わらないんだよなぁ。


 一応俺が見てみたいと言うと着てくれるんだが、この辺りは個人の趣味だし家できている限りはもう別にいいかなとなった。外行きの服はショコラとクレアがコーディネートしてくれるからな。俺の分を含めて。


 サイレーンの服装は正直奇抜過ぎるので俺もテルクシノエーもお断りしました。そのアシンメトリーな服装が似合うのははっきり言って俺達の中じゃサイレーン位しかいないと思う。


「マスター、マスター」


 こっそりとサイレーンが耳打ちしてきた。


「際どい下着買ってきちゃったから後で見せてあげるね♪」


 おうふ・・・強い、サイレーン強いぞ。自制心を保て俺。


―PPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPPP


 と、そんな事を考えていたらスマホから突然アラームが鳴った。


 それもどうやら俺だけではないらしく、片桐、透哉、山田にも届いていた。それはつまり、ソウルギアGAMEからのミッションの連絡だろう。こんな時間に来るとは思ってなかったが、どうやら次のミッションは結構早いようだな、と思いスマホを覗いてみるとそこにはこう書かれていた。   


──────────────────────────────────────

―緊急MISSION発生! 緊急MISSION発生!

―参加は自由であり、不参加も個人の自由である。

―クリアポイント【100000ポイント】

―MVPプレイヤー【SS以上確定レジェンドレア50%チケット】

―これを参加して生き残ったプレイヤーで分割

―止めを刺したプレイヤーは更に10000ポイント獲得

―MISSION内容

―●●某所市街にて【イレギュラータワー】が発生。

―急いで向かい、塔の最上階に向かいコアを破壊しなければ

―市街に居る生命体全体が謎の毒ガスによって死亡するだろう。

―その制限時間はこの連絡から24時間以内である。

―君達は正義感でそれを破壊しに行ってもいいし、ポイントの為に向かってもいい

―そして、これは割り振りタイプのミッションだお互いに殺しあっても構わない

―それでは諸君、健闘を祈る。

──────────────────────────────────────



 頭をガツンと殴られた様な衝撃が走る。


 あの時依頼、レヴォリューション達と共闘し、プレイヤーキラーだったフェアリーズが死んだあの緊急ミッション、それが再び始まったのだ。そしてまさかのこんな時間からである。


 更に言えばミッション地点はまさかのこの市街だ。更に言えば放置してしまえば被害が尋常ではない。この市街全体が毒ガスと銘打っているが何かしらあって全員死ぬ事になる。そんなのを真昼間からやらかすなんて何を考えてやがるんだ・・・!


 失敗すれば大殺戮じゃすまないぞ、ディザスターの奴等は何を考えて・・・いや、クリアできると踏んでいるのか、それとも・・・


「そうなっても構わない・・・って事かよ・・・!」


「御堂、俺達と山田はこのまま向かう。このような外道な行い無視できるはずがない」


「ったく、折角復活したのに復帰戦から面倒臭いの持ってくるわね・・・!」


「待て、俺達も・・・!」


「いや、時間は24時間あるし、ミッションフィールドに入れば出られなくなる可能性がある。今のうちに流川や連絡のつく奴等を集めて来てくれ」


 透哉にそう言われて止められる。


 確かに今回の緊急ミッションは前回のミッションと違って、連絡すれば流川達を合流させられる可能性と時間はある。それにハトメヒトはホームに置いてきてるし連絡しておかねばならない。


 だが制限時間はたったの24時間、考えている時間は多くはない。折角の休日だったが気持ちを切り替え俺は直ぐに流川に連絡を取り始めたのだった。


―267話了



──────────────────────────────────────

久方ぶりの緊急ミッションです。

そして前回より失敗した時の規模があかんことになってます。

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