第237話 さぁ、かんていまつりだ(地獄



 取りに取り切った景品がずらりと地面に並べられている。


 いくつかは他愛もない人形が玩具や菓子類ではあるが、一部はかなりのレアアイテムはポイントが貰えるポイントカード等がそれなりの数あった。


「うわぁ、取れる奴取っただけで3万ポイント位プラスになったんだけど」


「お前さんにとっちゃラッキーイベントなだけだったなぁ」


「3万とか、1回のミッションでもらっていいポイントじゃないですよー? 芸は身を助ける~って奴ですね」


 とりあえずは手に入れたポイントを全てチャージしていく。


 獲得したのは全て片桐なので当然の権利だ。とはいえ、ディーヴァはともかく御堂に対しては少しばかり心苦しいなと感じてしまうのは性根が小市民なせいだろうか。


 電子マネーの様にシリアルナンバーをソウルギアGAMEに記入すればポイントが貰えるタイプだ。前回の時もポイントの他にアイテム等がランダムで手に入るシリアルコードが記入されたカードがあったので、その類似品か、ポイントだけのカードだったのだろう。


 それなりに数があったので、彼女が全てを記入する間に鑑定を持つディーヴァにアイテムの鑑定を頼む事にする片桐。タダでという訳ではないので、鑑定したアイテムの中で欲しいのがあれば、片桐が許可すればそれを譲るという事で調べてもらっている。


 カードとカプセルボールの運命のコインとハズレ以外は大体が小さな小瓶や中に指輪などが入っている小箱程度しかないが、それ等を調べていくうちに、少しずつではあるが、ディーヴァの表情がぐにゃりと歪んでいく。


 その表情を間近で見ていた御堂が「あ・・・」と察したような表情をする。あぁ言う場合において先ほどの件もあったので、鑑定したアイテムがゴミや低レベル品ではなく、やばいものがまぎれてたんだろうなと悟ってしまう。


 そしてやはりというかなんというか、それは大当たりしていた。


 取れたのは片桐のオーバースペック故の技術のお陰ではあるが、簡単に高レアを混ぜすぎなんだよこの野郎と内心でディーヴァがディザスターに愚痴を漏らす。


 稀にレアアイテムがでたとかならば大喜びになるだろうが、ここまで頻繁に出てくると逆に何かあるのではないかと危惧してしまうのも仕方のない事だろう。


 何かの介入でも受けているのではないかと勘繰ってしまうのものだ。


 事実介入は受けていたりするがそれに気づく事はない。


 そうして片桐がポイントチャージを終える頃には青い顔をしたディーヴァが鑑定を終えていた。その顔は本当に疲れている。普段の様子からはかけ離れたその表情に、片桐もまたやばいの引いたのかと、これまた引いている。


「あー、もしかしてまたとんでも??」


「はい、とんでもです」


「レアの混ぜ方おかしいんじゃねぇのかディザスター・・・いや、ゴミしか出ないよりはずっと良いんだが」


「ですねぇ。あ、でも蘇生薬よりは気が楽ですよー。何せ所有権は全部リバティさんのですし」


「行き成りレアばかり手に入れると逆に背筋が寒くなるんだよぉ・・・!?」


「わかる」


「僕もよーくわかります。でも、手に入れたものですしラッキーって事で。それじゃ説明していきますねー」



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【パワーエリクサー】値段:非売品 

服用すると永続的に【パワー】が1上昇する。

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【ガードエリクサー】値段:非売品 

服用すると永続的に【ガード】が1上昇する。

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【マジックエリクサー】値段:非売品 

服用すると永続的に【マジック】が1上昇する。

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【レジストエリクサー】値段:非売品 

服用すると永続的に【レジスト】が1上昇する。

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【スキルエリクサー】値段:非売品 

服用するとランダムでランクアップ出来るスキルが永続的に1段階上昇する。

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【ラージライフポーション】値段:5000P 

通常のポーションより容量が少なく(50ml)なっていて瞬時に補給しやすい。

服用すると一切のデメリット無く生命力が70%ほど回復する。

これは重症効果も即時回復できる。

副次効果で四肢切断も切断された部分があればデメリット無く回復する。

回復は即効性であり、一瞬で回復するが切断は2分ほどかけて回復するので、

その間は固定させる事。

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【ラージメンタルポーション】値段:8000P

通常のポーションより容量が少なく(50ml)なっていて瞬時に補給しやすい。

服用すると一切のデメリット無く精神力が70%ほど回復する。

魔法発動などで消費した精神力を大きくし、同時に精神力減退による

精神系の状態異常を即時回復する。発狂状態や洗脳状態なども同時に回復できる

これは手遅れ状態になった上記異常状態も回復可能。

自我崩壊や完全傀儡なども低確率で回復可能。

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【レジストリング】値段:10000P 

指輪型の魔道具。指に装着するだけで【レジスト:+5】の効果がある。

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【フレイムゲイザー】値段:18000P 

指輪型の魔道具。指に装着するだけで【火属性攻撃】もしくは【火属性魔法】の

威力や効果を【40%】上昇する。同じ指輪を装備すると効果は重複する。

別の属性の指輪を装備しても効果が相殺される事はない。

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【小さき太陽の指輪】値段:2000P ※通常購入不可能

指輪型の魔道具。指に装着するだけで、徐々にではあるが生命力を回復する。

効果量は微量ではあるが、同時に物理的な状態異常も少しずつ緩和し、何れは

回復も出来る。複数装備しても効果はない。

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【生命の護符】値段:非売品 

護符型の魔道具。所持者が即死能力や致命的な攻撃を受けた場合

あらゆる現象を無視して、それを無効化する。同時に生命の護符は消滅する。

複数所持していた場合は発動時に全てが同時発動するため、重複は出来ない。

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 合計として―


 パワーエリクサー:2


 ガードエリクサー:1


 マジックエリクサー:2


 レジストエリクサー:1


 スキルエリクサー:1


 ラージライフポーション:6

 

 ラージメンタルポーション:4


 レジストリング:1


 フレイムゲイザー:1


 小さき太陽の指輪:1


 生命の護符:2


「という感じですねー、いやぁ・・・怖いですよほんと」


「ケーキ屋・・・」


「あぁ・・・」


「やり過ぎてしまったかもしれん・・・」


「だろうな」


 下手すれば1個だけでプレイヤー同士の争いが発生しそうなレアアイテムがこれでもかと並んでいた。


 流石に蘇生薬レベルのとんでも品は無かったが、どれもこれも普通に一級品のアイテムばかりだ。ステータスブーストのエリクサーなど、欲しがらないプレイヤー等ほとんどいないだろう。


 即死攻撃などを無効化してくれるアイテムまで出ているのが更に片桐の表情を青くさせるのに一役買っている。


「えーと・・・ディーヴァはどれが欲しい? 1個上げるって約束だしな」


「正直鑑定しただけでもらっていいレベルのアイテムじゃあないんですが、くれると言うのならマジックエリクサー1個貰ってもいいですー?」


「いいよもってけもってけ。正直こわい」


「ですよねー、この後何かしら嫌な事起きる前振りじゃないといいんですけどねぇ」


「そういう事言うなよぉ!!」


 半泣きになりながら叫ぶ片桐だが、御堂達も割とそうなりそうだなぁと遠い目をしていたのだった。 


―237話了


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おまえそれ、はりきりすぎたけっかだよ?

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