第213話 全員集まったんでね! 雑談でもね!


 スピネル先生のスキル説明の後は久方ぶりにほぼ全員揃ったので宴会となった。


 折角ミッション以外ではこうやって前のメンバー全員が集まるのはあまりないので、こういう時こそ大騒ぎするものだろう。


 集まらない理由はまぁ、単純に距離とか時間の都合、後はスマホやPCでの電話やチャットで十分間に合うからである。


 流石にケーキは作ってないので、冷やして置いたゼリーなどをデザートに出すつもりだが、夕飯はテルクシノエーとサイレーンが腕によりをかけて作ってくれた。


 酒は飲みたい奴が飲む感じだ。未成年が数人いるので全員酔う訳にもいかんしな。俺と流川は飲まない様にしてる、後山崎は酒は飲まないのでそれ以外か。


 佐伯、バンカー、スピネルは未成年なのでジュースである。意外とチャラそうに見える佐伯だが、こういう所はきっちりしてて酒はちゃんと20歳過ぎてからと決めているようだ。弟たちに示しが付かないからと立派に兄貴ってのやっている。


 あぁ、羅漢とガーディアン、レヴォリューション、サリエルはそもそも呼んでいない。羅漢達はまだ外部協力者と言う立場だし、レヴォリューションはバンカーが居ないと連絡が付かないんでな。


 サリエルは後輩と仲睦まじく暮らしてるしこういう時に呼ぶもんじゃないだろう。一応連絡としてレジェンドスキルを手に入れた事は伝えておいたぞ、凄まじく驚いてたよ。安心してくれ俺も驚いてる。


 ディーヴァ? あぁうん、流石に全員集めてるのにあいつは呼べねぇよ。山崎と火花散らしそうでおっかねぇ。いや、山崎が一方的に敵視してるだけだが。


 なにせ足を洗ったサリエルもまだ最低限の会話しか出来てないからな、現在も見習いとはいえプレイヤーキラーをやってるあいつをこの中に呼んでみろ、胃が痛くなりそうだ。


 周りを見れば既に出来上がってる新島と山田が芸とかやっている。それを見てショコラとポルクスが爆笑して手を叩いてた。クレアの方はスピネルと片桐と一緒になんか話してるな。


 バンカー、佐伯、山崎の3人はこの喧噪の中次のダンジョンアタックについて真剣に相談し合っていた。やはりそれぞれ仲が良かったりで、グループが出来るもんなんだな。


「御主人様、本当に飲まれないのですか?」


「ん? あぁ、終わった後はスキルについて色々考えておきたいからな」


「御堂君、僕も良かったら混ぜてもらえますか?」


「おう、頼りにしてるぞ。俺じゃあどういうタイミングで使えばいいかわからんのばかりだからな、このスキルをショコラ達が使いこなせるかはお前にかかっていると言っても過言ではない」


「何故か急に責任重大になりましたね」


「安心しろ、成功報酬はお前が好きなケーキ1ホールだ」


「良いでしょう、事細かに説明しますよ」


「マスター、そんなんでいいの・・・?」


 隣で串カツをつまんでたカストロが呆れた顔で言うが、流川はこう見えて意外とノリが軽いんだぞ? 


「それにしても本当にレジェンドスキルが出るとは思いませんでしたよ」


「まったくだ。効果を聞く限りチートもチートじゃねぇか。でも、これってつまりよ? 【上位陣はこれがデフォルト】って事だよな?」


「えぇ、間違いないでしょうね。レジェンドスキルを持っていなくても御堂君の手に入れた神の右手の中にセットされているスキルは購入できるものも出来ないものも含めて存在しています。そして僕も【アクセラレーター】は持ってますからね」


 だよなぁ。流川ほどの熟練者なら持ってると思ったよ。そして時々見るあのとんでもない早さのポルクスとカストロ達・・・


「ジェミニの方にセットさせてるだろ」


「流石にわかりますか。とても便利ですからね。僕が使うよりも十分以上に使いこなしてくれてます」


「まー、何度も鍛錬してれば見破れるよね、割れるネタがあれば」


 気にした風もなく言うカストロ。流石にそれ以外のスキルがなにかまでは分からないが、様々な切り札スキルとかがあるんだろうなぁ。俺も出来れば色んな切り札を手に入れておきたい所だ。


 しかし、スキルが沢山あるせいで、上に行けば行くほどステータスだけじゃどうにもならない世界が見えてきたな。俺も出来る限り頑張らねぇとなぁ・・・トランスブーストもまだ完全には使いこなせてないし、一応【もう一つ】は使えるようになったが、使う場所をよく考えんと。


「そろそろ本格的に暑くなってくる季節ですね、昔はこの時期は色んな場所に行ったものです」


「キャンプとかも行ったよなぁ、肝試しとかもやってよ、こいつまったく怖がらねぇし」


「いえいえ、顔に出さないだけで僕も普通に怖かったですよ。寧ろ御堂君が普通過ぎませんでした?」


「ばっかおめぇ、必死に隠してたんだよ」


「マスターたち子供みたいなことしてるね」


「意地があるんだよ男には」


「そういう事ですサイレーンさん」


「そうかな・・・? そうかも・・・」


 え? 意地を張る場所が違う? ごもっともすぎる。相手が美少女とかだったらそういう場面だったかもしれんがな。


 基本俺と流川が駄弁る時は昔の事を話すのが通例になったなぁ。昔はこうだったとか、前はここに遊びにいったよな、とか。基本流川が遊びに来るたびに同じ事をばかり話しては馬鹿笑いしてる。酒も絡むとあの時に姉ちゃんは可愛かったなとか、でかい胸の姉ちゃんがいたからナンパしようとして二人して尻込みして出来なかったとかも色々あったもんだ。


 勿論そちらについてはお話する気は毛頭ございません。サイレーン達に白い目・・・はされないだろうが、なんかその日の内に色々な意味で物理的に襲われそうなので。まだ清いんだよ、悪いか? ヘタレですよ俺は。


「夏の海にも行きましたねぇ、懐かしいですよ」


「あぁ、むさい男二人でな。最初こそ楽しかったが、のちのち周りのカップルをみて二人して凹んでたな」


「えぇ・・・」


 男だもん、仕方ないね。


「なら今年は私達と行けばいいよね。ね、テルクシノエー♪」


「え? う、海に・・・? ご、ご主人様以外に肌を見せるのはちょっと・・・」


「純情かっ!!」


 サイレーンがテルクシノエーの胸に勢いよく突っ込む。そしてぽよんと跳ね返されるサイレーン。なんだろう、御馳走様です。


 後テルクシノエーほど純情キャラは少ないだろう。というかだ・・・


「テルクシノエーを海に連れて行ったら大惨事になりそうだと俺は思うんだ」


「あ・・・」


 スキルがなくても、例え今まさにクソダサジャージを着こんでてもこの魅力だぞ? 

それが海にで水着で現れてみろ・・・男ども立てなくなるんじゃないか? 物理的に。無論それは俺達も含む。


「テルクシノエーはハトメヒトから魚の着ぐるみでも借りるといいかも」


「なんで真夏の海で暑苦しい状況にならないといけないのよ!?」


「着ぐるみが必要と聞いて」


「呼んでません!!」


 しゅたっと現れるハトメヒトを追い返すテルクシノエー。悲しいかなテルクシノエーを海には連れて行けないな・・・プールや浴場は、いやだめだなあまり変わらんわ。と言うかだ、テルクシノエーだけじゃなくてサイレーンもショコラもクレアも、お澄まししてればハトメヒトだって周囲の男の目を普通に釘付けにするだろ。


 あっちで何故か涙目でスピネルに猫パンチしてる片桐含むあの二人もどこのアニメかラノベですか? と言わんばかりに美少女ばかりなんだぞ? 


 よく考えなくても・・・俺は凄い立場にいるんだなぁ・・・


「色々な意味で大変ですね、御堂君は」


「ははは・・・嬉しい悲鳴って奴だろうよこれは」


 

―213話了


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超広範囲男性尊厳破壊兵器テルクシノエー(仲間も被弾します

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