第189話 時は過ぎゆくとか言うと格好いい気がする

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―2月半ば



「・・・・ケーキ屋先生できました」


「お? 良い調子だな、ここは―」


「・・・♪」


 今日も晴天。


 今は遊びに来た、と言うか勉強しに来たスピネルにケーキの作り方を事細かに教えてる所だ。


 セーフハウス同士もそこまで遠くないのは知っての通りだが、スピネルはソウルギアの魔法などで高速移動などが出来るから単独でなら車よりも早く安全に移動できるそうだ。


 何でも影から影へ移動して高速移動するってタイプらしい。その制限から影がなければいけないので昼間の何もない場所では厳しい・・・と思いきや、そんな砂漠でも行かないと無さそうな場所でそんな事はないので、かなり使い勝手が良いらしい魔法だそうだ。


 後影だけなのは低レベルの内だけで、高レベルになると暗闇とか夜の漆黒でも大丈夫らしい、チートではありませんかね? ま、他の誰かを連れて行くってのは出来ないのでそこが難点か。


 引っ越してから流川達も結構何度か遊びに来ている。特に佐伯とスピネルは地下のモンスター封印室で経験を積んだりポイントを稼いだりもしてるな。


 あとサリエルも来たぞ、山崎とエンカウントして一瞬氷河期になりかけたが、山崎の方がスルーしてくれたので何ともなかった。彼女も苦笑しながら、「自分の行いの所為なので、気にしてはいませんよ」との事だ。


「・・・そういえば先生。昨日、セーフハウスに羅漢とガーディアンが来た」


「お? そうなのか? 何かあったのか?」


「・・・ん、私は参加できなかったから分からないけど、多分次のシーズンについての相談だと思う」


「気が付けば、流川がこの辺りのプレイヤーの頭役になってるな」


 独りで行動しているプレイヤーやプレイヤーキラーは除外するとして、地区・・・一部のミッションが発生しやすい街や都市の一部分を【地区】として呼ぶことが多いらしい。で、それでその地区で貢献してたりするプレイヤーはそれなりに知名度も高くなるもんだ。流川なんてその典型的だな。


 ジェミニ―


 アクセル―


 この二人が俺達の地区での有名人って事だな。バンカーや羅漢、レヴォリューションとかはそこまで知名度はないらしい。ジェミニは単純に強いし一緒に参加しているプレイヤーからすれば生きて帰れる可能性が高くなる救世主みたいなもんだ。


 アクセルは逆にディザスター絶対殺すマンとして危ないプレイヤー扱いされてて有名って事だ。後は最近だと片桐曰く【蘇生薬を初めて使った男】として有名だな。


 相手がプレイヤーキラーだったら羅刹になるから、そう言うのから狙われてるプレイヤーからすれば助けてほしいと縋りたい存在って事だ。


 勿論俺は無名である。最近入ったばかりのプレイヤーだし、ネットでは片桐が折れの情報を片っ端から消してるかららしい、あまり有名になり過ぎると面倒臭くなるし、俺としては助かってる・・・が流川達と行動してる時点で、いつかはバレるだろう。


 つっても? 俺はそこまで強くないプレイヤーだし特に問題はないだろう。強いて言えばネットでは【ハーレム野郎】とか言われてたそうだ。


 反論できなくて悲しいね。


「・・・ケーキ屋先生は前回はなり立てだから、次のシーズンは回避できない。だから流川さ、んは一緒にやるって言ってた。勿論私もやる」


「あぁ、そっか、1シーズンまともにやってれば次のシーズンは回避できるんだったな」


 普通に忘れてたが、このデスゲームまともに参加して生き残ってさえいれば、最近流行のデスゲームと違って意外と【ぬるい】


 ミッションに非参加を続けていれば片桐みたいな目にあうが、それ以外では参加さえしていれば何のデメリットも存在しない。デスゲームの情報を吹聴したとしても問題ないそうだ。ま、その場合はそれに関わってる怖い所から色々あるらしいが、ディザスター自体は不干渉との事。


 それ以外でも様々なサービスは整ってるし、最初に流川が言っていたディザスターの目的が【自分が楽しむ事】ってのは当たってるんだろうな。必死に生き足掻いて絶望する姿よりは、ミッションを楽しんでほしいって感じが時々感じられる。


 一瞬でも油断すれば即死なのは変わってないけどな。


「片桐も前回の事で次は強制だしな、どっちにしても都合がいいさ、色々頼りにしてるぞ?」


「・・・任せてくれていい」


「そりゃ頼もしい」


 俺に妹が居ればこんな感じだったのかもしれ・・・いやリアルに妹が居たら大体こんな仲良くないって聞くし、どうだろうな。スピネルみたいな妹が居れば嬉しいが。


 年齢・・・見た目で言えばサイレーンやショコラにクレアは高校生みたいな感じなので普通に考えるとはんざ・・・いや、あいつらはソウルギアソウルギア。最近攻勢が激しくてそろそろお兄さん負けそうだよ。


「・・・」


「どうした?」


「・・・頑張って?」


「はははは、パンチが効いてるよほんと」


「・・・サイレーン達とケーキ屋先生はお似合い。リバティはあれは甘やかすと依存してきそうだから注意して?」


 片桐よ? お前中学生に依存してきそうだって言われてるぞ? 言われても仕方ない気もするけどな、あいつ未だに俺以外とはサイレーンとテルクシノエー位にしか真面に会話出来ないし、ハトメヒトは存在があれなので問題なさそうだが。


 山田と新島に至っては近づこうともしないからなぁ・・・山崎は単純に怖いから嫌だそうだ。そこをショコラに突っ込まれてたな、「まーちゃんの方が見た目的には怖くない?」って。ショコラ君? 俺の見た目そんなに怖いかな?


 最近はいがぐり坊主じゃあなくなってきた俺です、今も帽子代わりにバンダナを巻いてる感じにしてる。いや、中途半端に髪の毛生えてるとなんというか恥ずかしくてな。


「・・・大丈夫、ケーキ屋先生にはギャップ的な可愛らしさがある」


「子供に悲しいフォローされる俺よ・・・!?」


「・・・よしよし」


 足元から頽れた俺の頭をバンダナの上からヨシヨシと撫でてくるスピネル、なんていい子なんや、ついエセ関西弁が出てくるほどいい子なんだよこの子は。


 流川を任せられる子はやはりこの子しかいないな。年齢の問題は・・・数年後なら多分いけるはず。てか表の立場とかもうないのと同じだから、頑張ってくれ流川としか言えない。俺は全力でスピネルを応援するぞ?  


「ありがとうな。元気出てきたよ」


「・・・ん」


「さて、ケーキ作り再開するか。あいつに美味いケーキ沢山作ってやるんだろう?」


「・・・頑張る」


 平穏で安寧な時間、だが1日1日とそれが終わる日が近づいてくる。


 それが終われば俺達はまた命を懸けた戦いが始まるんだ、次も誰一人欠けない様に生き延びたいな。流川、スピネル、片桐、山崎、山田、新島、そしてバンカー達も。



―189話了


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平穏な方が似合っている主人公(見た目怖い)でした。 

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