第188話 意外と稼げるそんな日々

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 新しいセーフハウスで過ごしてから暫く、意外とと言うかかなり過ごしやすいこの場所で日々を安寧に過ごし・・・ては残念ながらいなかった。


 


「サイレーン! 攻撃スキル!」


「任せて!! 【焦火炎】!!」


 サイレーンの指先から火炎放射のような劫火が迸る。その先には巨大なモンスターの姿があり、その炎は一瞬にしてモンスターを青白い炎で焼き尽くしていく。


 耳を劈くような断末魔の咆哮を上げ霞むように消えていくモンスターだったが、その後ろにあるモンスターコアから新しいモンスターが再び2体ほど生まれだす。


【ごぎゃああああああああああ!!】


「うっさい」


 モンスターが生まれ叫んだその後ろからクレアが持っていた短刀を全力で振るった。


 それと同時にモンスターの首筋に閃光が走り壊れたおもちゃの様にずるりと首がズレ落ちて死亡した。普通に考えればクレアが握っている短刀を振るった程度では切断する長さもないのだが、そこはスキルと純粋なステータスでの魔力伝達による魔力の刀身がなんたらというが、よくわからん。


 そうして生まれたばかりのモンスターは死亡し、もう一体のモンスターは俺の隣でショコラが氷属性の魔法を放ち、一瞬で凍らせ砕け散らせた。


 そこには一体のモンスターもいなくなったが、ドクンドクンとコアが鼓動し再びモンスターが生まれようとしている。


「ふむ・・・意外と復活するスピードが速い、これはそれなりに油断はならないか。やはり我必殺の、おにぎりスプラッシュが必要になるかもしれぬ。おにぎりスプラッシュとは、焼きのりとお米を用意し、そこにおにぎらずの容器を用意した後、そこにパイン、バナナ、きゅうり、いちご、パパイヤ、そういえばパパイヤって近場でそうそう売ってなかったりするな」 


「まじめにやりなさい!?」


 叱られるハトメヒトを脇目に次に湧いてくるモンスターの為に準備をする。


 今俺達は、鍛錬という事で地下のモンスターが発生する空間で発生率最大の状態でモンスター討伐を続けているのだ。


 最初こそ結構簡単にやれると思ったが、初日からやり始めてた山崎から教えてもらったが、普通に初期ミッションのモンスター出現数並に出てくるのだ。


 この部屋をカスタマイズしたおかげで、というか所為で。モンスターの出現率を極端に高めたり、逆に低く出来たりできるようになっているのだ。


 今の俺達はちょうど中間あたりの出現率で鍛錬を続けている。これでもかなりの速度でモンスターが出現するのだ、寧ろ今までこれでよくも破綻しなかったなと思うが、そこはカスタマイズの結果で、普通ならかなりの時間で1体出て来て、3体で止まる感じになっているから大丈夫だったようだ。


 今は、ほぼ制限はなく、3分に3~7体が定期的に湧いてくる感じになっている。出てくるモンスターもレベル1からレベル3のモンスターが出てくる感じだ。


 レベル1~2なら雑魚だがレベル3にもなると少々時間がかかる。難易度と出現率を上げるとレベル4も出てきたって山崎が言ってたから、下手すりゃやばいよなここ。


「そろそろ出てくるね、今どれくらい斃したかな??」


「ポイント的には700くらい増えてるから最低でも100は倒してるぞ」


「わぁ・・・凄い戦ってるね私達」


「でも、この程度なら安全に戦えるわ。次のシーズンまでに私達の戦いの仕方を学んでいきましょう?」


 テルクシノエーが俺達の中で一番やる気だ。


 指揮命令がいつどんな時でも冷静に出来る様にするためにはここでの経験はきっと良い影響を与えてくれるだろう。


「ごしゅ、出てきたよ? レベルは2、後は1が3体」


「OK! んじゃ気張っていくぞ!」


 俺の激励に全員が大声で返した―――






 





―片桐視点



 今友樹達が地下の施設でモンスター討伐中。


 アクセル達はまぁ、討伐の鬼だからわかるけど、友樹も熱血系な感じだから今頃頑張ってるんだろうなぁ。


 私はそう言うのは遠慮したい・・・ポイントは欲しいから軽く稼ぎたい時に手伝ってもらおうかななんて思ってる。


 新しいセーフハウスのこの部屋は完全に私の部屋だから気が楽でありがたいよね。あそこだと一応ジェミニの家だし少しだけ息苦しかったから。


 ここなら全員の共同のセーフハウスだから私も堂々とのんびりできる。まー・・・ニートするのは適度にするけど。今友樹達に見放されたら私詰むからね。


 それに、色々教えてもらって私なりの戦い方も出来るようになったし、友樹達と一緒に戦う限りじゃ前線じゃなくて後方での支援で行けるから助かってる。このまま出来ればずっと一緒にやっていければいいな・・・そのためにはちゃんと貢献しないとかぁ・・・


 アクセルの方は割とどうでもいいし、あっちも私の事はあんまり気にしてないからお互い基本は不干渉。新島とハルペーは友樹の所のショコラやサイレーンにお熱だから私なんて眼中にもないみたいだ。


 ま、あんな美女と比べられたら私なんてどこにでも居る普通の女性だもんな・・・友樹は可愛いんだからちゃんとしろって言ってくれたけど。そか・・・私ちゃんとしてれば可愛いのか・・・そっか。


 なら、少しだけ頑張ってみようかな。


 流石にサイレーン達みたいな格好とかは出来ないけど、それなりに女性の魅力が伝わる服装とか、調べてみようかな。私は基本ゲームとかそういう事しか考えてこなかったからその辺全然わかんないんだよね。


 かと言ってオシャレの最先端みたいなショコラ達には気後れして話し掛けられないし・・・友樹は男だしそもそもセンスは私レベルで皆無だからドングリの背比べです。


 ネットで調べても最近の服装とか云々が出てるけど、これが私に似合うかって言われればなぁ・・・似合うのかな? 


 あー・・・うん、それはゆっくりでいいや。


 今は友樹に頼まれた事やろう。えーとディーヴァねディーヴァ・・・てかプレイヤーキラー専用のブラウザとかあるのかよ。いや、考えればあるに決まってるよな。私でも見つけられなかったって、かなりの隠蔽力だよな・・・いや、興味なかったのもあるけど。


 今は仲間? になったプレイヤーキラーのサリエルからデータ貰ってサイトを流して読んでる、同時に掘れる限りの全ログを調べ中。結構な量があるけど、覚えるのは楽ちんだから、この程度は面倒でもないね。


 ディーヴァの情報も獲得済み、リジェクションってここでもイキってたんだなぁ・・・そりゃ嫌われて当然だよね、性格も悪かったし。


 で、ディーヴァの危険性は、セーフ寄りのアウトかな。こいつの師匠とやらがかなりやばい・・・なんだよ観測できてる時点でレベル7以上って・・・ジェミニでも漸くレベル5なのに、これに敵対されたらほぼ確実に詰みじゃん。


 ただ、私達の中で狙われそうなのはジェミニだけだね。仕事としてプレイヤーキルをしてるらしいけど、どうにも【強い相手】じゃなければ食指が動かないみたい。そうなるとうちだとジェミニ位しか引っかからないしね。


 友樹もアクセルも強いけどレベル4程度じゃ話にもならない感じかな。


 これを考えれば一応弟子?であるディーヴァと敵対しなくなったのはよかったのかもしれない。もし敵対したままでディーヴァを斃したらこいつが出てくる可能性もあるし。


 多分この師匠っての、ディーヴァの事大事にしてるのが分かる。いまだにディーヴァが見習いとしか見なされてないって多分、実力云々よりやらせたくない感がバリバリしてる。ま、どうでもいいか。


 他の危なそうなプレイヤーキラーの情報も引っこ抜かせてもらおう、サリエルには感謝かな、これで敵対するプレイヤーキラーの居場所とかもうまくいけば見つけられる。そうすれば私や友樹の安全が高まるし、最悪はこっちから打って出られる。


 相手のデータさえ見つけられれば、その気になればウイルス流し込んでソウルギアゲームズを破壊する事も出来る様になったしね。それでステータスが下がったりする訳じゃあないけど、戦闘中や戦闘前にそれをされれば相手も困惑するだろ。


「頑張れば・・・褒めてくれるって・・・嬉しいよな」


 私の人生あんまりいいもんじゃなかったけど・・・


 今は今までに比べればずっと、ずーっとマシな気がする。


 友達が、安心できる場所が出来たからかな。


 なら、それをなくさない様に頑張らないと・・・それだけだから、別に褒めてもらいたいとかそう言うのじゃあないから。



―188話了


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片桐氏 服に目覚め・・・なかった模様。

 

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