第183話 プレイヤーキラーの全員が悪い奴な訳、ありますよね

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現在体調がかなり悪いのでいつも以上に短いです、申し訳ありません。

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 予想外も良い所の話だった。


 目の前の二人がプレイヤーなのは100歩譲って良しとしても、まさかプレイヤーキラー側だとは思わないだろう、超能力者とかじゃあないんだぞ俺は。


 というかマズイ、ここで二人が襲ってきたら俺には対抗手段がほとんどない。これなら最低限ハトメヒトでも連れて来ていればと思ったが、別にこちらを害そうという感じには思えない状況だった。


 何にせよ今の俺は二人からの話を聞くしかないだろう。下手に逃げれば面倒になるしな・・・しかしショックが激しい。


 目の前のゴスロリ少女がプレイヤーでプレイヤキラーなのはまぁ、そういう可能性もあると思ったが、後輩の彼女さんがそっち側なのは精神的にダメージがある。


 関係はしてないとは言うが、なんというかな。


 もしかしたら理由があってそっち側に居る可能性もあるし・・・と言うか待てよ?


「もしかして流川を襲ったプレイヤーキラーって・・・」


「たははは、はい、僕ですねー」


「っ!?」


 一瞬激昂しそうになったが気合で抑える。ここで怒鳴ってもどうにもならん。


 あいつが表の仕事を辞めざるを得ない状況になったのは、俺の責任もあるって事なのか・・・


 大きくゆっくりと深呼吸をする。


 ここで怒りに任せては全て無意味になる。ガキじゃあねぇんだ、目の前の二人がどういう理由で俺に話を持ってきたかなど、どういうつもりかなど、しっかり聞かないとならん。


 一瞬目を閉じ、そこまで考えた俺は改めて二人の話を聞く事にした。













「彼女さん・・・そんなうちの片桐みたいな・・・」


「ぐっ・・・正直やり過ぎたとは感じています」


「ほらあれですよ、ネット弁慶って奴ですね!」


「お前はフライドチキン食ってろ」


「ちょっ!? ひどい! 食べますけど」


 どこまで信用していいのかはわからんが、彼女さんの方はプレイヤー名【サリエル】って名前で行動してるらしい。


 プレイヤーキラーになったのは、自分自身がプレイヤーキラーが襲われたのを返り討ちにして、自分が狙われないようにするためには自分自身がプレイヤーキラーになればいい、それも狂人的な振りをしていれば巻き込まれる可能性も減るだろうという、毒をもって毒を制すみたいな感じでやっているらしい。


 まだほかにも何か隠していそうな気がするが、基本的に普通のプレイヤーは狙わないという矜持があるとか。


「彼に・・・迷惑をかけるだけにはなりたくないので」


「ベタぼれですねー、格好良いんです? 彼氏さん」


「か、格好良いとかは、どうだろう・・・私には最高な人物というだけかな。ほら、私って微妙に男っぽいだろう? そんな私を普通に女性として扱ってくれるし、基本的に優しいし、仕事は真面目で頼りになる。生活面でも私が体調不良の時とかは率先して手伝ってくれるし、実は生理が重い方でね、スキルで緩和しても辛いんだけど、そんな時は彼は仕事を休んでまで看病してくれてさ、あぁ、何と言うか出会ってよかったなんて―」


「あ、はいもういいですー」


「ご馳走様御馳走様」


「え? まだこれからなんだが・・・」


 惚気る惚気る。飲んでるブラックコーヒーが駄々甘コーヒーになりそうだわ。と言うかやはりと言うかなんと言うか両想いを遥かに超えて、彼女さんベタ惚れを通り越して病み属性も混ざっていないだろうか? 時々目が怪しかったし。


 てかそれで時々あいつ仕事を休ませてもらってたのか。あの業界暇な時は結構簡単に休ませてくれるが、忙しい時に抜けられるとほんときつくてな、その分アタリも強くなるので、出来る限り休まない様にとは言ってたんだが、あいつは真面目な顔で「仕事よりも大事なものがあるんスよ」と親方に直談判しに行ってたしな。


 だがそれが彼女さんの看病の為なら立派な奴だ。


 たまに居るんだよ、ただ遊びたいとか休みたいだけの理由で休みとってこようとする奴、最悪な奴なんか数日無断欠勤したあげく何食わぬ顔で戻ってきた奴がいたほどだ。たまにいるんだよなそう言うのは・・・


「凄いなー、ヤンデレって奴ですよね」


「そこまでは言ってないと思うが、愛は重い方だろうな」


「?? 普通だと思うんだが??」


「ナイナイ」


 俺とゴスロリが揃って手を振る。


 何と言うかこの辺は本当に気が合うんだよな、なんでプレイヤーキラーやって流川を襲ったんだこいつは。


「という訳で、やるつもりはなかったんですがアクセル。貴方の仲間を襲うというレスを書いてしまって、それに同調した奴をどうにかしようとして相談したかったんですが、そこで―」


「僕がばばーんと来た訳ですよー」


「寧ろなんで来たんだよ・・・」


「そりゃあ、このままじゃケーキ屋さんとも敵対しそうですし? 折角おいしいチキンデートもした仲なんですから仲良くしたいじゃないですかー」


「流川は、あんたのせいで仕事を辞める事になったんだがな・・・」


「でも、あそこで僕が代わりに行かなかったら、複数のプレイヤーキラーが表の会社の人達を人質に取ったりしてもっとひどい事になってましたね」


「っ・・・!?」


 チキンをぱくぱくと食べながらも、ゴスロリ・・・【ディーヴァ】はその時の状況を事細かに説明しだした。


 まさか又聞く事になるとは思わなかったが、ディーヴァが流川を襲う事になった理由はあの【リジェクション】が流川の暗殺を依頼していたからだという。


 ディーヴァは自身曰く、まだ見習いとの事で、依頼が飛んできたのは師匠という仕事人タイプのプレイヤーキラーだったが、興味がないの一言で切り捨てたらしい。


 だがリジェクションとしてはそれでは困るし、断られたら他の複数のプレイヤーキラーに依頼を通す事になる可能性が濃厚で、それならばと、個人的にリジェクションを嫌っていたディーヴァが、将来のプレイヤーキラーになる為の練習がてら、ついでにリジェクションに嫌がらせするために、「警告」という事で仕事を受けたという。


 つまり、あの時襲ったのは流川に表に居たままでは面倒な事になるからそれに対する警告とリジェクションへの嫌がらせの為だったという事か。


 確かに結論から言えば、あれで流川は仕事を辞めて足のつかないセーフハウスで暮らす事になったし、表の会社や親類縁者などに被害はない。


 あれがディーヴァじゃなかったら、どこかしらに被害があった可能性があったかもしれないって事か。


 どこまで信じていいか分からないが、事実現状がそうなっているし完全に敵対しているのならわざわざ状況をどうにかしようとやってくる事はない・・・のか?


 ますますハトメヒトあたり連れてくればと思う。俺では目の前の二人がどこまで嘘を言ってどこまで真実を話しているのかさっぱりわからん。


 俺は流川達と違って頭で何とか出来るタイプじゃあないんだよ。ってかそれを知ってて呼び出した可能性すら考えられるんだが・・・


「あ、別に取りなしてくれれば呼んでほしいとかは言いませんよー。正直な所敵対したくないだけでジェミニさんには欠片も興味ないので」


「おいおい・・・」


「いやぁ、強かったですし敵対したくないだけで、仲良くしたいとかは考えてないですからね、多分思想的に合わないですし? でもあの人と敵対するとお兄さん、ケーキ屋さんとも敵対になるでしょう? 折角のチキン大好き仲間を減らしたくないなーって」


「だから俺等はあの時少しであっただけだろうが」


「いちごいちごって奴ですね?」


「それを言うなら一期一会というんだよ? それも意味合いが色々違う」


「くっ・・・サリエルさん頭良いアピールですか!?」


 ぎゃわーと吠えるディーヴァのその姿に何かあくどい事を考えている感じは見えない。それは彼女さん、サリエルの方もそうだ。


 出来れば俺としても彼女さんの方は疑いたくはないが、ディーヴァはなぁ・・・悪い奴には確かに見えないんだが。


「今すぐ答えはだせん、仲間内で相談してもいいか?」


「いいですよー。寧ろお願いします、今日行き成り決められたらお兄さん大丈夫ですか? っていう所でした」


「ぐあ・・・こ、こんのガキンチョ」


「ふっ、時代は小悪魔系ゴスロリなんですよ♪」


「私の方からもお願いします、この後を考えればいつまでもプレイヤーキラー側にはいられない。信用できる仲間が居なかったせいもあるけれど、彼が信用している貴方なら、私も協力は出来ると思うので」

 

 問題はアクセルか・・・流川はこういう時はすんなり行きそうだからな・・・


「期待はするなよ?」


 今の俺にはそこまで言う事しか出来なかった。


―183話了


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時間があるって・・・いいですね(しみじみ

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