第157話 さーて蘇生薬蘇生薬、どうしよっかな?

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 ちゃぽんと音が鳴る。


 小さな瓶に入っている虹色の液体。

 

 それは世界が求めてやまない最高の秘薬ともいえるだろう。


 【蘇生薬】


 ソウルギアGAMEにおいてすら最高峰のレアアイテムの一つ。


 様々な制限があれど、これを用いる事で人を蘇生させる事が出来る最大級の薬だ。浅ましい欲望の化身達からすればどれだけの財産を投げうってでも欲しいと願うだろう。


 それどころか権力や力に物を言わせ奪い取る事も吝かではない。


 そして大体は後悔する事になるだろう。何せこの薬は【ソウルギアGAMEプレイヤー】しか蘇生出来ないのだから。


 永遠に等しい命が欲しいというのに、明日の命すら危ぶまれる世界に足を踏み入れるような奇特な権力者等は早々居るものではない。


 そんな伝説的な秘薬を雑に振っている姿はそれを欲している物からすれば驚愕の日所だろう。


 とはいえ持ち主にとってはそこまで魅力的なアイテムではないので仕方ないのだが。


 前回のシーズン外でのダンジョンアタック中、宝箱からなぜか出てしまった一品だ。他のプレイヤー達は挙ってこれを奪い取ろうとしてお互いに殺し合いになり結局まったく関わらなかった所持者だけがこれを手に入れるという皮肉になってしまったが。


 所持者も実力者とはいえ、まったく未知のタイプのミッション。それも6人編成を主軸にしているような場所で一人で何とかなるとは思っていなかったので早期に撤退してさっさと逃げてきたのだ。


 一応ダンジョンの構造とやりたいことはわかった。メインのミッションでやられたら面倒ではあるが、今回みたいなフリーでやるのならば参加するなりしないなり適当でいいタイプだろう。


 それはともかく、手に入れた蘇生薬。売るには少々勿体ない。


 かと言って使う相手もいないので宝の持ち腐れだ。これを手に入れようとした愚者たちは自らの愚かさゆえに死んだのでこれを持っている事を知っているものはいない。この前掲示板で騒がれていた蘇生薬とは違いまったく知られていない一品である以上、何かに使えるのは確かだろう。


 掲示板には蘇生薬とのトレードを希望するスレッドがいくつか建っている。大体が割に合わないものばかりのなか、ひと際目をつくのは自分が持っている装備よりずっと強力なレア防具との交換希望依頼。


 そのアイテムの事は知っている、生涯貯めたとしても集まるのは難しいだろうレベルの1000万ポイントというとんでも装備だ。だがこれがあれば簡単なミッションだけ参加するのならば絶対に死ぬ事はないだろうと言えるほどの神器。


 雑魚を無視してもいいそれは持ち主としても気になるアイテムだ。その情報が詐欺でなければだが。


 匿名掲示板と言う事もあり、実際にトレードするまではお互いの名前の情報も分からない。いざ呼び出しておいて騙して悪いがと襲われる可能性もある以上、直ぐに飛びかかるほど焦ってもいない。


 まぁ、これが詐欺だった場合でも返り討ちにする実力は十二分に備えているのだが。


「どうしようかなぁ・・・」


 女性とも男性ともつかない中性的な声が漏れる。


 その見た目はまるで最近はやりのVチューバーかアイドルかと言ったようないでたち。ツインテールの髪が張りよく流れている。


 彼? もしくは彼女。御堂に道案内をしてもらい、流川を襲ったプレイヤーキラーの一人、いやプレイヤーキラーの卵である【ディーヴァ】が蘇生薬を手に入れていたのだ。


 あれから師匠である男に多少呆れられたが、目的は果たし、割と目障りだったリジェクションは死亡した。今だプロのプレイヤーキラーを名乗らせては貰っていないので依頼は受けていないが、プレイヤーとしては普通に活動している。


 普段はポイントに物を言わせ普通の装備などでミッションを戦い、ディーヴァは使用していないので見た目は地味目で戦っていても目立つ事はない。さまざななプレイヤーが居れば衆人の中に紛れてしまうような感じだ。


 実は前回のダンジョンアタックミッション時に御堂や山崎を見つけて驚いていた利もする。勿論気付かれてもいなかったが。


 蘇生薬をぷらぷら動かしながらスレッドを見る。


 このレアアイテムを用いた蘇生薬のトレードはつい最近建ったばかりだ。


 そして前回のミッションをクリアしたのはこの前蘇生薬と手に入れたと一時期騒がれていた山崎ことアクセル。


 そのアクセルがクリア報酬として最高級の武具を貰っていた。


 時期的にはあっている。アクセルがこのスレッドをたてた可能性はとても高いだろう。前回の蘇生薬も既に使ったのか分からないが、どうやらアクセルは蘇生薬を複数個求めているようにも見える。


 だからこそこのクラスのレアアイテムを惜しげもなくトレードに出しているのだ。


「んー・・・」


 だが正直な話、それがディーヴァにとって何の感情もわいてこない所だろうか。それなりに強いプレイヤーなのはわかる。だが師匠の様に食指は動かない。


 そもそも仕事以外で相手を殺す理由もないし、協力する理由も、助ける理由もない。流川の時はリジェクションの邪魔をしたいからというのとプレイヤーキラーとしてこれからやっていけるかのテストでもあった。


 お人好しとは訳が違う、ディーヴァにとって他の誰かを助ける意味はない。報酬での交換なら請け負うが、レアアイテムとのトレード、少々ほしい気もするがそこまでしてほしい物でもない。


 ただし・・・


「あのお兄さんプレイヤーだったんだなぁ・・・」


 それもアクセル達と行動を共にしていた。


 思い出すのは地図の読み方もわからず道に迷っていた所を善意で助けてくれた事、意外と面白いし、話も楽しかった事。


 プレイヤーと知ってもそれは変わらない。別に殺そうとも思わないし、どうこうしようとも思わない。


「アクセル・・・ちょっと調べてみようかな」


 きまぐれだ。


 ディーヴァにとってこれはただの気まぐれ。シーズン外だからこそ自分のやりたいようにやる。尊敬する師匠がまさに自由にやっているのだから、それをリスペクトして何が悪い。


 御堂との関連や、アクセルが蘇生薬を求める理由、様々に調べ上げた上で・・・もしお眼鏡にかなうのであれば、蘇生薬と交換してやってもいいかなと、上から目線を維持しつつもカタカタとパソコンを弄り始めた。


 きっかけは御堂との関係ではあるが、それがアクセルにとって吉と出るか凶とでるか・・・それは今の時点では何も分からない。


  

―157話了



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久々登場ディーヴァです。

出した理由は特にありません、しいていうならば文字数稼げるから・・・??

まともに書いている時間がないので、少しでもいいから短くてもいいから

頑張ってます。

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