第154話 たまにはケーキ以外で。

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 だが断る。とどこからか電波みたいなものがやってきた午前9時、今日も今日とて暇だったので、久しぶりにケーキではなく違うデザートを作ろうかと考えたので準備中だ。


 ケーキ以外となると思い付くのはプリンやクッキー等が定番だろうか、ババロアとか昔良く聞いた事があるがそもそも実物を見たことがないにので良くわからん。


 と言うわけでキッチンにはいつものメンバーとしてスピネルにテルクシノエー、サイレーン。


 特別ゲストとしてアクセルに用事があってやってきたバンカーをつれてきております。


「あ、あのお菓子作りとか家庭科の授業でやったくらいしか。それも只の手伝いでしたし」


 なぜここにいるのか理解出来ていないバンカー君ではあるが、こういう菓子作りは皆でやるのが楽しいので不参加は拒否する。


 ことケーキ作り等においては俺は夜叉なのだ。両手にケーキを持っている夜叉を想像したら吹き出しそうになったが。


 暇潰しと言うことで、ショコラ達も来ている。主に見学だけだがいつか興味を持つようになったら1から改めて教えてやりたいもんだ。


 俺のソウルギアなのだからケーキ作りのポテンシャルはきっと高いはずなのだ、まずは最低限の知識を学ぶところからはじめてもらいたい。


「…ケーキ屋先生、他の菓子も得意?」


「ケーキほど得意って訳じゃないが、クッキーにプリン、マシュマロ位なら俺でも作れるぞ」


 寧ろケーキを作るより楽だしな。マシュマロは最初は良くミスしたものだが、今ではケーキの次に得意でもある。作らない理由はマシュマロ作るよりケーキを作って食べたいのとバレンタインのお返しとして考えたのだが、そもそも俺にチョコをくれるやつなんていなかっただけだ。


 言ってて悲しくなったが、今年は出番があるかもしれないので今日は思い出しがてらそれらを全部作ろうと思っている。


「マスターのレパートリーが果てしない件について」


「はいはい。で、お前たちは何を作りたい?」


「マスターとのべいびー」


 どや顔で言うサイレーンさん。違うから、今日は菓子作りだから。菓子から菓を抜けば子作りですねってやかましいわ。


 結果、スピネルがクッキー。


 サイレーンとテルクシノエーがプリン。


 俺とバンカーでマシュマロ作りとなった。


 基本誰も作り方がわからないので俺が皆に作り方を教えていく。勿論俺自身もマシュマロ作りながらな。こっちはバンカーに教えつつやればいいのでらくちんである。


 プリンとクッキーもケーキと同じく最初の一歩に勇気が必要なだけで、作り方は正直とても簡単だ。

 

 ケーキ作り等で慣れているスピネルは俺が軽く教えただけで後はてきぱきと作っている。


 サイレーン達も普段の調理のお陰でこちらも慣れたものだ、俺が他の奴を教えているときは本や動画等をみて作っている。


「ごしゅって、こう言う時が一番輝いてるよね」


「まーちゃんはほら、見た目詐欺だし?」


 誰が見た目詐欺じゃ。


 いや、うんつい突っ込んだがショコラの言う通りなのがなんとも言えん。髪の毛を剃るのをやめたからスキンヘッドではなくなってきたが、今度は見た目にそぐわぬいがぐり坊主になってるからな。


 ちなみに流川含めほぼ全員大爆笑していた。片桐とクレアなんてひきつけおこしかける位わらってたからな。テルクシノエーからハリセンを借りてどつきましたが何か?


 それ以降は基本的に外に出るなら帽子、普段は覆うようにバンダナを巻いている。これはこれでつぼなのか皆笑ってたがな、畜生。


「好き好んで戦いなんてしたくねぇからな。俺は平和主義者なんだよ」


「ショコラも同じー。戦いとか疲れるだけだしね」


「寧ろあーしは普段から遊んでたい」


 せめて身の回りの片付けくらいはしような? いつか片桐みたいになるぞ、というとひきつった様にこれから真面目にやるますと敬礼していた。


 隣ではショコラも同じくだ。片桐ぇ…


「……クッキー作り、楽しい」


「お、そうかそうか。スピネルはやっぱり才能があるな」


「…才能?」


「あぁ。作り手の才能ってのは『それを楽しめる』ってのがあると思うんだ。誰かのために、自分の為に、どんな理由だろうと、その工程を楽しめるからこそ、上達するってやつだ」


「…………成る程。ケーキ屋先生は深いことを言う」


 そんな手放しで誉められると恥ずかしいんだがな。でも諺に「好きこそ物の上手なれ」とある以上、俺の考えはそう突飛なものじゃあないと思う。


 事実俺はそれでここまでケーキ作りが得意になったからな。皆にもこの作業を楽しんでもらえたら嬉しい。


「御堂さんは、凄いですね」


「ん? どうしたバンカー急に?」


「いえ、僕にはそう言うような大事な何かをまだ持ってないので。御堂さんみたいな人は尊敬します」


「別にそんな凄いことじゃあないさ。バンカーにもいずれそう言うものが出来る。お前さんなら必ずな」


 家族のために一人命を懸けて戦っているような立派な男だ。俺のほうこそバンカーや佐伯達を尊敬してる。俺が中学の頃なんて只のガキだぞ、命をかけた戦いなんて想像の中でしかしたことないわ。


「あ、はは。頑張りますね。あ、ここからはどうすればいいんでしょうか!?」


「あぁ、ここからはなーー」


 こんな感じで今日の時間が過ぎていく。この平穏がいつまでも続けば嬉しいんだがね。


 あぁ、皆で作った菓子は大好評だったぞ。


 また、時間が有るときに作ってやるか。




ー154話了


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仕事の待機中に書きました、今日のおしごとは24時間を越えて明日の昼までの36時間になるそうです。

周囲は暴風のホワイトアウト。雪崩が発生しての大惨事。いつ帰れるのかわかりませんが、頑張って来ます。

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