第152話 みどうさんちのはとめひとちゃん(みため9さい)
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明日は猛吹雪です。
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女神ハトメヒト
御堂の現時点最後のソウルギアであり、他のソウルギアと違い何かしらの記憶を有している可能性のある少女。
戦闘能力はそこまで高くないが、なぜか増えるという謎現象により、例えハトメヒトが死んだとしても次のハトメヒトが主人格を獲得しリターンする。
その総数は不明。現時点でもって一定時間で1体ずつ増えているらしく総数を数えるのは難しいとのこと。普段は召喚前状態となり基本的に現実世界に存在するハトメヒトは一人になる。色々やらかす時は沢山増えるが一瞬で消える。
深紅の様な長い髪の毛をツインテールにして青色の魚の顔をした小さな帽子を被っているのが基本的な状態。時々被っている魚がカツオになったりサンマになったりシャケになったりカツオノエボシになったりエチゼンクラゲになったりするが理由は不明。
見た目は9歳児位の美少女で、スピネルを遥かに超えた無感情そのものと言った表情からどちらかと言うと幼女の様にも見える。
性格は突飛というか、混沌を巻き散らすような理性を持つ精神破綻者の様なふるまいをするが、その言葉を良く聞いていると意外とまともな事を言っている。それ以上にどうでもいい事を叫んでたり、踊ってたりしているので本気ととられないのだが。
そんなハトメヒトの一日は外での体操から始まる。
毎日の日課としてラジオ体操をやっている御堂の隣で小さな体をちょこちょこと動かしている姿はとても微笑ましい。
・・・最初の30秒位は。
ある程度運動をしているとそろそろ混沌を我慢できないのか、急にフラダンスになったり佐渡おけさになったり、ムーンウォークしながらバック転しはじめ最後にテルクシノエーにハリセンでどつかれて地面とキスをするのが日々のお約束である。
寧ろテルクシノエーにどつかれるためにやっている感じがあり、とある日疲れて無視を決め込んだテルクシノエーを軸にその周りと今まで以上に踊ったり騒いだりし続け、堪忍袋の緒が切れたテルクシノエーにどつかれてうれしそうにしている。
満足いく朝の体操が終わればその後は朝食となる。大体朝食が始まるのは朝の6時半から7時にかけてだ。
ちなみにハトメヒトのマスターである御堂としては朝ゆっくり過ぎる朝食に慣れるまで結構時間がかかっていたりする。彼が土木作業員として勤務していた所は、というより大体の土木作業員は朝が早いのが普通だ。朝5時には食事が終わっていたりする事も普通だったので、矯正するのも大変だったらしい。
朝食は日替わりで色々変わる。和食、洋食がローテーションして、時々違う国の朝食も用意されている。これは全てテルクシノエーとサイレーンが頑張ってくれている物だ。
ハトメヒトとミューズの二人は邪魔にならない程度に手伝うか、ミューズの二人に関しては基本はその時間まで寝ている。
今日は和食であり、暖かい味噌汁を啜りながら平和な時間を過ごしていく。
ここで一発ギャグでもと脳内でわちゃわちゃしているハトメヒトだが、流石に料理をダメにするような事は憚れられるので自重しているようだ。手がぷるぷる震えているのはともすれば何かやらかしたくなるのを必死に抑えているからである。
見た目が無表情の寧ろ陰鬱さすら感じられる美少女なのだが、その実はここに居るだれよりも破天荒で脳内が花畑とも言える存在だ。
食事が終わったらどう笑わせようか、等と考えながら行儀よく食事をとる姿ははた目から見れば清楚なお嬢様にも見えた。
※
昼になるまでの時間も彼女の独壇場だ。
あっちに行っては山田を爆笑させ、
こっちに行っては新島にお宝本をプレゼントする。
そっちに行っては片桐に対して謎の踊りを披露して
にっちもさっちもいかない感じで、山崎にはスルーされる。
非常に満足しつつ彼女は日々を謳歌し――
「今日もにぎやかですね」
「うむ、それが我の役目であるゆえに」
ここのセーフハウスの持ち主である流川との会話に興じる。
「流川殿のセーフハウスに滞在するのも後幾許か、せめてここに我等が居たという跡を残そうと思う次第、物理的に」
「僕としてはここを改良して全員で済むのも構わないのですけどね」
「それもまた一つの手段ではあるが、そこは我等が主殿を立てて頂きたい所だな」
「そうですね。僕としてはこの程度では借りにもならないのですが、御堂君はどうにもその辺りに引け目を感じてしまう人ですから」
「根本的に人が良く、精神的に一般人なのだ。良き事ではないか」
「えぇ。そうですね」
普段の混沌さが鳴りを潜め・・・きれてはいないが、お互いにこれからの事について話し合う。それは少し先の事だったり、引っ越した後の事だったり、これからのメンバーでのやり取りであったり、次のシーズンについてだったりと、様々だ。
先を見通している流川と、その先の何かを知っているそぶりを見せるハトメヒト。
流川にとってハトメヒトは御堂のソウルギアであると同時に、信用し切る事が出来ない存在でもあった。
獅子身中の虫という訳ではないが、最悪は自分の目的の為ならば御堂すら切り捨てるのではないかという考えが心の中にある。
ボスモンスターとして現れた後にソウルギアとして出てきたのだ、そう考えるのも致し方ない事だ。彼女の言葉がどれだけ真実であろうとも、何の嘘もついていなかったとしても、【その先を隠す】という事ならば出来るのだから。
そしてその可能性が僅かにでもある以上、例え御堂達が彼女を信用し信頼していたとしても、流川は決して信頼はしない。信用はするだろうが。
ハトメヒトも流川が彼女に対して警戒している事に気付いている。というより、流川と山崎は大なり小なり彼女を警戒していると言っていいだろう。
同時にそれを良しと考えているハトメヒトがいる。何故ならば――
「我を注視せねばならぬ以上、貴方達は自動的に主殿を見守らねばならぬ。そうすれば我等で届かない手になるやもしれぬ」
「はっきりと言いますね、貴女は」
「濁しても致し方あるまい。口でならばどうとでも繕える故に・・・我は我として行動で示すのみである。だがそれだけ我等が主も貴方に大切に思われていると思えば、とても面映かろうて」
一切変わる事の無い表情だが、雰囲気で彼女が笑って居るのを感じる。
「今はただ、主殿に休息の時間を与えねば、して・・・件の輩については何かわかったかな?」
「あれ以来特にないですね。ですが可能性としては・・・」
「あぁ、状況的に主殿が出会ったゴスロリ少女のプレイヤーキラー、恐らくは貴方を殺すつもりはなかったのであろう。あのリジェクションだったか、あれ絡みで警告に来たといった所であろうな。これから先主殿の敵になる可能性はそこまで高くない。だが・・・」
「相手は仕事人である以上、依頼としてならば再びこちらに現れるかもしれない。シーズン外だからこそ警戒は厳にしていかなくては、しかし良いのかな? 主殿にかの少女こそが流川殿を襲ったプレイヤーキラーだと伝えずに?」
「えぇ、御堂君にはいつも通りでいてもらいたいですからね」
「・・・貴方の我が主を想う、その心・・・いや、なんでもない」
ぴょいっと立ち上がるハトメヒト。
流川の方を振り向かず、小さく腕を上げてセーフハウスに向かって歩いて行く。その胸中には普段の様子と見た目からは想像も出来ないほどにありとあらゆる考えがシミュレートされている。
そして彼女が最終的に思い願うのは――
「我が主殿が平穏で幸せを謳歌出来るのであれば、他の物皆些細な物である」
いつの間にか両手に30ぐらむと書かれた巨大な鉄アレイ??を握りしめ、御堂達の元へころころと回転しながら近づいて行くハトメヒトの姿があった。
―152話了
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30ぐらむ・・・!!!!
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