第112話 クリスマスが今年もやってくる、具体的には10日後

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今年ももう少しで終わりですね、皆さん体に気を付けて下さいね。

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「という訳でクリスマスケーキを作ろうと思います」


「ど、どういう訳なんですか??」


「はいそこ、ハルペー君、いや山田君黙らシャラップ。気が付けば今年も年末、再来週にはクリスマスもやってくるこの時期、やる事と言えば決まっているだろう。そう、クリスマスケーキ! クリスマスケーキの自作だ!」


 拳を握りしめて力強く叫ぶ俺に、サイレーンとハトメヒトが拍手を送ってくれた。ありがとうありがとう。


 後そこのミューズのお二人とテルクシノエーさん? 何故微妙に目を逸らす??


「・・・まさか、クリスマスケーキも自作するの??」


「当然だ、スピネルよ。やはり意中の相手が居るとしたならば美味しいケーキが作れるのは利点だぞ?」


「・・・・・流石ケーキ屋さん、ご教授お願いします」


 ぺこりんちょと頭を下げるスピネル君。うむ、物分かりが良い子である。


 ちなみにここには俺と俺のソウルギア、スピネル、山田君が居る。スピネルは誘ったら普通に参加してきた。山田君は暇そうにしてたから俺が拉致した。一応ケーキ作りを教えてやる予定だが、メインは試食係だ。


 山崎と片桐は俺そっちのけで新しい拠点の拡張計画練ってるのでスルーしてきた。なんかもう俺以上に燃えてるんだもの。そこ一応俺の拠点だからな?? あ、キッチンについては強く頼んできたので、新しい拠点のキッチンが楽しみだ。


 流川は買い物である、主に俺のケーキの材料を買って来てくれます。毎年クリスマケーキを作ってやってたからな、ツーカーの仲と言う事で、俺が何か言う前にはビシっと決めた格好で「クリスマスケーキの材料買ってきますね」と目をキラーンとさせながら出て行ったよ。


 流石だ俺の親友。よくわかっていらっしゃる。それでこそ流川だ。こころなしか一緒に付いて行ったジェミニ達の目が死んでた気がするが、そこはまぁどうでもいい。


「ごめんねハルペっち。うちのまーちゃん、ケーキ作りになるとIQ3以下になるからさ」


「い、いえいえいえいえ! そ、そんなことないっしゅよ!?」


 そこ山田君? 顔がだらしないぞ? というか目線が胸に固定されてるが、そこはまぁ男のサガとして。うんまぁ、全員が全員ナイスバディだしなぁ。(ハトメヒトは幼女体型)見たくなるのは分かる。特にギャル特有な格好と態度のミューズの二人は、こうなんと言うか、見た目的に隙だらけに見えるしな。


 テルクシノエー? テルクシノエーはもう・・・うん。あるく18歳未満禁止だから。というか普通の服着ててもヤバイ魅力を出してるんで、俺も視線を固定させないとあかんのですよ。これで性格がサイレーン寄りだったら俺はもう終わってたな、色々な意味で。


「さて、スピネル君。クリスマスケーキを作る上で、利点などは分かるかな?」


「・・・はいケーキ屋先生。自作の方が安いのと愛情たっぷりです」


「うむ、120点を上げよう」


 と、スピネルが言った通り、クリスマスケーキを自作するメリットには【安く作れる】ってのがまず第一に上がる。基本的にクリスマスケーキってのは付加価値やら何やらが色々ついているので普段のケーキより高いのが相場だ。


 ま、基本的にはクリスマスケーキってのは各御家庭で買ってくるのが普通なので別にそこはそこまで気にしたものではないが、俺みたいに自作するようになると、値段も高く感じるし、味も気になってくる。


 デコレートも出来るなら豪華にしたいものだし、それなら自分で作ってしまう方がずっと安上がりで、尚且つ美味い。


 愛情たっぷりってのも間違っちゃいないが、ま、丹精込めて作れば自動的に相手に対する気持ちは籠ってるもんだろ。皆に振舞って喜んで食べてくれる姿が嬉しいからな。


「んで? クリスマスケーキって何をつくりゃいいんだ? いや、ですか?」


 急に思い出したように敬語になる山田君。ここでフランクに「敬語なんて別にいらないぞ?」と言って素直にフランクに話せるタイプなんて極少数なので特に言う事はない。慣れたら勝手にフランクになるだろうしな。


 スピネルは逆に俺をケーキ作りの先生と思ってくれてるのか、こういう時はちゃんと俺を立ててくれている。最近の中学生だってのに本当にしっかりした娘さんだよ。


 俺は応援しているぞ? がんばれスピネル、流川はとても強敵だからな。具体的にポルクスが一番のライバルだろう。一心同体に近いポルクスとスピネルでは分が悪そうではあるが。


「今回はスタンダードに生クリームベースのホワイトクリスマスケーキを作るぞ。ショコラケーキとか別のでもいいんだが、最近ブッシュ・ド・ノエル作ったばかりなんでな、毎回凝り過ぎても逆にダレるから、基本に忠実で美味い物を作る」


「王道・・・! 王道だねマスター」


「うむ、俺もクリスマスケーキと言えばイチゴの生クリームケーキだったもんだ。上には砂糖菓子の人形や、チョコで出来た家、雪の様に綺麗なザラメ、それを包み込むように生クリームが周辺を覆っている」


「・・・おいしそう」


 美味しそうではないぞスピネル君。「美味しい」のだ。


「今日はそのクリスマスケーキを作るための練習がてらイチゴのショートケーキを作る。本番は23日だから覚えておくように」


「・・・・らじゃー」


 ピシリと敬礼するスピネル。


「ごしゅって、こういう時は普段以上に生き生きしてるよね」


「あはは・・・ご主人様の大切な趣味だもの、そうなるもの仕方ないわ」 


 そりゃお前さん、生死をかけた戦いなんてのに生きがいを感じるような戦闘狂じゃあないからな俺は。基本的に俺は非暴力を謳う、どこにでもいる優しいケーキ作りが大好きなお兄さんなのである。


 けっしておじさんではない。おじさんではない。大事な事なので2回言いました。念には念を入れてもう一度、俺はおじさんではない。あーゆーおーけー?


「山田は作るの手伝ってもいいし、見ててもいいぞ? お前さんの主な役目は試食だからな」


「マジっすか!? 楽しみっすよ!」


 男は甘いものが好きじゃあないとは言うが、勿論個人差がある訳で、うちのメンバーで甘いものが嫌いな奴は居なかった。強いて言えば山崎がそこまで沢山食べられないとは言ってたな。嫌いじゃあないらしいが。


 俺は甘いものは何でもOKだから、少し食ったらもう無理って感覚は分からんのだよな。まだ若いからさ。そう、俺まだ若いから。


「主殿よ、ケーキ作りの為にこれを持ってきた、我としてもケーキなる甘味、とても楽しみにしている。故に全身全霊で協力させてもらおう、常に全身全霊し続けて早2500年、全霊のハトメヒトちゃんと特に呼ばれたことはなかったが、今回は本気と書いてしおからと読むレベルで本気をだす所存」


 そう言ってハトメヒトが俺にしいたけを段ボールごと渡してくれた。


「・・・・・・・」


「・・・・・・・」


「なんでしいたけなんだよ!?」


 ツッコミか!? ツッコミ待ちなのか? どうしてケーキをこれから作りますって時にわざわざしいたけを渡してくるかな? 使えと? これを使ってケーキを作れと? 無理難題にも程があるんだわ。ダシでも取れって言うんですがこの生もの幼女は。


「うむ。実はこのシイタケは・・・・・・北海道産なのだ」


「だから何だよ!?」


 別に生産地とか聞いてないからな!?


「凄い・・・彼女が会話するだけで話が進まないよ」


「ある意味無敵だよね。まーちゃんこう見えて真面目さんだからハトメヒトにもしっかり突っ込み返すし」


「・・・俺、人型ソウルギア憧れてたけど、可愛い少女とはいえあれが出てきたらショックが計り知れねぇや」


 畜生、突っ込み所しかねぇんだよこの生もの系幼女は。本気なのかギャグなのかこの辺もうよくわからんのだよ。悪気はないのは分かるんだが、こう色々と疲れる。


 とりあえず段ボールごとしいたけを押し返すと、いそいそと受け取った。一応冗談だったのかよたよたと歩きながら適当な場所にしいたけ入りのダンボールを置くと、なんか今度は違う箱を持ってきた。


「成程。しいたけは合わなかったか」


「どうやったら合うと思ったのかねこの幼女は」


「ならば今度はこれを渡す事にしよう、受け取ってほしい。今日この日の為にクリスマスケーキを作るためと言う事で78日前に予約したような気がするけど、実は昨日買ってきておいたリコリスグミである。サルミアッキと言ってもよいだろう。リコリスと塩化アンモニウムで味付けされたお菓子で独特な風味あと味わいがほどよ――」


「そぉいっ!」


「しーゆーあげいんっ!?」


 最後まで言い切る前にハトメヒトごとお外に捨てました。


 ガラガラと音を立てながら窓を閉めた後俺は、一仕事終えたように額の特にかいてない汗を拭う仕草を取り、何事もなかったかのようにケーキ作成の指導を始めるのだった。


 皆、その辺空気読んでくれたのか全員ハトメヒトをスルーしてケーキ作りにいそしんでくれた。さぁ、美味いケーキの為に頑張ろうか! 何事もなかった、何もなかったからな!


 ちなみに2分後にハトメヒトは普通に戻ってきました。



―112話了


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困った時のハトメヒト。

いい感じに文字数消費しますし、とりあえず何か行動させてたら

誰かしら突っ込んでくれるのでとても楽ちんです。

皆さんもカオスキャラ使いましょう! (マテ

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