第111話 逆転の発想は、もう一度逆転すると普通

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最高気温がマイナスだと体も結構辛いです(涙

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 件の事故物件の話を早速流川に通した所、購入しておく方がいいと言われた。まず何より5ポイントで買えるなら買い得ではある。


 但し、現状はディザスター側でモンスターが溢れない様に結界を張られているが、購入した後は個人でどうにかする事になっている。流石にそこまで優遇はしてくれないと言う事か。


 安全性という点では不安があるセーフハウスだが、外部の脅威はここと同じレベルで保障されているので、モンスターさえ何とか出来るなら悪くはない物件との事だ。


 あと単純に5ポイントで買えるなら買っておくべきだろうとも言われた。


 これが流石にレベル1とか支援系のステータスしかないとかなら勧められる物件じゃあないが、今の俺ならばレベル3の雑魚モンスターが出てきても油断さえしなければ問題なく対処できる。


 結界を張る魔法などはコモンで安く売っているので、それを買っておけば結界を張ってモンスターが出てくるのを防ぐ事も出来るので、寧ろ効率のいい修行場になるとの話だ、これはハトメヒトも言っていたな。


 セーフハウスの詳しい説明文を見る限りでは、モンスターは結界さえ張っていればそこから出て行こうとしないらしいので、そこを怠らなければ問題ないだろう。


 懸念点は予定しているセーフハウスより狭い所か。前の住人が一人で利用していた感じの小さなセーフハウスなので、ここを選ぶと流石に山崎達までは連れて行けない。ギリギリ片桐を連れて行ける程度だ。一応無理すれば拡張も出来るが、そこまでする拠点とも言えないしな。


「5ポイントって所に凄まじく怪しさを感じるよねぇ? 絶対これプレイヤーに買わせる気まんまんでしょ」 


「事故るのを楽しみにしてるのか、結界張るのがそろそろ面倒だから押し付けようとしてる? とか?」


「もしくはその両方かもしれぬな。さて、どうであろうか主殿、決めるのは貴方である、今ならばこの3分の4、増えるハトメヒトちゃんデラックススケール・実はスケルトン仕様、内部の骨は魚介類を進呈するぞ」


「やかましいっ!」


「おばちろんっ!?」


 ハリセンでどつき倒されるハトメヒト。お前はどこかのギャグマンガ時空の存在かと言わんばかりに吹き飛んでいくが、真逆の方向から匍匐前進して戻ってきた。どうしよう、もうよくわからないよ、この謎生物。


「凄いね、ハトメヒトが喋るだけでシリアスがシリアスかっこ爆笑になるよ。私も最近は不思議系というより、エロ娘とか言われてるから見習おうかな」 


「絶対にやめてくれ? 頼むから」


「いえっさー」


 ピシリと敬礼するサイレーンを見た後、改めてどうするか考える。


 賛成者は山崎で、勿論反対者は片桐だ。


 山崎としては、定期的に戦闘経験とポイントが稼げる場所は捨てるには勿体ないという意見。俺もそこはよくわかる、倒せるのなら悪くない条件だしな。


 セーフハウス自体も多少手狭ではあるが、必要最低限の部屋もあるし普通に暮らす程度には何ら問題の無い場所だ。


 ここから割と近い場所にもあるし、何より安いのが一番の理由だ。


 更に言えば一応セーフハウス自体は5ポイントで購入できるが、色々とオプションを付ける事も出来る。流石にそれにはそれなりのポイントは消費するが、基本的な家具から、地下にセットできる巨大なパソコン、迎撃施設みたいな物まで。


 なのである程度の狭ささえ許容できるなら色々カスタマイズも出来る。


 片桐は単純に危ないからやめておこうって理由だ。ディザスターがそんな状態の施設を取っておいてるのもおかしいし、5ポイントとか言うふざけてるとしか言いようのない値段で置いてるのも怪しさしか感じないって事だ。


 俺も最初はそう思ったんだが、色々考えているうちに「それはない」と言う結論になった。


 ディザスターがプレイヤーをこんな嫌がらせで殺すとはどうしても思えないのだ。


 プレイヤーがミッションに参加する事を推奨しているあいつらが、全く関係のない所でわざわざプレイヤーを殺す事を良しとするだろうか?


 参加しないって理由だけで片桐や、このセーフハウスの前の持ち主を防衛ミッションの対象にしてしまうような奴だ。こんな事でプレイヤーを消耗させる事は考えてないと思うんだよな。


 色々考えてみたが、結論としては―――


「安いし買おう」 


「軽いっ!? あんだけ悩みまくった後の結論が軽いっ!?」


「いいツッコミだ片桐。今ならうちのハトメヒトの相方の権利を差し上げよう」


「うむ、片桐殿よ、これからも末永くよろしく頼む。我としては実はツッコミもやってみたいと思っていた所だ。理由は多々あれど、ボケばかりでは食傷気味と言う事で、何でもできる万能キャラを目指すべきだと5丁目でタバコ屋を営んでいる八百屋も同時展開している床裏さん(276)も言っていたからな」


「やだよっ!? 変なのを押し付けるなよぉ!?」


 変なのとはなんだ。うんまぁ、変なので合っているんだが。


 こう、じっとしていられない性格なのかよくわからんが、ハトメヒトは何か事ある毎にあっちゃこっちゃ動き回ったり、訳の分からない事ばかりしている。


 黙ってたら可愛らしい美少女なんだが・・・いや、どちらかというといギリギリ幼女。それが謎の動きをしたり、カオスな言動を延々と紡ぐのは何とも言えない光景だ。


 その癖表情は常に無表情なのだから、実はその顔作り物で本物は前にみたイルカ頭なんじゃないかと突っ込みたくなる。


「なら拠点拡張オプションは要れるべきだと思うぞ、その程度なら俺も少しは出せる」


「へ? これって拠点拡張とか出来るのか?」


「あぁ、見てみろ・・・ここだ」


 山崎が教えてくれた場所に、拠点オプションとしていくつか並んでいた所に【拠点の拡張】というものが書かれていた。


 これは現在のセーフハウスを単純に大きくしたり、地下を増やしたりできるらしい。勿論その分完成までの時間もかかるが、一部屋二部屋追加する程度なら2週間~

3週間あれば出来るみたいだ。


 何でもありだな。いや、一応リフォームみたいなもんか? わざわざ普通の業者を呼んでとかはなさそうだし、どんな奴等が施工するのか興味があるな。


 一部屋分追加で200ポイント。二部屋なら400ポイント。三部屋なら500ポイントか、一気に作れば多少安くなるんだな。リビング拡張とかもあって、そっちは大きさの規模によるが100~1000ポイントで出来るらしい。


 色々至れり尽くせりだが、実の所普通に拠点を買う方がよっぽど安上がりなのと直ぐに移動できる利点がある。こっちは色々拡張できる代わりに普段以上にポイントは消費するし、拡張した分だけ勿論入居までに時間がかかる。


「これなら幾つかの部屋とリビングは広くしたほうがいいな」 


「あ、私広い部屋ほしい! パソコンとか色々置かないといけないし、積みゲーとか腐るほどあるし!」


「あーしらはごしゅと一緒の部屋でいいから、別にどうでもいいけどね~」


「よし、部屋は多く作るぞ」


 やめろ、限界まで俺の理性に挑戦するのはやめろ。


「ふむ、主殿よ。地下施設をこのように拡張してはどうか?」

 

「っ!? こうすればモンスターが出てくる空間だけを隔離できる!? それ以外にもこれなら―」


「テルクシノエー殿は直ぐに気付いたか、慧眼であるな。左様―、拡張出来るのであれば、いっその事―である」


 ハトメヒトとテルクシノエーがなんかこう、天才と秀才みたいなやり取りしている。俺には二人が何をどうしてるのかさっぱりわからん。途中である程度理解できたのか山崎も二人に混ざって、地下の部分をあーだのこーだの言い合っている。


「大丈夫だよマスター。私もよくわかんないし」


「ハトメヒトって頭おかしい系だけど頭もいいって奴かー、まぁ、面倒な所任せられるしいいんじゃない? まーちゃんはほら、肉体労働メインって事で」


「頭の良さそうな友樹は・・・想像しづらいな」


「ええぃ、嬉しくないフォローありがとうよ」


 テルクシノエー達に任せておけばなるようになるだろ、うん。


 俺は最終的に消費するポイントを支払えばいいだけだ、アホみたいに高くなければそれでいいさ。後はそれなりに住みやすい拠点にはしたい所だよな。


 俺としては地下の修行施設とかも大事だが、一番大事なのはやはりキッチンだ。


 ここも十分立派なキッチンはあるんだが、ランクとしてはそれなりレベルなんだよな。形から入るって訳でもないが、良いキッチンがあればそれだけケーキ作りもやりやすくなるってもんだ。


 それなら折角自由にカスタマイズできるのなら、最高のケーキ作成のためにキッチンを作るべきだろう? あとでテルクシノエーに頼んでおかないとな。


 あぁそうだ思い出した。そろそろクリスマスも近いし、折角だからスピネルの奴も誘ってやって最高のクリスマスケーキを作ってみるか。


 折角の解放期間なんだ、こういう時こそ俺の出番だろ。


「クリスマスケーキか、最高の物作れそうな気がするぜ」 


 既に俺の頭の中は拠点やらなにやら全部すっぽ抜けて、今年最後のクリスマスを大いに楽しむためのケーキ作りで埋め尽くされてるのだった。



―111話了


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今日は短めです、申し訳ありません。

何時も本当に閲覧ありがとうございます。

今しばらくはのんびり幕間が続きますが、どうかお付き合いの程を。

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