第57話 いや、正直みんな疲れてるんです。

今日も閲覧ありがとうございます。

何とかぎりぎりでありつつも毎日投稿が続けられています。

お仕事によっては流石に出来なくなるかもしれませんが、その時は

どうかご容赦の程を。いつも皆さん閲覧ありがとうございます。

追記)頂いたコメントで人数少ない事に気付いたので15人から20~25人に

変更しました。

──────────────────────────────────────


 結論から言うと、蘇生薬はそこまで騒がれる事は無かった。この中でプレイヤーの知人が亡くなっているのは絶対安静で眠っているアクセルだけだからだ。それ以外のプレイヤーは保険としてあれば嬉しいかもしれないとは考えたが、流石に今回貢献してくれたジェミニと親友であるケーキ屋をどうこうしようなんて思わない。


 というより、戦いになれば勝てる気がしないので、どうしても欲しければポイントで譲ってもらうしかないし、数万ポイント程度で手に入るものでもない。


 一番の問題は【自分のソウルギア】として復活するというとんでもないデメリットがあったせいでそこまでして、と考える奴はいなかった。


 後は流川が借りたポイントについては、何人かは返還を辞退した。受け入れたのは半数以下のプレイヤー、後はハルペーだった。


 バンカーやガーディアンに羅漢、回復したアトリを含めたメンバーはこれからも流川と組んだ時のメリットを考えて、ここは貸しにしておいた方が良いと思ったのだろう。少数のポイントよりは、あのジェミニにこの程度の事で貸しが作れると言うのは破格だ。


 ハルペーも出来れば貸しを作った方が良いと考えていたが、レベル3にする為のポイントにあと少しという所だったので、返還を求める事にした。返還が終わった後に「やっぱり貸しにしておけばよかったなぁ・・・」と凹んでいたが誰も見て見ない振りをしている。


 今回のミッションで亡くなったのは参加者の5人。プレイヤーを対象とする防衛ミッションでこの程度の死者で済んだのは御堂と流川が善戦してくれたお陰だろう。誰もが流川と御堂に感謝の言葉を述べ、次のミッションで出会ったら、一緒に戦おうと約束していった。


 逆にリバティについては大半のプレイヤーが無視していたが。


 そちらはそちらで佐伯とスピネルが対応し、御堂が取りなしてくれたお蔭で恨まれる事はなかったようだ。信頼については底辺をぶち抜いているが、それは流石に仕方のない事だろう。


 後は各々、今回のミッションを生き延びた事を喜び、気の合うプレイヤー同士でバトルネームやアプリのフレンド登録などを済ませ、30分も過ぎた頃には全員がそれぞれ帰路に就いたのだ。





 現在御堂達は流川のセーフハウスに向かっている。


 御堂が用意した車には流川、そして今回同行している佐伯とスピネル、そして防衛対象のリバティだ。勿論半死半生のアクセルも連れてきている。


 命が助かったリバティは、完全に放心しているようで後部座席でとろけていた。スマホをぽちぽちと弄って居るが顔は死んでいる。


 サイレーン達は人数オーバーなので休息がてら召喚解除をしているのでこの場には居ない。セーフハウスに戻ったら再召喚するつもりだ。


「・・・・・くふふ」


 なし崩し的に同行できたスピネルが小さくほくそ笑んでいた。


 まさかの流川のセーフハウスへの同行を許されたのだ、これ以上の嬉しい報酬などあるだろうか。どうしよう勝負下着とか持ってきた方が良かったかなとか、話が飛躍している少女。流川が万が一にでも彼女に手を出そうものなら流川の手が後ろに回る事に気付いているのかいないのか。


「にしても、さっすが流川さんだったなぁ。最後なんてよくわからなかったぜ」 


 実は佐伯はあの場所から御堂達が戦っている姿が普通に見えていた。レベル3の強化変身は身体能力だけではなく、視覚聴覚などの感覚神経も著しく強化してくれるのだ。視力に至っては10,0とかそういう次元ではない。


 そんな状態でも男、リジェクションと御堂達の戦いは速すぎて目に追い切れなかった。あの時の御堂は自分とほぼ同等の戦闘力を誇っていたのに、それでも余裕であしらわれていた時点で、あそこに佐伯が混ざっても逆に邪魔にしかならなかったと思っている。


 それがとても悔しいが、それはいつかレベル4や5を目指していけばいつかは辿り着けると楽観的に考えていたが、流川の様な巧みな戦い方は佐伯には絶対真似できないと心の底から実感している。


 例え流川と同じレベルになったとしても、絶対に彼には勝てないと認め、それが佐伯はとても嬉しかった。自分が尊敬する人間は戦闘でも自分よりずっと強かったのだと、改めて思ったのだった。


「後はおっさんもだなぁ・・あんなにもう強くなってるなんてなぁ」


「ケーキ屋さん。名前二度見した」


「おもしれーよな。全然似合わねぇし」


 御堂の戦いも尋常ではなかった。勝てないとわかりつつも全身全霊で戦い抜き、流川の時間を作った男。変身前はスキンヘッドのチンピラにしか見えず、変身後はどこぞの悪役かと言わんばかりの姿。


 そんな彼が守るために必死に戦っていた姿を佐伯は格好いいと思った、スピネルも同じくだ。彼女は佐伯から見えた情報を伝えてもらっていただけなので、どういう風に戦っていたかまでは分からないが、レベル6を相手にして生き延びた以上、これから先も流川と共に、プレイヤー達を助けたりしてくれるのだろうと思う。


 運転している御堂と助手席で話をしている流川の姿はとても楽しそうに見える。お互い疲れているだろうに、それを微塵も感じさせず談笑している姿がスピネルにとってとても尊く見えた。思わず手を合わせてしまうほどに。


「なにやってんだ?」


「・・・」


 スルーを決め込むスピネル。決して良さそうな言い訳が思いつかなかったからではない。


「にしても大丈夫なんかね、この兄さんはよ」


「・・・アクセル。それなりに知られてる狂戦士。スレでも結構人気があった」


「すれ??」


 佐伯はPCを基本的に使ってないので掲示板等は全く知らないのでスピネルが何を言っているか分からない。


 意外と掲示板ではそれなりに知られているプレイヤーの情報が掲載される時がある。晒し目的やジェミニの様に有名過ぎてスレに載るものなど様々だ。


 その中ではある意味で有名なアクセルの事は地域スレによく名前が出ている。


 大体がアクセルを馬鹿にしたようなレスばかり付いているが、その戦闘力や出会ったら大体協力してくれるという点に関して良いレスなどもちらほらと見かける事がある。


 ちなみに佐伯は全くの無名だ。御堂も同じく。


 但し――


『口さがないプレイヤーが今回のミッションに交じっていたら、ケーキ屋は狙われるかもしれない。蘇生薬、使い道は限定されるけど欲しがってる奴は居る』


 一応流川が口止めしていたが、完全に漏れないとは限らない。スレに流れてしまえば後は火消しするしかないが、どこまでうまくいくかだ。あぁいうスレはプレイヤーキラーもよく利用していると聞く。そいつらが蘇生薬云々に気付いてしまったら、御堂は狙われる日々を送る事になるだろう。


 もしそうやって情報が流れて、御堂が狙われた場合は流川が激怒する事になるだろうが、その時、漏らしたプレイヤーの命の保障は出来ないと思われる。


『ジェミニ様に心労を掛けさせるわけにはいかない。スレはこれからも逐一チェックしよう。丁度リバティもいるし、こいつは常駐してそうだから情報は見つけやすいはず』


 ちらりと横目で見れば物理的に溶けそうになるほどだらけているリバティの姿。


 扇情的を通り越してだらしがない姿だった。彼女に恋をしている人が万が一いたとしても百年の恋も冷めるというものだ。


「ぅぁー・・・」


「・・・はぁ」


 助かって気が抜けているのは分かるが、もう少しちゃんとしろと思いながら白い目で見るスピネル。今度はスマホを弄って何やら遊んでいるのが見える。


「しっかし、流川さんのセーフハウス行くのも久しぶりだなぁ」


「・・・オマエハテキダ」


「ぁん? どうしたスピネル?」


「何でもない・・・貴方は前も来た事ある?」


「俺はこれで2回目だな。初めは俺がプレイヤーになった時に保護してもらった時だよ」


 佐伯がプレイヤーになった時の事を思い出す。


 あの頃は何もわからずに流川に食って掛かってしまったのは猛省の限りだった。あの後直ぐに保護してもらい、プレイヤーがどういう存在か、どうやれば生き残れるか、アプリの使い方やポイントが金になる事、この金で家族を助ける為に必要な事などを色々教えてもらったのを思い出す。


「今の俺があるのは流川さんのお陰でな。本当に凄い人なんだよ」 


「・・・それは知っている」


「俺達の幸運は、プレイヤーに流川さんが居た事だな」


 こくりと頷くスピネル。


 リバティは相変わらずだらけきっているように見えるが、実は先ほどからスマホで掲示板を見続けていた。


 そこには【プレイヤー防衛ミッション成功】という新しいスレが立っていた。リバティが立てたスレではない。それを高速リロードしつつ見続けているのだ。顔は死んでいるが、目はずっと集中してレスを眺めていた。


──────────────────────────────────────


1 名前:名も無きプレイヤー[sage] 投稿日:20??/??/?? 02:12:09 ID:E9yCrvU+

◎地区のプレイヤー防衛ミッション、クリアしてきた。


2 名前:名も無きプレイヤー[sage] 投稿日:20??/??/?? 02:12:09 ID:TRGV64lf

は? 嘘乙


3 名前:名も無きプレイヤー[sage] 投稿日:20??/??/?? 02:12:09 ID:CKxVv1qs

あれってクリア出来るもんなの? 報告ヨロ


4 名前:名も無きプレイヤー[sage] 投稿日:20??/??/?? 02:12:09 ID:E9yCrvU+

参加プレイヤーは20~25人位。4~5人死んだ。

参加者にはジェミニが来てた。

後ハーレム野郎も来てた


5 名前:名も無きプレイヤー[sage] 投稿日:20??/??/?? 02:12:09 ID:tCRel6Cu

ハーレム野郎についてkwsk


6 名前:名も無きプレイヤー[sage] 投稿日:20??/??/?? 02:12:09 ID:E9yCrvU+

4人の美女を連れたスキンヘッドのチンピラ。

バトルネームは一応貢献してくれた奴だから内緒で。

ただ、もげて死なないかなとは思った。全部ソウルギアらしい。

後ジェミニの友人だそうだ


7 名前:名も無きプレイヤー[sage] 投稿日:20??/??/?? 02:12:09 ID:CKxVv1qs

まって?? 情報量が多い。 ハゲのチンピラが美女四人連れてきて

ジェミニと仲がいい?? 意味わからんのだけど


8 名前:名も無きプレイヤー[sage] 投稿日:20??/??/?? 02:12:09 ID:c2i5Cb5W

防衛ミッションってただでさえ面倒なのにプレイヤーが対象の奴がクリアって

初めて聞いたんだけど。


9 名前:名も無きプレイヤー[sage] 投稿日:20??/??/?? 02:12:09 ID:l0jaeAjb

それでも5人は死んだのか。

その辺がリアルだな、嘘情報にしては。


10 名前:名も無きプレイヤー[sage] 投稿日:20??/??/?? 02:12:09 ID:E9yCrvU+

>>l0jaeAjb 信じられないだろうけど事実だ。ジェミニが色々やばかった

あれは敵に回したら死ぬわ。後、防衛対象は女だった。

美人・・・だった気がするけど、正直こいつのせいで迷惑したので

もう思い出したくない。寧ろスキンヘッドのおっさんのソウルギアが可愛い

過ぎてやばい。どうして俺のソウルギアは銃なの? 


11 名前:名も無きプレイヤー[sage] 投稿日:20??/??/?? 02:12:09 ID:tCRel6Cu

全員可愛いのか!? どういう子だ!? ロリは!? ロリはいるのか!?


12 名前:名も無きプレイヤー[sage] 投稿日:20??/??/?? 02:12:09 ID:E9yCrvU+

ロリはジェミニのソウルギアに居たな。めっちゃ怖かったけど。

おっさんのソウルギアは不思議ちゃん系美少女と、あの中で一番の美女と、

ギャル二人だった。


13 名前:名も無きプレイヤー[sage] 投稿日:20??/??/?? 02:12:09 ID:sApstzOM

建て乙


14 名前:名も無きプレイヤー[sage] 投稿日:20??/??/?? 02:12:09 ID:yRkH4bSb


15 名前:名も無きプレイヤー[sage] 投稿日:20??/??/?? 02:12:09 ID:oOjtoE5l

建ておっつー。え? 何そのより取り見取り。メスガキも居たら大体コンプやん


16 名前:名も無きプレイヤー[sage] 投稿日:20??/??/?? 02:12:09 ID:HQohI8sP

ツンデレがいない、やりなおし


17 名前:名も無きプレイヤー[sage] 投稿日:20??/??/?? 02:12:09 ID:vrFq1Wsi

ヤンデレがいない、やりなおし


18 名前:名も無きプレイヤー[sage] 投稿日:20??/??/?? 02:12:09 ID:/Cib7FOv

男の娘がいない、やりなおし


19 名前:名も無きプレイヤー[sage] 投稿日:20??/??/?? 02:12:09 ID:zwaPsxDv

>>16>>17>>18 おwwwまwwwえwwらwwwwwwwwww


──────────────────────────────────────


 他愛もないレスがそれなりの速度で続いて行く。


 その全てにリバティは目を通していた。


 勿論他の新規スレも探している。どうやら今立っている関係のあるスレはこれだけの様だとアタリを付け監視し続けている。だらけているように見えるが、マシン・ザ・リバティを発動しつつ、流川と御堂の面倒になる情報が流れようものなら対処しようとしていたのだ。


 蘇生薬について出てきた場合はクラックも仕掛けるつもりでいる。


『私にできるのはこんな程度。助けてもらったんだし、これ位はしないとね・・・』


 セーフハウスに向かう車の中で、彼女だけの戦いは続いていた。



―57話了



──────────────────────────────────────

蘇生薬は面倒なネックがあったのでスルー前提だったようです。

ソウルギアとして復活は、確かに面倒ですね。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る