第56話 代償とか? ないですよそんなの。

今日も閲覧有難う御座います。

何時も見てもらえる事はとてもありがたい事ですね。

お陰でモチベーションも上がり、頑張ろうという気持ちが湧いてきます。

楽しんでもらえるように、今日も頑張りますね。

■修正コメントでのご指摘により蘇生薬の名称と効果を変更しました。

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 流川のナイフが突き刺さった男はその瞬間何もいなかったかのように消えてなくなった。同時にジェミニ達と戦っていたソウルギアも同じく消滅する。


 満身創痍ながらも闘志を漲らせて立ち上がっていた御堂がいきなり消えた男をみて立ち尽くすが、その場でゆっくりと倒れ込んだ流川を見て急いで駆け寄った。


「流川!? サイレーン! 回復を頼む!!」


「う、うんっ!」


 普段身に着けている流川の背広がボロボロだった。それでも破けていない所を見る限りこの背広自体が防具なのだろう。見た限りでは大きな怪我などはないが直ぐにサイレーンを呼ぶ。直ぐにジェミニ達も駆け寄ってきた。ポルクスに至っては涙目だ。


「パパっ!? 大丈夫!? サイレーン早く治して!?」


「大丈夫ですよ。ちょっと疲労が限界にきただけです」


「全身ガクガクになってるやつが何言ってやがる。素直に回復されとけ!」


 サイレーンの回復スキルを受ける流川。普通の回復魔法やスキルとは違い、サイレーンのスキルは疲労も同時に凄まじい速さで回復するので、あっという間に回復していく。

 

「・・・これは本当に凄いですね。正直身体を動かすのも限界だったのですが――」


「パパッ!!」


 ポルクスが泣きながら抱きついてくる。


 先ほどまでソウルギアの女性相手に一歩も引かず不敵な笑みを見せていた姿からは想像もできないほど、見た目相応な姿に流川は苦笑し、優しく抱きしめ返した。隣では羨ましそうな目で見ているカストルも居るが、流石に羞恥心の方が勝っているようで、ただ見ているだけにしている。


「御堂君。よく抑えてくれました。貴方が抑えてくれなければこの勝利はなかった」


「相手が遊んでくれただけだよ。俺は正直あまり役に立ってなかった」


 自嘲する御堂。


 男も言っていたが、相手が遊んでいたからある程度戦いになっていただけであり、初めから本気だったならば既にこの世にはいなかっただろう。切り札も全て使い5人で戦ってもこの体たらく。勝てたからよかったものの、それが自分達の勝利とは言えなかった。


 だが、流川はそれを否定する。


「いいえ、例え御堂君がそう考えていて、実際にそうであったとしても。今のこれが現実です。貴方が僕の代わりにあの男の相手をしてくれたから、今があるんですよ」


「・・・そうかよ」


 気恥ずかしくなってそっぽを向く御堂。ややあって、小さく呟くように伝えた。


「お前が俺の親友で良かったよ」


「・・・それは此方のセリフですよ」


「ぱぱ・・・? だめだよ!? 非生産的だよ!?」


「・・・帰ったら説教ですね」


「何故に!?」


 気の抜けたやりとりが始まりカストルは呆れたように両手を上げている。サイレーンはガルルルルと唸り声を上げながら流川を見ているし、はちゃめちゃだった。


「所でよ流川。あの男殺したのか?」


「あぁ、あれですか? いえ、倒せてないですよ。多分今頃本来の拠点に戻っている事でしょう」


「ソウルギアも一瞬で消えたし、もしかしてマスター【デウス・エクス・マキーナ】使ったの?」


「えぇ、もう使い物になりませんけどね」


 流川はそう言うと近くに落ちていたナイフを拾う。それは既に刀身が折れ、時計部分が完全に壊れていた。最早直す事は出来ないだろう。


「やはり本来の力以上に強化したのがまずかったのでしょうね。ですが、その一手があれば助かるのならやるしかない」


「流川、その武器は―」


「これは刺した相手を【数秒先】に飛ばす事が出来るナイフです。戦闘で使うには難しい武器ですね」


「数秒先・・・え? それ意味あるのか?」


「使い方次第ですね」


 飛ばした相手が再び出現する前に罠や魔法を張る、逃げるなどやろうと思えば色々と活用は出来るが、武器としてはほとんど意味がない代物である。だが、何かには使えると手に入れていた武器の一つだ。

 

 実際に今回の戦いでは切り札になってくれた。ただしほんの数秒程度では無意味、だからこそ機械の短剣と言う事でリバティに全力で強化してもらったのだ。その効果は数秒先ではなく数分先に飛ばすという効果に変化し、見事ミッション制限時間外に飛ばす事に成功した。


 男は最早このミッションに戻る事は出来ない。既に制限時間が過ぎた未来に飛ばされているのだから、戻っても意味がないとも言うが。


「後1分でミッションも終了。ボスはもういないので後は待っていればそのままで終わります、本当にお疲れさまでした」 


「あぁ、お疲れさん。今回も助かったぜ」


「僕も今回は助かりましたよ。この後ちょっと大変ですけどね」


 何せスキル発動の為にポイントを借りているのだ。今はもう必要ないから解除したとはいえ、これまでのポイント消費は返還される事は無いので、今回はかなりの損である。


 他のプレイヤー達も幻術が解除されて、御堂達が勝利した事に気付いたのか奥の方で歓声を上げているようだ。流石にここからでは聞こえないが。


「しんどかった・・・って、アクセルは大丈夫か!?」


 このまま倒れて眠りたいと考えていた御堂だが、ふと四肢切断されたアクセルの事を思い出し飛び起きた。姿が赤黒い騎士のままなのでとてもシュールな光景である。


「応急処置を受けた後、皆さんに預かってもらっていますね。サイレーンさんのスキルでなんとかいけないかと考えていた所です」


「・・・あ、あー・・・」


 流川がそう言うとサイレーンが言葉を濁す。


「難しいですか??」


「いや、えーと・・・たぶんできると思う。けど・・・」


「どうしたサイレーン??」


「今日の使用回数もう0なんだよね・・・貴方に使った分で」


「あ、あー・・・」


 サイレーンの回復スキルの使用回数はスキルレベル×3回で、現在はレベル3なので9回まで使用できる。先ほどの戦闘中を含めて使用回数をほとんど気にせず使いまくっていたせいで、先ほど流川を回復させたのが最後の使用回数だった。


 次回復するのは翌日過ぎ、このまま放置すればアクセルは物理的に戦闘不能になるだろう。何とかして回復させてやりたいが、サイレーンの回復スキル以外では四肢欠損を回復できる回復スキル持ちはこの場に誰も居なかった。


「てことは、どうする・・・放置する訳にもいかんし」


「仕方ないですね、今日は僕が所持しているセーフハウスで休む事にしましょう。そこに彼も連れていって、サイレーンさんのスキルが回復次第、治してもらうと言う事で」


「お前そろそろ出来ない事なさそうだよな!?」


 レベル6を翻弄し、SSレアスキルを使いこなし、やることなす事スムーズにやり遂げる流川。漫画の主人公か何かみたいな事になっていた。


「テルクシノエー、あそこにチート主人公が居るよ。酷いよねチート主人公とか、うちのマスターに謝れ!!」


「貴女ね・・・・」


 ちょっと万能過ぎてお助けキャラ所か、主役を食う様なタイプに見えてきた流川にサイレーンが吠えた。自分のマスターだって格好良かったのに、その活躍を上書きするレベルで色々やっている流川に嫉妬心満載だ。


―ピコーン


 スマホが鳴り響く。


 そこにはミッション成功の文字が刻まれていた。


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◆防衛ミッション:プレイヤーをミッション終了まで防衛せよ―CLEAR!!

―防衛ミッション達成をなされた皆さんおめでとうございます。

―勝利された皆さん達には次のアイテムとポイントが送られます。

―クリア報酬 一律6000ポイント

―最優秀報酬 単発ガチャチケット10枚 該当者:ジェミニ

―貢献報酬 単発ガチャチケット2枚 該当者:ケーキ屋さん

―貢献報酬 単発ガチャチケット2枚 該当者:ソウルギア:テルクシノエー

―貢献報酬 単発ガチャチケット2枚 該当者:ソウルギア:ジェミニ

―最多撃破報酬 蘇生薬1個 該当者:サイレーン

―防衛対象 1段階状況緩和 該当者:マシン・ザ・リバティ

―追記 防衛対象【マシン・ザ・リバティ】はこの後の全てのミッションに

参加する事が条件で、全解除が達成されます。


―懲罰対象 該当者:リジェクション 次回からの此方からの参加を禁止します。

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「よっ・・・・しゃぁあ!!! クリアしたああああああ・・・・あ??」


「よりにもよって、こんなものを報酬で出してきますか」


 ミッションをクリアし喜んだのも束の間。最多撃破報酬としてサイレーンに与えられたアイテムがこれまた物議を醸しだすアイテムだった。


 まさかの蘇生薬である。死亡してもこれを使えば蘇生できるという代物だ。アイテム説明欄にはこう書かれている。


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■【蘇生薬】レア度:SSレア 非売品

使用条件:プレイヤーが使用する事

効果:死亡した一定の条件内の「プレイヤー」を対象として蘇生を試みる事が

   出来る。1度目は確実に成功するが2度目からは成功確率が大きく減少する。

   1度でも失敗した場合、そのプレイヤーの復活は永続的に不可能となる。

   成功した場合、対象の存在はプレイヤーの【ソウルギア】として復活する。

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 使用者がプレイヤーに限定され、更に死亡した対象にしか使用できないというややこしい使用条件があるものの、対象はソウルギアにしてしまうとは言え、蘇生させる事が出来るふざけたアイテムだった。


「やべぇよな、これ・・・」 


「やばいもなにも・・・これ一つで争いが起きますよ」


 恐らく敵対してきたプレイヤーキラーのバトルネームが判明しているっぽいがそんな事が些末事になってしまうほど、爆弾的なアイテムを手に入れてしまった御堂。この後、始まるかもしれないアイテムを巡っての言い争いが来ると思うと、いっその事なかったことにしてほしかったと願わざるを得なかった。



―56話了


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ディザスターとしては面白ければ何でもいいやというスタイルの様です。

そして今回のミッションが成功してしまったと言う事で、やはり懲罰を受けた

プレイヤーキラーさん事、リジェクションさん。名前考えるのに3分かかりました。


出てきた蘇生薬。

制限が面倒ですが、どういう扱いになるのでしょうか。

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