そいみるく そいそい

エリー.ファー

そいみるく そいそい

「そそい、そいそい」

「そいみるく」

「そいそい、そそい、そいみるく」

「みるみるみるくのそいみるく」

「そそい、そそいのそいみるく」

「みるみるみるく、そそいそみるく」

「そいそそ、そみるく、みるくそい」

「みるみるみるく、そそそいそ、そそいそそ」

「そそいそそそい、そいみるく」

「みるみるみるく、みるみるく、みるみるみるく、そそいそそい」

「みみるるみみるる、みみみるく」

「そそそいそいそい、そそいそそい、みみるるそそそいみみるるく」




「これ、なんの祭りですか」

「わっしょい」

「いや、わっしょいではなくて、ちゃんと教えて欲しいんですけど」

「わっしょいわっしょい」

「繰り返されても困るんですけど」

「わっしょい祭りでわっしょい」

「口癖は、わっしょいですか」

「そいみるく、そいそい」

「そうなんですよ、その掛け声って何なのですか」

「そそい、そい、みるく」

「そいみるくって、豆乳って意味ですよ。それで、その、どういう意味があるのですか」

「皆、黙って、そいみるく」

「いや、黙りませんけども」

「黙らず叫べば、そいみるく」

「冷静に考えると、黙った状態だと、そいみるくって言えませんよね」

「そいそい、そそい」

「そこは良いんですよ。確かに、お祭りの掛け声っぽいですからね」

「そいみるく」

「そこ、なんですよ。急に普通のお祭りから豆乳フェスティバルになっちゃってるんですよ」

「豆乳はお嫌いですか」

「豆乳は、余り好きではないですね」

「豆乳に両親を殺されたわけですね、そいそい、そそい、そいみるく」

「殺された経験はないですよ。その上で、隙あらば、そいそい、そいみるく、と言葉を差し込むんですね」

「そうです。そそい、そそいそい、そそいそそそそい、そそい、そそそい、そいみるく」

「少し、のってあげますよ。そそい、そ、そそい、そ、そいみるく、みるみるみるくのそそそいそい、みるくのそそい、そそいのみるく、そそいそ、そそそい、そいみるく」

「そいみるく」

「そいみるくそいみるく」

「いや、こっちが本物のそいみるくですから」

「そいみるくに本物とか偽物とかあるんですか」

「いや、豆乳の本物、偽物なんてあるに決まってるでしょ」

「いやいや、その掛け声について言ってるんです」

「そそい、そそそい、そいみるく」

「困ったら、掛け声で逃げるという決まりでもあるんですか」

「何度も言います、そいみるく」

「何度も言います、という前置きが余計です」




 誰もが知っている事実として、ウェドゴニアの魔法によって壊された世界を修復するために五人の賢人が呼ばれたことと思います。赤の賢人がベンゼンジャミン、青の賢人がウケルデモートー、緑の賢人がアンバスボウボウトマー、黒の賢人がボルテオ、白の賢人がヤジュルーシヴェスヴェス。彼らは、そいみるく、という言葉に悪の核を閉じ込めたのです。そいそい、という言葉はエンジェス語であり、意味は、夜明けを変える者たちに大いなる呪いを閉じ込める、というものです。そいそい、の前に置く単語に神聖さを付加するというのは、府尽教の考え方です。現在、そいみるく祭りは、その名前から揶揄されることもありますが、由緒正しい神聖な行事なのです。

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