第133話 皆と盛り上がっちゃう、ぽっちゃり
ログハウスのすぐ傍で始めたバーベキュー大会。
じゅうじゅうといい匂いを放つ串焼きに興味津々な人がいたり、立ち話で盛り上がっている人がいたり、デッキに備え付けた椅子に座りながらドリンクを飲んでいる人もいる。
みんな思い思いにバーベキューを楽しんでいる空間で、わたしはもちろんバーベキューコンロで焼かれている串焼きを食い入るように見つめていた。
「コロネお姉ちゃん! お肉もう食べられるかなぁ?」
「何回かひっくり返して焼いたから……うん、いい感じに焼けてるね!」
わたしは網の上に置かれた串をひっくり返して裏面を見たけど、お肉はほどよく焦げ目がついていた。
さらに程よく脂も溶けてとても美味しそうだ!
「それじゃあ、早速食べちゃおう! ドルートさんたちも、串焼きできたから後で持っていくねー!」
「ハハハ、急がれる必要はありませんよ。食べたくなったら私が取りに行きますので!」
ドルートさんは、ログハウスのデッキに設置した椅子に座ってわたしたちを眺めながら答えた。
隣には奥さんのリベッカさんがいて、テーブルを挟んで晩酌でもしているようだ。
まるでバーベキューではしゃぐ子供を見守る保護者のような構図になっているね。
ちなみにこのグラスもドルートさんが所持していた物を貸してもらっている。
さらにわたしたちのグラスの中にあるジュースもドルートさんからいただいたものだ。
飲み物まで色んな種類を常備してるってドルートさんは常日頃からどれだけの商品を持ち歩いているのかな。
あのアイテム袋は大きさこそ手のひらサイズで小さいけど、内部の容量はとんでもないくらい大きいんだろうね。
「ナターリャちゃん! フランちゃん! ハイ、串焼きどうぞ!」
「ありがとう、コロネお姉ちゃん!」
「わ~い! ありがとぉ~!」
「二人とも、焼きたてで熱いから気をつけて食べてね」
「「はーい!」」
串焼きをそれぞれ受け取った二人は、はふはふしながらお肉を食べている。
その姿を見てると、わたしも我慢できない。
早速他の焼けている串焼きをつまみ、豪快にかぶりついた。
「それじゃわたしも、いただきまーす! あーむっ! んんん!! 美味しいーっ!!」
口に入れた瞬間、香ばしいお肉が口いっぱいに広がり、じゅわりと溶けた脂が舌を喜ばせる。
お肉も少し歯応えがあってとても食べ応えがあるね!
そして、串焼きのお肉とお肉の間に挟まっている玉ねぎなんかの野菜もいいアクセントになっている。
ああ~! 美味しすぎる!
わたしもバクバクと焼かれている串焼きを食べていくと、もう一つのバーベキューコンロでわたしと同等に食べまくっている従魔を発見した。
「お、わいちゃんもいい食べっぷりだね!」
「そりゃあご主人、むしゃむしゃ……ごっくん! こんな美味い肉やったらなんぼでも食べれまっせ!」
「そっかそっか! おかわりはまっだまだあるから、思う存分食べまくってね!」
「はいな!」
わいちゃんは元気に返事をすると、再びパクパクと串焼きを食べ始めた。
小さい身体なのに、器用に動かして串焼きを頬張る姿は何とも可愛らしいね。
だけど、このままのペースだと早い内にいま焼いている串焼きを全て消費してしまいそうだ。
そうなる前に、早速次の串焼きを焼いておこう。
「サラ、追加の串焼きお願いできる? とりあえず五十本くらい!」
「ぷるーん!」
お願いすると、サラはすぐに焼ける前の串焼き五十本をスライムボディから放出し、熱々の網の上に乗っけた。
じゅうじゅうとお肉の焼けるいい香りが漂ってくる。
今はわたしたちのメンバーにプラスしてドルートさん一家もいるから、意外と串焼きの消費ペースが早いからね。
それにわたしもガツガツ食べていくし。
串焼きを頬張りながらそんなことを考えていると、ふとあることを思いついた。
今は外でバーベキューを楽しんでいる訳だけど、せっかくなら他にもつまめるような食べ物があったらもっといいんじゃないかな。
わたしはそれにうってつけの料理を一つ知っている。
さらに今は外だから、油が散ったりして部屋が汚れるといった心配をしなくていいから、絶好の機会だ。
「問題はそれを作るには鍋があると便利なんだけど、でもこれは問題ないか! サラにお願いすれば鍋なんかも出してくれるだろうし!」
そして先日、材料となるジャガイモと油、塩は大量に購入済みだ。
これなら、あの大人も子供も大好きなサイドメニューを作ることができる!
「よーし! それじゃあいっちょ、ポテトでも作りますか!」
わたしの高らかな宣言に、皆は不思議そうな顔をしていた。
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