第2話 その時人は

 小洒落た下りの階段がある。

 その時人はどうするだろうか。


 ①気になる

 ②覗いてみる

 ③降りてみる


 そう。

 降りてみたくなるだろう。

 小洒落た階段に片足をかける。

 そしてそのまま、下り始める。

 螺旋状に続くその階段は一体、どこまで続くのだろう?

 興味本位で下り続けたその先にあったのは、どこまでも澄んだ美しい湖だった。

 階段は、湖の湖面からしばらく先の下の方で途切れている。

 その時人はどうするだろうか。


 ①気になる

 ②覗いてみる

 ③湖に入ってみる


 そう。

 湖に入ってみたくなるだろう。

 そのまま階段が途切れる所まで降り続け、途切れたところから泳ぎ始める。

 気持ちよく泳いでいると、前方に人影が見える。

 どうやら人魚のようだ。

 それも、とびきり好みの美しい人魚。

 おまけになんと、手招きをしているではないか。


 その時人はどうするだろうか。


 ①気になる

 ②様子を見てみる

 ③人魚の近くまで泳いでいく


 そう。

 間違いなく、人魚の近くまでいくだろう。

 そうして泳いで、あと少しという所まで来た時。

 人魚は突然、耳まで裂けた口をパックリと開き、牙をむき出しにして襲いかかってくるのだ。


 その時人は……


 考えるまでもない。

 逃げる。

 ただひたすらに、逃げる。

 間一髪でどうにか階段まで辿り着き、ひたすらに駆け上がって、元の場所へ。


 ほっと一息をついた時、人はどうするだろうか。


 まぁ。

 選択肢をひとつ増やすだろう。普通ならば。


 階段−④通り過ぎる

 湖−④引き返す

 人魚−④無視をする


 人の気をそそるものには、危険が潜んでいるかもしれない。

 気をつけなければ、あなたもいつか……


【終】

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