第9話 君の言葉

「これを見てるってことは、きっとそういうことだね。あんまり長いと眠くなるだろうから、短めでいくね。君と過ごした時間、とても楽しかったよ。そらの前でだけは素を出してくれること、嬉しかったなあ。そらには心を許してくれているってわかって何故かそらが安堵したよ。なんだかね。いやあ、さよならって言っちゃったけど、やっぱりそらは君に会いたくなって、病院に向かっている途中だった。すれ違いざま刺してくるなんてタチ悪いよ。奇跡的に意識は回復したけど、もう明日がヤマだって言われた。最後に話せなくてもいいから君の顔だけは見ておきたかったなあ。これはしょうがない。今の空は憎らしくなるくらい日本晴れだよ。もしかしたら君が回復傾向にあって気分がいいのかなあ。そうだといいけど。これを見てくれるかもわからないけどね。じゃあ最後に。君はまだ植物になるな。今頃植物状態になることに恐怖しているころだと思うけど。まだ生きていられる。君が生きていられる可能性なんて無限大なんだ。でも少なくともそらのことを忘れないで欲しい。寂しいからね。そらにとって、君と過ごした時間は宝物でした。ありがとう。まだこっちには来るんじゃないぞ。じゃあ、またどこかで。おやすみ。」

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