第6話 雲ひとつない ?
そんなこんなで文化祭はそれなりに楽しめた。あの日があってからそらは学校に顔を出してくれるようになった。私が若干そらに依存気味だってことも見越して来てくれている。最近は、そらと空の話をよくするようになった。空には自分の感情を表すなにかの力があるんじゃないかって。悲しいときは曇ってたり雨だったり。清々しい気分のときはカラッとした快晴だったり。言われてみればそうかもしれない。そうじゃなくて、空が感情に影響を与えているのかもって話もした。確かにそれもそうかもしれない。でも、前者のほうが、なんでかは言い表せないがなんとなくいい気がした。自分の思っていることは空も共感してくれて、気持ちに寄り添ってくれている。って思った。秋の爽やかな風の吹く晴れの日も、冬の冷えた荘厳なあの雪も。全部私の気持ちを代弁してくれて、その壮大さで打ち消してくれている。気分次第かもしれないが、私はそう思っていたかった。私はそらに出会った日から空の写真を撮りためていた。ピンクとオレンジと薄い水色が入り混じった夕焼け。黒い雲が私たちの世界を侵食しているような雨雲。燃えるような朝焼けだって、早朝に早起きして見たくらいだ。空を見るために早起きをしているまである。どんだけ空に夢中になってんだって話だけど、私はこの時間が好きだからこれでいいんだ。今私の身体で何が起こっているかも知らずに、だいぶ浮かれていた。
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