第4話 マリオネット

朝。今日は朝日がいつになく眩しい。最近は悪天候が続いていたから余計主張強めなように思う。自分はこんなにも自由で尊大なんだぞ、限られた時間の中で生きなければならないお前とは違うんだって。はあ、気分が悪い。私は私なりに生きようとしてんだ。こうして起きて、ご飯をかきこみ、コンタクトをつける。しばらくやっていなかったルーティーンを呼び起こしてなんとか準備は整った。あ、忘れるところだった。「できる私」モード。よし、これで大丈夫。私は学校ではつい自分を作ってしまう。外面がいいほうが先生には好かれる。けどクラスの人たちは面白くは思わないらしい。だからそういったクラスの人たちのところでは「完璧じゃない、どこか抜けてて親近感のある私」を演じる。こっちのほうが友達も増える。完璧すぎて近寄りがたいと言われた去年、確かに私には友達がいなかった。でもこの方法を実践してから「話しやすくなったね」と言われ、私はこの高校では頭がいいほうだったから、他人の勉強を見たり他愛のない話をすることが増えた。他人と関わりを持つことは嫌いじゃなかったから、この私を演じることは別に苦ではない。苦ではなかった。最近になって、この行動には意味があるのかと考えるようになった。繕っている私。騙されている他人。この行動がなんとなく人を騙しているような気分になって不快に思えてきた。だとしても、本当の私を出してしまうとまたあの時みたいに理屈っぽい、何を考えてるかわからない、なんて散々なことを言われる始末だ。まああと9ヶ月の辛抱ってことにして目を瞑っておこう。

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