第3話 猫も仄仄

___うわ、起こされた。最悪の目覚めだ。あ、え?明日から学校に行っていいって?私は混乱している。なぜかって。体調は良いけどまだ不完全ではあるし、私の学校は通信制だからだ。あーいや、今まで学校に登校したことあるな。通信制とはいえ、建物もちゃんとあるらしく、火曜日、金曜日は対面で授業を受けることになっている。今日は月曜日か。元気だったころも、こうやって登校日で曜日を把握していた節がある。こういうときぐらいだからな。曜日が生活に影響を与えているのは。ふわあ、と、窓の外で香箱座りをしていた猫が欠伸をした。香箱座りって、確かリラックスしているときの寝方だった気がする。ん?ああ、白黒のハチワレ。あんた、いつもこの病院の近くにいるだろ。ここは2階なのだが、どこからか登ってきてこの病室の屋根の下でいつも寝ているのだ。なんだ、あんた私が学校に行けることを喜んでいるのを横目に自分ははいはい良かったね、おやすみってか。生意気なやつだ。でもそんなところがこのハチワレの良さでもある。私にはない自由さ。いつしか私は羨望の念を抱いていた。それは今でもそうだ。生まれ変わったら人間じゃなくてこのハチワレみたいな猫になるのもいいな。私はそんなことを考えながらまた微睡んでいき、ついには深い夢の世界へと沈んでいった。

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