研究データ詳細
○○○○年 〇月 〇日
【研究データ詳細】 記述者 近藤 紀子
実験体B´被害者A~C
三名の被害者から様々な部位の検体を調査した。
・B´と接触した部分(口腔内から鼻腔、眼窩)
・※シスト(筋組織)と、※オーシストへの影響確認の有無。胃の内容物調査
・骨髄や内臓の各組織
※シスト(嚢子(のうし))
休眠状態のサナギのような形態。筋組織などに潜伏している。
オーシストという卵のような形態で動物の体内に運ばれた後、栄養型に変化して活動を開始しまたシスト化する。
※オーシスト(接合子嚢(せつごうしのう))
は糞便中に卵のような状態で潜伏し、便と共に排出される。その環境下や次の媒体内で数日間かけて成熟し感染可能なオーシストとして数ヶ月以上生存している。最終的に寄生して有性生殖し子孫を増やすことが出来ること。
結果、この三人からは例のウイルスの摘出は見られなかった。
だが、トキソプラズマに似た原虫を摘出、発見をする。胃の内部と口腔内から恐らく実験体B´の分泌したものによりオーシスト状態の原虫とその卵が数個見つかった。これらのDNA解析も同時に進めている。研究所での実験体B´群の被害者職員の焼却処分、及び遺族への変換がまだな”ご遺体”があれば提出願いたい。研究所内部と外部との差が歴然に調査が出来る。
被害者が窒息死してしまうことから、この感染からどのような経緯を辿るのかが現状不明。被害者D(襲われたが一命を取りとめた)の体組織を調べる必要がある。こちらも提出を急を要したい。
例の『サル痘キメラウイルス』とこの原虫との接点があるかどうかも様々な被検体にて検証しないと断定は出来ない。現状、まだ推測に過ぎないが、この原虫がキメラウイルスの『二次中継』しているかもしれない。そしてその媒体がサル痘との関連があればげっ歯類のどれかが媒体宿主と断定できる見込みである。
【分析科長 近藤 紀子 映像記録日誌②】
◉REC
この原虫・・・そうね、仮で名付けるなら
『マイクロキメラプラズマ』
は、トキソプラズマとの遺伝子差は99%が一致している。経緯はまだ分からないが下水で接触したトキソプラズマ保菌者であるげっ歯類を捕食した上位肉食獣へか、もしくは実験体B´が捕食した保菌げっ歯類のオーシストから実験体の体内でシストした経緯で変異した可能性は高い。恐らく後者だと思われるが、実験体本体の到着を待つしかない。
・・・そこがなんでこんなに時間がかかっているの?
・・・そうか、目撃者も被害者も多くその後始末に手間取っているんだろうけど。
だからこそ分析を最優先しなきゃダメでしょうに。
・・・となると実験体XのアルビーとC´オリバーが気がかりだ。取り返しのつかない事にならなければいいのだけれど・・・・・・
この経緯を考えると、まだ日本国内でいる間はマシよね。様々な寄生虫問題は何十年も昔に改善され、”潔癖国”とすらいえる日本だからこそ衛生的な場所で人間に守られている内はまだなんとか・・・海外の、寄生虫やヒトにも感染可能で危険なウイルス・・・例えばエボラやマラリアがこの実験体に感染した時の変異、もしくは強毒化は正にペストパンデミックを越える最悪の事態になるかもしれない・・・・・・
どうせNHOは世界公開、つまりWHOへの報告はまだしていないだろうね。
・・・もし・・・これが『意図的に日本に持ち込まれたウイルス』だとしたら・・・・・・?
天然痘が完全に撲滅した後は、ソ連とアメリカの研究所で保管されているはず・・・サル痘も、日本ではまだ拡大していない。
各実験体の元となる被検体も調べる必要が出てくるわね・・・・・・
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