大野教授 録画日記データ 1-2
◉REC
〇月〇日
・・・ああ
えっと、実験体Aの精子を、A’への人工授精は失敗したが・・・・・・
遺伝子情報、特にRNAをキメラ遺伝子ベースに、DNAをヒトゲノムベースにすると安定性を見せた
さっそく実験体B’の母体に戻し着床するかを試す
同時に、実験体C’母体にキメラ遺伝子を含めた実験体A精子を凍結融解胚移植で着床。そのまま様子をみる
IVF-ETにて実験体AのX染色体をイルカなどの海獣遺伝子を含めたキメラを作成中。その後、成功すれば・・・・・・
※大野教授は終始落ち着きを見せる。
【聴取音声データ 1-4】
「・・・あなたの話を聞いて、恐らくこの実験体A’(ダッシュ)~C’って」
「はい、そうです。3人の、わたし以外の『人間の女性』のことだと思います」
「・・・そう。さすがに常軌を異してるわね」
「!?・・・いまさら何を?この研究自体が普通じゃないでしょう!!」
※椅子から立ち上がり感情的な様子。
「・・・落ち着きなさい」
「!!!」
「多少の犠牲は、あなたも承知でこの『プロジェクト』に参加したはずです。私もそう自覚しています。ただ、同じ女性として、大野教授のこの行動、様はこの『人体実験』は賛成しかねる。そう言いたいだけです。あなたも、同じ女なら分るでしょう」
「・・・・・・」
「・・・いまさら人間の道徳心の議論なんてしたくありません。個人的意見ですが、牛も豚も鳥も、家畜全般を食事としていることと違いはないはずだと、わたし自身、じぶんに日々そういい聞かせています」
「・・・分かっています」
「あなたのお父様も・・・・・・」
「分かっています!父のような被害者を無くすためです!しかし!!」
「我々は、もうとっくに禁忌に触れています。いまさら神に許しを請い、天国なんてものに行けるなんて思ってもいません。しかし、現在の人類に起きていることを放置することもまた、罪ではないですか?・・・私も、あなたと心境も境遇も同じですから・・・・・・」
「??え?」
「・・・さて、続きを聞かせてちょうだい・・・・・・」
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