2-6 食べてはいけない
「
「大体その通りだよ。八尾比丘尼とは、人魚の肉を
「記者さんって、
「笑うかどうかを決めるのは、
「凛汰くんは、男前だねぇ。梗介くん、モテる男はこういうタイプじゃないかな?」
「モテるとかモテないとか言っちゃって、
「監視者
話を聞いていた美月が、こくりと頷いた。「
「美月ちゃんに訊いておきたいんだけど、そもそも
「は、はい。浅葱さんにせがんで、教えてもらいましたから。でも……言葉通りの役目を担うことになるなんて、思いもしませんでした」
「古代日本の言霊信仰では、真名の言挙げは
「その禁忌から、どうして
問いかけた凛汰は、梗介の様子を
「櫛湊村では『若い娘に不幸が
三隅は、右手を目線の高さに持ち上げると、長い指を二本立てた。
「この村には、死者にまつわる情報が二つあったわけだけど、
「それは、もしかして……昨夜の〝
海棠家の大広間で、村人たちに
「……『
「そうそう、それそれ。まあ、それだけじゃあなさそうだけど、ともあれ――
「三隅さんは、その死に方を知ってるんじゃないですか」
「いいや、そればかりは神のみぞ知るって奴だよ? ただ、凛汰くんと美月ちゃんには『隣町の
美月が、目に見えて顔色を青くした。梗介は、相変わらず顔色一つ変えていない。凛汰は、しばらく考え込んでから、三隅に
「三隅さんは、眉唾物だとは思っていないみたいですね。その
「確かなことは言えないけど、祟りと無関係ではないだろうね。噂話の人体は、いずれも水辺ではなく陸地で目撃されているそうだし、引き上げられた
三隅は、床に散らかった紙束の山を、おもむろに腕で示した。
「これらは、
「知ってるよ。
「私も……
「了解、話を戻そうか。といっても、悲しいかな、語れることには限度があるんだよねぇ。何しろ、
「それ以上の調査は、難しそうですね。絶対に何かを知ってる村人たちも、三隅さんの取材には非協力的だろうしな」
「凛汰は、僕に文句を言ってるの? 悪かったね、非協力的な村人で」
梗介が、話の腰を
「
「凛汰も、知ってたんだ。木船に、窪みがあること……」
美月は、驚いている様子だった。〝姫依祭〟で
「十九年前の〝姫依祭〟で火事があって、御神体は
「そりゃあ、
張り詰めた
「大きく出たね、記者さん。人魚が実在していて、しかも人魚を食べた
「不老長寿か、不老不死か。表現の違いは、伝説が残された地域差も関わってくることだから、目くじらを立てるようなことではないよ? それにさ、八百年も生きていれば、不老不死として語り
「そういえば、私……八尾比丘尼が長生きってことは知ってたけど、どんな
美月が、唇に右手を沿えて
「八尾比丘尼が迎える最期の例としては、八百年を生きてから、
「三隅さんは、つまり……『自らの命に
「おっ、まさにその通りだよ。やっぱり凛汰くんは、頭の回転が速いねぇ」
「〝憑坐さま〟の巫女として、八尾比丘尼の
美月が、顔を引き
「まあ、真面目な話、美月ちゃんを食べたところで、不老長寿の効果は得られないと思うよ?
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