第1章 知恵の実
1-1 人殺しの子ども
スマホの表示が
昼下がりの山を切り
成長期に入っても全然伸びなかった身長は、日常のさまざまな場面で
山を
何よりも興味深いのは、村一帯を
通信手段を
「着いたぜ、母さん」
「クソ
今度こそスマホの電源を落とした凛汰は、借り物の自転車の前かごから、縦向きのボストンバッグを引っこ抜き、前かごへ水平に
ただ、気の緩みを
*
山と海に
鳥居と拝殿をコの字型に
――行きはよいよい、帰りはこわい。かつて家族が口ずさんだ歌の
――シャン、と鈴の音が響き渡り、
鳥居と
そして、礼をやめた少女は、すうと右手を持ち上げると、近くの木箱に置かれた
「あなたは……」
鈴を転がすような声には、戸惑いと
二人
「〝まれびと〟……三人目の。本当に、
――まれびと。明らかに凛汰を指した言葉について、今すぐ追求したい気持ちに
「初めまして。
話を聞いていた少女が、驚きと困惑の表情で「
「
「……初めまして。えっと……
「親父の教え子か。この村の中学校で、
「そうでしたけど、もう卒業したから、来週から高校生……です」
「それなら、俺と一緒だな」
「……えっ?」
「俺も、中学を卒業したばかりで、来週から都内の高校に通う学生だから」
薄く笑った凛汰に対して、美月は
「何よ。
「勝手に
「だって、私たち初対面なのに、あなたの態度が大きいんだもん。でも、よく見たら
「お前、結構いい性格してるな?」
鳥居を
「ようこそ、お
「まあ、そんなところです。俺の親父が、この村で
「そう。息子さんが
そう言って頭を下げた
「お父さんに会うために、東京から来たってことは……嘉嶋先生を、東京に連れ戻しに来たってこと?」
「ああ」
「俺の母親・
――ざあ、と吹きすさぶ
「あなたが何を言ってるのか、私には分からない。私にとっての嘉嶋先生は、人を殺すような人じゃないもの。あなたは、嘉嶋先生を……あなたのお父さんを連れ戻して、どうする気なの?」
「
美月は、ぽかんとした顔をした。先ほどまでの警戒が、一瞬にしてほどけている。ころころと変わる表情を目の当たりにした凛汰は、少し
「
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