第10話 日常10

「…………このまま、何もしないで寝ちゃうのかなって」


 フェリシアの言葉の意味が分からないほど、俺も子供じゃない。というか、この言葉の意味が分からない男はいないはずだ。


 少しだけ期待のこもった、熱っぽい眼差し。


 彼女が言っているのは、つまりだろう。


「いや、何もしないわけないよ。今はちょっとお腹がいっぱいなだけだから。……だから、大丈夫。俺もその気だから」

「っ!? そ、そうですか……」


 自分から誘ったくせに、顔を赤くして慌てているのが最高に可愛い。

 今度は生温かい視線を向けていると、彼女は急に立ち上がると、


「しゃ、しゃわー、浴びてきます!」


 部屋着を抱えると、備え付けのシャワー室に駆け込んでいくフェリシア。

 そして、しばらくするとシャワーの水音が部屋に響いてきた。


(…………)


 響いてきたシャワーの水音に、俺の気持ちがどんどんと昂っていく。

 さっきまでお腹一杯で、性欲なんて微塵も感じていなかったのに……人間の身体は正直だ。

 お酒も入っている分、性欲も高まりやすいのかもしれない。


 そして、彼女のシャワーが終わるのを待つこと15分ほど。


「お、お待たせしました……」


 しっとりと濡れた金色の髪をタオルで拭いながら、フェリシアが出てきた。


 部屋着は生地が薄く、身体の凹凸がはっきりと表れている。

 彼女は上着のボタンを半分ほどあけており、胸の谷間が惜しげもなく露わになっていた。


 また、スラっと伸びる真っ白な太腿も非常に艶めかしく、初めて見たわけではないのに思わず目を奪われてしまう。


「…………」


 俺が何も言わずに見つめていると、彼女が恥ずかしがってもじもじと足をすり合わせる。

 その光景もまたエロ……美しく、眼福な光景であった。


「……じゃあ、俺もシャワー浴びてくるから」

「はい……」


 はやる気持ちを抑え、俺もシャワーを浴びに行く。

 念入りに身体を洗い、部屋に戻ると彼女は緊張した面持ちでベッドに腰掛けていた。


「お待たせ」

「い、いいえ……」


 別に初めてするわけでもないのに、彼女のこの緊張感は何だろう?

 もしかすると、普段は家でヤることが多いので、宿屋という環境が彼女の緊張感を高めているのかもしれない。


 一応、隣の部屋に見ず知らずの他人が泊っているわけだからな。


 彼女の不安を少しでも紛らわそうと、俺は彼女の隣に腰掛ける。

 そのまま、輝く金色の髪の毛を手櫛で整えると、少しだけ顔所の表情が解れてきた気がした。

 さらさらと流れるような感触がとても気持ちいい。


「フェリシアの髪って、本当にサラサラだよな」

「んっ……別に、特別なことはしていないのですが。髪質が細いこともあるかもしれません」


 言われて見ればレイやスカイラと比較し、髪が細い気がする。

 だからこんなにも指通りが良く、さらさらしているのか。


 俺も普段から同じシャンプーを使っているけど、これほどまでになった経験はない。

 男としては別にどちらでもいいのだが、不思議なものである。


 さて、これで少しは安心してくれたと思うので……俺はゆっくりとフェリシアの方に腕をまわすと、彼女の身体をこちらに引き寄せる。


「ぁっ……」


 切なげな声を漏らし、こちらへと視線を向けるフェリシア。

 そんな彼女の唇に向かって、俺はゆっくりと自身の唇を重ねた。


「んっ……ちゅ。……んぁ……っん」


 最初は触れるだけで一度離そうと思ったが、我慢できずに彼女の咥内へ自身の舌を潜り込ませる。


 ビクッと身体を震わせるも、俺は構うことはない。


 ゆっくりと彼女の舌に絡みつく様に動かしていると、ぎこちないながら彼女もそれい応えてくれる。


 ぬるぬると、お互いの舌が絡まり合い、卑猥な唾液音が静かな部屋に響く。


 時折、彼女の口から漏れる僅かな嬌声。

 押し殺そうと努力はしているようだが、それでも漏れ出てしまう所に、俺の興奮度合いが否応なしに高まっていく。


「んちゅ……ぁん、んんっ……ちゅっ……あぁん」


 更に激しく咥内を攻めると、彼女の口から漏れる甘ったるい声もどんどんと大きくなってきた。

 俺の動きに応えるように懸命に舌を動かすその姿は、献身的という言葉では片付かないほど。

 

 元お姫様とのディープキスがこんなにエロかったとは思わなかった……とは、これまでに何度も感じたことである。


「んんっ……んちゅ……はぁ……。はぁ……」


 そして、彼女の咥内を十分に堪能しつくしたところで、ゆっくりと唇を離す。

 俺たちの間に唾液の橋がつつっとかかり、そしてぷつんと途切れる。


 少し息のあがった様子のフェリシア。


 彼女の顔は真っ赤で、瞳も涙で潤んで宝石のようにキラキラと輝いている。

 混ざり合ったお互いの唾液が唇から垂れる姿は、惚けた表情と相まって抜群にそそる姿だった。


(さて、これならすぐにシても問題ないだろう)


 なんて考えていると、おもむろにフェリシアが立ち上がると、俺の目の前に立ち、


「へっ?」


 しゅるしゅると、自ら服を脱ぎ始めた。

 上着、ズボンと脱いでいき、下着姿になる。


 そのままブラジャーを外すと、支えがなくなったフェリシアの胸が重力に従ってぷるんっと震える。

 もちろん、その頂点を隠すものもなく、丸見えの状態だった。

 

 欲望のまま、彼女の胸に向かって手を伸ばす。しかし、


「……まだ、ダメです」


 途中で、その手を払いのけられてしまう。

 まるでお預けをくらった犬の如く、しょぼんと俯く俺。


「……ダメとは言いましたけど、そんなに落ち込まないで下さい」

「だって……」

「大丈夫ですよ。……後でいくらでも、触らせてあげますから」


 うん、やっぱりご褒美は後に取っておくものだな。

 しょぼくれた状態からあっという間に元気になる俺を見て、フェリシアが苦笑いを浮かべる。


 やっぱり、男って滅茶苦茶分かりやすいんだな。……俺限定なのかもしれないけど。

 それにしても、後から触らせてくれるとはいえ、それまではどうするつもりなんだろう?


 頭に疑問符を浮かべていた俺を他所に、彼女は残っていたショーツに手をかける。

 そして、


するっ


 ショーツをそのまま脱ぎ去った。

 彼女が身に着けていた最後のモノであり、彼女を隠していた布地は全て取り払われた形となる。


 正真正銘、生まれたままの姿。胸のてっぺん部分や、秘部の少し上に生えている陰毛まで全て丸見えの状態。


 裸になったフェリシアは、金色の髪も相まって一種の芸術作品のような、そんな気品に溢れた印象すら俺に与えていた。


 初めて彼女の裸を見た時にも美しいと思ったが、今はそれを超えて神々しさすら感じるほど。


「……あ、あまり、ジッと見ないで下さい」


 まじまじと見つめすぎたせいか、流石にフェリシアも恥ずかし気に身体を手で隠す。

 ただ、手のひらで隠せる場所なんて限られているため、中途半端に隠そうとした姿の方が、若干エロいまであった。


「ごめんごめん。あまりに美しかったからつい」

「もう……褒めても何も出ませんからね?」


 可愛く照れるフェリシア。

 先ほどまで、ディープキスをして蕩けた表情を浮かべていた彼女とはまるで別人だ。


「全く……じゃあ、収まらないうちに失礼しますね」

「失礼します……?」


 首を傾げていると、フェリシアの手が何故か俺の下半身へ伸びてくる。

 いつの間にか立膝状態になり、俺の目の前に跪くような姿になるフェリシア。

 そして、そのまま俺のズボンをずるずると脱がし始めた。


「……えっと、一体何を?」

「……だって、このままだとお辛いと思って」


 確かに、俺の分身はディープキス時からぎんぎんで、今にも破裂しそうなほど膨らんでいた。


 辛いは辛かったのだが、まさかフェリシアの方から脱がしてくるなんて……初めてシた時と比較して、随分と積極的になったもんだ。


「辛くないんですか?」

「……いや、辛い」

「……それなら、問題ないですね」


 素直に気持ちを吐露すると、止まっていた彼女の手が再びズボンを脱がしていく。

 

 ズボン、そしてパンツと順番に脱がしていき、俺の下半身を覆うものは何もなくなった。


「……相変わらず、ですね」

「えっと、なんかごめん」

「い、いえっ! 別に、謝る必要は……独り言のようなものですから」


 屹立した俺の下半身を凝視しつつ、フェリシアは答える。


 ……流石にそこまで見つめられると若干恥ずかしいな。

 平均くらいはあると思うけど、特別大きいわけでもないし……。


 小さい(笑)とか思われてたら、普通に泣く。男として、自信がなくなっちゃう。


 心の中だけで涙を流しかけていると、俺の股間にこそばゆい感触が走る。


 見ると、フェリシアがその細い指が俺の肉棒を優しく包み込んでいた。


「……今から、楽にしてあげますからね」


 俺の肉棒をうっとりと見つめると、そのまま顔を近づけていき、


「んぉっ!?」

「んんっ……」


 小さな口で俺の肉棒を咥え込んだ。

 

 肉棒が咥内に入り込み、生温かい感触に包まれる。


「んちゅ……じゅぷ、れろ……じゅぽ」

「あっ、……おぉっ……」


 自身の右手と顔を前後に動かし、咥内ではれろれろと舌を執拗に絡ませる。


 ぬめぬめの感触と、前後にしごかれる気持ちよさに思わず声が漏れてしまう。

 

「じゅぷ……ぇろ、……ど、どうでぇふか?」


 動きを止めることなく、上目遣いで尋ねてくるフェリシア。

 言うまでもなく気持ちいいのだが、彼女の格好がまた俺の嗜虐心を高める要因となっていた。


 彼女は立膝の状態から、四つん這いで俺のモノを咥える格好となっている。


 言うなれば犬や猫などの動物と同じ姿だ。

 普段2足歩行の人間が、その格好となるのはいわば屈辱的であり、服なども何も着ていない裸の状態。


 彼女が前後に動くたびに、形のよい胸がぷるんっと揺れているのも、俺の嗜虐心を刺激していた。


 別に俺はSでもMでもないのだが、目の前の光景を目にしてしまえばS心が目覚めてしまうのも、仕方のないこと。

 

 綺麗な顔を更に汚してみたいと思ってしまうのも、仕方のないことだった。


「……あぁ、すごく気持ちいいよ」

「んちゅ……じゅぷ……、よかったでふ」

「だけど、もう少しだけ気持ちよくしてほしいかな」

「? ……んごっ!?」


 フェリシアの口から聞いた事のないような、苦しそうな呻き声が漏れる。

 

 俺が彼女の頭を掴むと、俺の肉棒を咥内へより深く突き刺したからだ。

 いきなり喉の奥まで肉棒を刺し込まれたフェリシアは目を白黒とさせ、その瞳からは苦しさから涙が溢れている。


「んごっ……んぁ……じゅぷ、じゅぽ……ぁん」


 しかし、苦しそうな表情を浮かべる反面、確実に彼女は感じているようだった。


 俺が押さえつけているのもあるが、抵抗らしい抵抗は特にない。

 一応、本気で嫌がるようだったらすぐにやめようと思っていたが、フェリシアは今の行為を受け入れている。


 されるがまま、動かされるがまま。

 俺の肉棒を咥え込んで刺激を与え続ける彼女の乳首は、ぴんっと屹立していた。


 試しに右手でその乳首を摘まみ上げると、彼女の身体がビクビクッと分かりやすく震える。


「ごほっ……あぁん! そ、そこは、だめ……」

「ダメだぞ。急に口を離したりしたら」

「んぐっ!?」


 急な刺激を受けたフェリシアが一度口を離すも、俺は空いていた片手で彼女の後頭部を掴むと、再び強引に肉棒を咥え込ませた。


 くぐもった声が漏れ、フェリシアが一瞬白目をむく。

 普段は整ったお姫様の顔が崩れるその姿をみて、俺は否応にもなく興奮していた。


「じゅぷ、んごっ……じゅぽ、んぐっ……ぁあん!」


 肉棒を咥え込んだままの彼女の顔は既に涎で所々、べとべとになっている。

 嬌声を上げるたび、俺のモノに歯を立てないように必死の様だった。


「んじゅ……ぁん、じゅぽ……ゃん……。ゆ、ゆうひょ、ひゃぁん!」


 乳首をいじるたびに腰を震わせるフェリシアは、これ以上はダメとばかりに上目遣いで俺を見上げる。

 恐らく、彼女の中で限界が近いのだろう。


 そういう俺も限界が近く、お互いに達するのも時間の問題だった。

 

「ふぇ、フェリシア、俺も、そろそろ……」

「じゅぽ、……んぐっ、……うっ……ぁあっ!」


 肉棒を咥えているフェリシアから返事はなかったが、これ以上我慢はできそうにない。

 俺は彼女の頭をしっかりと固定すると、


「うっ……で、でるっ!」

「っ!?」


 フェリシアの咥内へ溜まっていたモノをぶちまけた。


 どくんっ、どくんっ、と肉棒が波打ち、どろどろとした白い液体がフェリシアの咥内を汚していく。


「んぐっ!? ……んっ、……っ、……っ」


 一方、白濁液を注ぎ込まれた彼女も同時に達していたのか、ガクガクと腰が震え、秘部からはぷしっと勢いよく愛液が噴き出していた。


 身体は小刻みに痙攣を繰り返し、達した激しさがよく分かる。


 俺も俺で、こんなに出たことがあるのかというほど、大量に出していた。

 多分、酔いやシチュエーションのせいもあったと思うが、それでも出し過ぎである。


 しかし、そんな俺の出したものを懸命に飲み込もうと、フェリシアの細い喉がこくこくと細い喉が動いている。


 目はトロンとしており、焦点はあっていない。だから、ある意味本能的に飲み込もうとしてくれていた。

 こんなもの、美味しいわけがないのに飲みこもうとするその健気な姿は、先ほどまで好き勝手やっていたことを反省するほど。


 そして、全てを出し切った俺は思わず仰向けに倒れ込む。

 畑仕事をやっていた時よりも疲れたぞ……。


 一度息を整てたから起き上がると、トロンとした瞳のまま女の子座りをするフェリシアと目が合った。

 

 先ほどまで俺のモノを咥えていた口からは白濁液が漏れ出ており、煽情的な姿に拍車をかけている。


「だ、大丈夫か?」

「…………はっ!」


 あまりに反応がなかったので俺が声をかけると、正気に戻ったのかフェリシアの瞳に光りが戻る。

 同時に、先ほどまでしていた行為を思い出したのか、猛烈に顔が赤くなった。


「わ、私は、一体何を……」

「いや、あれは半分俺が調子にのったのが悪いから」

「そ、そうですよ!! 私としてはもう少しゆっくりやろうと思ったのに、ユウトさんが無理やり……」

「ごめんなさい」


 本当にフェリシアの言う通りである。

 調子にのったとはいえ、あそこまで無理やりやる必要はどこにもなかった。


 俺がしゅんとした表情を浮かべていると、


「……まあ、でも、のってしまった私も悪いですし、そこまで怒っていませんから。それに無理やりされるのも、悪くなかったですし……」


 よかった。彼女に曰く、そこまで怒ってはいないようだった。取り敢えず一安心である。

 ……最後の言葉、聞こえていないと思ってるみたいだけど、バッチリ聞こえてるからな?


 フェリシアは、意外とMっ気があるのかもしれない。だからといって、毎回毎回、無理やりやるのは違うと思うけど。


「……こほんっ! 先ほどまでのプレイは忘れるとして――」

「忘れられない場合は?」

「出来るだけ、忘れる努力をしてください!」


 あんな刺激的な出来事、そうそう忘れられるわけがないんだけどな。

 しかし、フェリシアが頼むのであればなるたけ努力はしよう。


「まったく、ユウトさんは……ユウトさんは、まだ終わりだと思っていませんよね?」

「……まあ、そりゃあ」


 先ほど出し尽くしたとか言ってたけど、目の前のフェリシアの姿を見たら立ち上がってしまうのが、男の定めというわけで……。


「……私はまだ、してもらっていませんから。だから……今度は優しくしてください」

「……出来るだけ善処します」


 結局、宿屋で泊ってることをいいことに2回しました。


 ちなみに、次の日に寝坊して家に帰るのが遅くなり、レイとスカイラから咎められたのはまた別のお話。


 

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