第18話 不器用な恋愛

 ケルベロスの召喚阻止の任務の前に日の事である。私はアイリスさんと学食でランチであった。


 食べているのはコロッケ定食である。すると、見た事のある人物が近寄ってくる。


「一緒に食べて良いか?」


 それはカエスルさんであった。基本、学園の幹部以外はこの食堂でランチを済ます。


 カエスルさんと一緒になってもおかしくないのである。


「だ、大丈夫です、一緒に食べましょう」


 私は顔が赤くなり不意打ちをくらった様子でいると。


「邪魔者は消えるわ」


 アイリスさんは立ち上がり去って行く。


「アイリスはどうした?せっかく、三人一組のチームになったのに……」


 カエスルさんは、ホント、恋に関しては鈍感だ。しかし、改めて二人きりになると、何を話していいか分からない。


 私がモジモジしていると。


「あ!カエスルさんだ!」


 現れたのはメアリーさんだ。そう、カエスルさんは追憶の恋が薄れ、近づくなオーラが消えて、女子の人気者になっていたのだ。


 結果、メアリーはカエスルさんの隣に座り。ハンバーグ定食を食べ始める。


 むー、この胸のザワザワは嫉妬なのか?


「メアリーさん、カエスルさんとは重要な打ち合わせ中なの」


 私は勇気を振り絞って、嘘をつく。


「あら、残念、また、朝練で待っていますね」


 メアリーさんは渋々、去って行く。


「エルフローラ、重要な打ち合わせとは何のことだ?」


 しまった、これは絶体絶命だ。


「嘘です、風邪気味なので、明日の任務に支障が出ない為に甘えたいのです」

「風気味で甘えたい?」

「はい、胸がドキドキするのです」

「それは風邪なのか?」

「違いますかね?」

「解かった、頭をナデナデしてみよう」


 何だ、この会話は……?


 かなり適当なやり取りだ。


 私が小首を傾げていると。カエスルさんは私の頭をナデナデしてくる。


 カツー!!!


 胸がドキドキして茹でダコの様に顔が赤くなる。


「確かに、熱がありそうだ。ところで、頭をナデナデすると治るのか?」

「はい、とても、愛おしいです」

「しかし、恥ずかしいな。私も胸がドキドキする」


 この不器用な恋愛の噂は直ぐに広がり。バカップル扱いをされる事となった。

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