第15話 戦場の残酷さ

 雨の中、王都北の森に進んでいた。


「皆、久しぶりね、三人で集団行動をするのは……」


 そう、皆、イマジネーションの訓練で忙しかったからだ。


「二人とも聞いて、私、故郷に帰って、子供達を勇者として守ってあげたいの」


 デイナさんが恥ずかしそうに語る。アイリスさんは不機嫌である。きっと、訳ありだ。


 でも、私はナジナ族の里を救ってくれたカエスルさんに憧れて勇者の道を選んだ。

うん?


 雨がやんだ、急ごう、王都北の森はすぐそこだ。


 そして、森の中に入ると、魔族の気配がする。私は拳を握り締めてイマジネーションを発動する。光と共に魔法少女の様な魔装姿になる。


 現れたのは数体の三級魔族だ。アイリスさんとデイナさんも戦闘態勢を発動する。


 私も聖剣を抜く。


「ここはたたみかける」


 私達はそれぞれのイマジネーションで数体の魔族を粉砕する。


 弱い、弱すぎる。これが二級事案なのか?


「ひ、ひ、ひ……これは面白いモノが見られるだろう」


 私達を見て不気味に笑うのは零級魔族だ。しかし、その気配は弱く。私達は油断していた。


「は!!!!」


 魔族が気合を入れると、魔族は消えてしまう。


「ひ、ひ、ひ……」


 デイナ????デイナさんから不気味な笑い声がこぼれる。


「この体、貰い受けた」


 殺気?


 私は本能的にデイナから離れる。すると、黒い雪が降り始める。認めたくない現実だが零級魔族にデイナの体が乗っ取られたのだ。


「この体、氷の技にたけている。この黒き吹雪は貴様らを殺すだろう」


 零級魔族の言う面白いモノとは同士討ちだった。


「どうする?エルフローラ?デイナを殺すのか?」


 アイリスさんは完全に動揺している。


「あ、危ない!」


 私はアイリスさんに飛んできた氷の槍を切り裂く。その後の闘いは劣勢をしいられた。アイリスさんには無理だ、ここでデイナさんを殺せるのは私だけだ。私はふわりと地面から離れると高速でデイナさんの間合いに入り。


 聖剣で両脚を切る。


 倒れ込むデイナさんに剣を突き付ける。


「終わりだ」

「ヒーーーイ、殺される」


 その言葉と共に零級魔族はデイナさんから離れて逃げてしまう。


 どうやら、最悪の事態は避けられた。


 私は意識の無いデイナさんに応急処置をすると学園に戻る事にした。


数日後


 医務室から寮に戻ってきたデイナさんは車椅子姿であった。


「もう、歩けないらしいの、勇者になる夢は消えちゃった」

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