第14話 苦難の日々の始まり

その後、学園の寮に向かうと。


「エルフローラ先輩!」


 うん?後ろから見知らぬ女子が声をかけてくる。


「今年、入学した後輩のメアリーです」


 そうか、もう、一年経ったのだ。


「先輩は凄いのですよね。聖剣に選ばれて、入学して数日でイマジネーションを発動したのだから、もう伝説級ですね」


いや、そこまで褒められると照れるな。


「そして、私が選ばれたのです、先輩と同じカエスルさんとの朝練に」


 ……。


 そうか、試験に合格したのだ。カエスルさんの朝練は終わったのだ。本当に大切な時間が終わりを告げた気分だ。


「すまない、少し独りにしてくれないか?」

「あ、先輩は、お忙しいのですね」

「まあ、そんなところだ」


 私は寮の自室に入ると誰も居なかった。涙が少しこぼれた。独りか……。


 翌日、私とデイナさんとアイリスさんと共に理事長室にいた。


「集まってもらったのは他でもない、君たち三人は卒業試験のイマジネーションの実演を済ましている。そこでだ、君達は特別予備隊として戦闘に参加してもらう。問題ないね」


 私達は静かに頷くと、理事長は真剣な顔になる。よいよ、実戦か勇者としての第一歩だ。


「では早速だ、王都の北の森に魔族が拠点を作っているのだ。そこの魔族を撃退してくれ」


『はい』


 三人で揃って返事を返す。


 理事長室を出ると渡された資料を見る。二級事案か……。


 注意事項として、零級魔族の確認されているのか。


「大丈夫です、一級魔族は確認されていない事案です。確かに零級魔族は厄介ですけど、なんとかなります」


 デイナさんが不安な気持ちでいる私に声をかけてくれた。


 ここで説明すると、一級魔族は魔族の中で一番強いとされ、二級、三級と続く、そして、零級魔族は特殊な技にたけているのである。

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