第13話 恋心
その後は退屈な学科の授業が続いていた。
今日は国際政治の授業だ。
「隣国との紛争が続くが、対魔族の協力が得られない。この人間族の危機に政治が麻痺している現状を諸君らどう思う?」
ふ~あ、退屈な授業だ。私は教室の窓から今日の天気を見ていた。
「では、指名して、エルフローラ、君はどう思う?」
え?
「戦争は良くないと思います」
「具体的な解決策の例を上げよ」
「せ、せ、せ、せ、せ、政治の事は良く解かりません」
「簡単な提案でいいから答えなさい」
うううううう
「お腹が痛くなったのでトイレに行きたいです」
「逃げるのか?」
「はい、その通りです」
教室は爆笑する。
あいたたた。
学科は苦手なのに酷い目にあったな、私は急いでトイレに向かう。今日は、このまま、エスケープしよう。朝練の場所である校舎裏に向かう事にした。
校舎裏に着くと先客がいた。そう、カエスルさんが座っていた。
「カエスルさんもずる休みですか?」
「まぁ、そんな所だ」
これは好機、カエスルさんと二人きりだ。私はカエスルさんの隣に座る。それは恋人同士と言っていい雰囲気であった。心が和む、ああ、このまま時が止まれば良いのにと思う。
「ところで、エルフローラ、本当に必殺技が『逆十字切り』でいいのですか?」
「はい、カエスルさんの呪縛……いえ、追憶の想いが、未来を切り開く技の名前にぴったりだと思ったからです。ダメですか?」
「問題無い、この追憶の想いが未来を切り開くのだ、死んだレイナも喜んでいるはずだ」
カエスルさんは優しげに微笑む。よし、ここは積極的に、私はカエスルさんの手を握り、カエスルさんの大きな体に寄りかかる。
うわー、カエスルさんの吐息が聞こえる。胸のドキドキが最高潮になる。
そして、胸のドキドキから心はカエスルへの愛おしさに変わりウトウトとして浅い眠りに着く。
それは心の底から安心できる瞬間であった。
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