第11話 運命

 気づくと、医務室のベッドの上だった。カエスルさんと医務室にまで歩いてきた記憶は有るが。


 ベッドに倒れ込んだらしい。


「起きたか?」


 カエスルさんが隣のベッド上に座っている。


「私はイマジネーションを使って魔法少女の様に変身して聖剣を収めたはず……」

「あぁ、最強と言える戦闘力の強化のイマジネーションであった」


 この世界には魔装と言う概念がある。特殊な服を着る事で特別な力が得られるのだ。


 魔法少女の様な姿は戦闘力の強化の象徴で爆発的な力を得たのだ。


「イマジネーションはこの学園で三年間学んで卒業試験に使うのだ。この学園に来て数日で使えたのだ、天才と言っていい」


 えへへへへ、照れるな、しかし、カエスルさんの恋心は撃沈である。


 私は複雑な気分でいると、医務室の医者が近づいてくる。


「最高決定会議に呼び出しだ」


 最高決定会議か……私のこれからの運命が決まるのか。


 私は理事長室の隣の会議室にいた。理事長を先頭に学園の幹部達が顔をそろえていた。


「エルフローラ君、この会議の意味は解かっているね」

「は、はい」


 緊張するな、私は聖剣を暴走させて校舎を壊してしまったのだ。


「それで、要件は簡単、君は聖剣を制御できるのかい?」

「私のイマジネーションは不完全です。正直、自信はありません」

「では、執行猶予を与える。君は学園の第七条に違反している。即、退学処分もできるが、それは余りにも厳し過ぎる。これから一年間かけてイマジネーションをマスターしたまえ」

「ありがとうございます」


 ふう~退学処分だけは免れた。


「その様子だと、執行猶予を受け入れるとの事かな?」

「はい」

「決まりだ、当然の事だが聖剣は宝物庫に保管しておく。問題ないね」


 ああああ。せっかく、大勇者の残した聖剣の保有者になれたのにな……。


 でも、私のイマジネーションを完成させればいいのか。


「カエスル君、これからも専属での訓練をお願いする」

「はい、このカエスルが責任を持って務めを果たします」


 ここで最高決定会議は終わった。


 これから一年間はカエスルさんと一緒だ。きっと、この恋も叶うはず。


―――……。


 それから一年の月日が流れた。

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