第10話 最強のイマジネーション

 すると、勇者騎士特戦隊が駆けつける。この三人の特戦隊は王都の治安維持の切り札だ。


「下がれ、この生徒は俺が全権を握っている」


 と、カエスルさんが言うと剣を抜く。


「イマジネーション!」


 その言葉でカエスルさんの剣が巨大化する。


 聖剣に意思を奪われた私は校舎を壊すのを止めて。カエスルさんに剣を向ける。


 それは壮絶なバトルとなった。


「聖剣よ、何故、荒ぶる?大勇者の残した剣なら暴走など無意味のはず」


 その言葉に合わせた様に、戦況は次第にカエスルさんが勢いを増す。聖剣と巨大化した剣とは確かに聖剣の方が強い。しかし、ただ、振り回すだけの聖剣は剣術をマスターしたカエスルさんにはかなわなかった。


 私は校舎わきの水道に叩きつけられる。壊れた水道から水が溢れ出し、ずぶ濡れになる。


「私は……何を……」


 暴走した聖剣の呪縛から少しだけ意識を取り戻す。きっと、もう、私を殺すしか聖剣を止められないのであろう。


「意識が回復したか、しかし、聖剣は止まっていない。エルフローラ、最後に残す言葉はあるか?」

「イマジネーションの方法を教えて……」

「良かろう、イマジネーションは成りたい自分を『天』に込めるのだ」


 私は薄い意識の中で天を行い、イマジネーションを試してみる。すると、全身を輝きが包むのであった。それは異世界の魔法少女の様な変身である。


「こ、これは???イマジネーションによる戦闘力のばく大な増加だと!!!」


 それはピンクと白を基調とした姿にトンボの様な羽まで生えていた。


 私は深呼吸をすると、暴走する聖剣を鞘に収める。


「聖剣を制御した……これがエルフローラのイマジネーション……」


 カエスルさんは剣の巨大化を静めて戦闘態勢を止める。


「カエスル、これから、どうするのだ?」


 特戦隊がカエスルさんに問いかける。


「見ての通りだ、聖剣を制御したのだ。これ以上戦う意味は無かろう」

「わかった、この先は学園の最高決定会議に任そう」


 特戦隊は撤収してしまった。これで安心してイマジネーションを解ける。


 普通の姿になった私は初めてイマジネーションを使った反動でクタクタであった。


「立てるか?」

「はい、なんとか」


 私とカエスルさんは、お互い傷だらけなので医務室に向かう事にした。

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