第7話 誰よりも強く
その後、私はカエスルさんと共に理事長室に来ていた。勿論、輝く聖剣も一緒だ。
「今日は日食の日だ。これは偶然ではなく。エルフローラ君だったね。聖剣が君を選んだのであろう」
理事長さんが難しい顔で語ると、聖剣の鞘を取り出す。
「エルフローラ君、時代が大勇者を求めているのかもしれない。特別メニューのカリキュラムを用意しよう。カエスル、君が専属コーチになってもらうよ」
「はい、理事長」
ええええ、カエスルさんが専属コーチ?
ひょっとしたら、この恋が叶うかもしれない。胸が熱くなり、期待と不安が交差する気分であった。
「とにかく、今日は休むといい。寮の部屋への行き方は分かるよね?」
「はい」
理事長室を後にすると、寮の部屋に行く途中の事であった。特別メニューは朝練である。授業前にカエスルさんと朝の特別な訓練をするのだ。
毎日、カエスルさんと一緒か……。
そんな事を思いながら歩くのであった。
寮の部屋に入るとデイナさんとアイリスさんが待っていた。
「凄いよ、エルフローラさん、伝説の聖剣に選ばれるなんて」
デイナさんは憧れの眼差しで見てくる。それに対してアイリスさんは不機嫌であった。アイリスさんはどうやら、誰よりも強い力が欲しくて、この学校に入学したようだ。
「いきなり、大差をつけられたわね、これからはライバルよ。私は誰よりも強くなる」
そう言うと皆で寝る事にした。明日から本格的な授業は始まるからだ。
翌朝、私は学校の校舎裏でカエスルさんと二人きりだ。
「これから朝練を始める。先ずは『天』を覚えてもらう。『天』は体内のオーラを一点に集めることを呼ぶ、お手本を見せよう」
カエスルさんは木刀を両手で握り締めるとオーラが手に集まる様子が感じられる。すると、木刀にもオーラが満ちてくる。
そして、大きな岩に向かうと木刀で岩に切り付ける。
『ガジン!』
大きな岩はバラバラに壊れる。
「これが『天』だ、両手にオーラを集めて木刀に『天』をかける。無機質なただの岩なら簡単に砕く事ができるのだ」
カエスルさんは私に木刀を手渡すと『天』の実践をうながす。私は両手にオーラを集めるイメージをする。
「うん?紅の瞳が輝いている。これがナジナ族のポテンシャルの高さか……」
ダメだ、カエスルさんの言葉に集中できない。戦闘で使う技だ、気が散るなど言ういい訳はできない。
「ふ~う、ダメです。『天』が使えません」
「焦ることはない、これから毎日の訓練で覚えればいい」
私がしょげていると。
「次は剣術の訓練だ」
えげ!
私は『天』の訓練に疲れきっていたのにまだするの?
この特別メニューの訓練はかなりハードだ。
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