第6話 選ばれし者

 その後、国家勇者騎士高等学校に着くとその学園の大きさに驚く。全校生徒は三十六人と少ないが、この学校はこの国の対魔族の司令塔として機能しており、卒業生が常駐しているのだ。


「さて、皆さん、ここでの最初の授業は宝物庫に行きます。そこで自分の武器を選んでもらいます」


 カエスルさんと共に学園の奥にある宝物庫に向かう。宝物庫の入口には警備員が二人いた。これは二十四時間の警備体制なのか。


 あああ、緊張するな。私に合う武器って何だろう?


 宝物庫の中に入ると新入生の十二人がそれぞれの武器を選ぶ。


 うん?


 奥に有るのは聖剣か?錆びているが剣気を感じる。私が聖剣に見惚れていると、デイナさんは短剣をアイリスさんはヨーヨーを手に取る。


 これは私も早く自分に合う武器を選ばなければ。その時である。宝物庫の扉が壊されて、魔族が入ってくる。


「バカな、ここの警備の突破は一級魔族でも難しいはず」


 カエスルさんが明らかに動揺している。


「俺は特質系の零級魔族、戦闘力は低いが人間の足止めにはたけている」


 その魔族の言葉と共にカエスルさんの足元に術をかける。


「なに!!!体が動かない」

「貴様も足止めしてやった、これで聖剣を壊せる」


 魔族の狙いは聖剣か……私は聖剣を守ろうと聖剣に触れる。


 ピカ!!!


 聖剣から輝きが放たれ、剣先から錆びが落ちる。


「これは????聖剣がエルフローラを選んだのか!!!」


 私が聖剣の輝きに驚いていると、カエスルさんが叫ぶ。これはこの聖剣で魔族と戦えとのことか。


聖剣を抜くと魔族と顔を合わせる。


「バ、バカな、聖剣の使い手と戦えと?」



 魔族は完全にひるんでいた。私は聖剣を握り締めると魔族に剣を突き立てる。


「ギャー」


 魔族はあっけなく倒れ霧状に壊れていく。


「た、倒せた……」


 私は恐怖のあまりに腰が砕けて座り込む。これが私の勇者としての始まりであった。

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