第2話 再会
そして、王都に入った私は大興奮であった。高い建物にバザーの賑わい、大通りを歩く王都騎士団のカッコ良さ。何を見ても驚きの連続であった。
私は少し危険だが、裏通りも見に行く事にした。それは抑えきれない好奇心であった。
しかし、裏通りは目が死んだ人々の巣窟である。
「お嬢ちゃん、死にたいの?生きて帰りたければ全財産を置いていきな」
え?いきなり強盗?私は屈強な五人組の強盗に取り囲まれる。
「止めな、困っているじゃないか」
そこに、見るからに強そうな男性が声をかけてくる。あれは……カエスルさんだ!!!
「おい、あれはカエスルだぞ」
強盗の一人がカエスルの言葉を言うと、散り散りになって逃げていく。なんて偶然なの、私の王子様が助けてくれた。
「カエスルさん、覚えています?ナジナ族のエルフローラです」
「すまない、覚えていない、俺の人生は複雑でね、子供の頃は奴隷、その後戦場の最前線で戦い、そして傭兵となり、今は国家勇者騎士高等学校で教師をしている」
ええええ!!!
凄い、偶然だ。これから通う国家勇者騎士高等学校の教師なんて運命の再会でしかない。憧れのカエスルさんが先生として毎日会うのだ。
私は大興奮であった。
「ニュース、ニュースです。私は、その国家勇者騎士高等学校に今年度の新入生です」
「それは確かに偶然だな、なら、こんな裏通りに居てはダメだ。今日の日付で宿の集合のはず」
「え……?」
入学の書類を見返すと王都の宿に集合とある。てっきり、私は学校まで一人で行くつもりであった。
「さて、集合時間が近づいてきた。一緒に行くか?」
「はい」
私はカエスルさんの言葉に心臓がドキっとした、それは切なくて甘い気持ちであった。
ひょっとして、これが恋?
憧れの勇者様に再会してその感情が恋に変わったのだ。
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