アリシアと言う名の女

「ふぅ……」

コージの部屋から

与えられた自室に戻り一息付く。



王女役として与えられた広い部屋は

自分のものと呼べるものは無く、

少し息が詰まるような部屋だ。


それでも今は王女役を脱ぎ、

ただのアリシアに戻れる唯一の時間だ。



先ほどまで王女として

コージの夜の相手をしていたが

子供が出来たのも確認出来たし、

その事をコージに報告して

零参部隊隊長としての

責任を感じてもらったので、

事前に口腔内に仕込んでいた睡眠薬を

キスするようにして飲ませて眠らせてきた。


長々と彼に付き合う必要は

どこにも無いからだ。



コージも近々行われる大規模作戦で

が確定で、

作戦が始まれば

私の王女としての役目も終りだ。


イリス様の説明だと

零参部隊はの部隊だそうだ。


昔は存在しなかったが、

異世界勇者の助言にて構成された部隊で、

敵の数は減らすために組織され、

一度作戦が始まれば零参部隊の隊員には

生き残るという選択肢は無くなるとのこと。


そして今回の作戦が成功すれば

零参部隊は解体し

イリス様の目標が達成されるとの事。

零壱と零弐は残るらしい。



イリス様の目標がどのようなものか、

知っている人間はどれほどいるのか。


零弐部隊の1兵士である私には

知る由も無いが…

知ったところで私には関係は無いだろう。



今は子供の妊娠・出産に向けて

パラノギアのに存在する

西

しばらく身を隠す事になる。


コージには嘘の場所を教えておいた。


万が一作戦から逃げてきて、

私を追いかけてきたとしても

見つけれないようにだ。



……追いかけられても困る。



産まれた時から1兵士でしかない私には

任務以外の道は無い。



零弐部隊が私の帰る場所であり

私が生きる道なのだ。



今お腹に居るこの子が産まれたら

すぐに養成所へ送られるだろう。

そして私と同じく兵士として育成され、

いずれは零壱か零弐部隊の兵士となるだろう。



零壱も零弐もこの国にとって大事な部隊だ。

国内外を監視調査・操作するのに特化した

この部隊に所属し、任務がある事に

誰もが誇りを持っている。


この子も誇りを持って任務にあたるように

成長してもらいたいものだ。



零弐部隊としての誇りを持てば

任務のために子を孕むことも

決して苦ではなく、容易い事である。



自己強化で排卵を促し、

他者強化で下半身の血流や

脳へのアプローチで性的興奮状態を

引き出せば大体の男は

すぐさま行為に移行出来る。


もちろん排卵誘発剤等も利用するし、

興奮させる格好・仕草や

態度や発言も必要になるが、

整腸剤や下剤で部屋を一時的に

空けさせてを使う。


これでほぼ100%の男は

こちらが優位な関係に持ち込む事が出来る。


過去に異世界勇者の

って男だけはこれらを全て見切って

この国から逃げたらしい。



担当していた女性隊員は重い処分は無く、

二度と王族役が回ってこないだけだった。



王族役の女性は手当てが厚く、

妊娠中は至れり尽くせりのサービスも

受けられるのでオイシイ任務ではある。


次は私がって隊員は多いが

次があるのやら……



そういえばイリス様から渡されて

『王族に伝わるペンダント』として

コージに渡したあのペンダントは

何の意味があったのだろう?


念押しされたので、

よほど大事な物なのかもしれない。



…もしかして今回の作戦の鍵になる物?



でもイリス様の命令を変に詮索するのも

間違いってものよね。



せいぜい頑張ってイリス様の役に立ってね。

コージ君。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る