勇者コージは大人の階段を上る

「私と…子作りしてください!」

顔を真っ赤にして

懇願してくるアリシアに

「はい」としか言えなかった。


相手はネグリジェのような

薄手の寝間着でこの部屋に来て

依頼としてお願いしてきているのだ。

昼間に依頼を受ける旨のやり取りもある。


「では早速…」

と言いながら脱ぎだすアリシア。



…こんな簡単に童貞卒業

していいのだろうか?


そもそも王女様なのに

簡単に体を許していいのだろうか?

ラノベとかだと政略結婚のために

純潔を守らねばならないとか

あったがそれが無いのだろうか?


そんな事が頭を駆け巡ると


ふと


「あの…」


声をかけてしまう。



「はい。何かありましたか?」



「アリシアは王女ですよね?

結婚もしていないのに

子作りの相手をこんなにも

簡単に決めていいのですか?」




「………」



しばらく沈黙があった後



「これも王女としての責務です。」


覚悟を決めた顔で

重い口を開いた。



「魔王討伐のために必要なモノは

コージ様はご存じでしょうか?」


「えぇ・・と勇者でしょうか?」



「それも正解です。

確かに魔王を討伐するには勇者が必要です。

そのために我が国では勇者召喚を

繰り返し行っております。

しかしそれは半分正解で半分不正解です。」



「半分?」


「えぇ。

仮にすごく強い勇者が居たとします。

ではその勇者一人で魔王討伐まで

可能でしょうか?」



「その勇者の強さ次第ですかね?」



「まだ魔王の強さは明確ではないですが

勇者と強さが拮抗していて

周りに少し弱いけど邪魔する側近が

いたとしたらどうでしょう?」


「……勇者はやられてしまいますね。」


「魔王側が多くの兵を率いて

攻め込んできたときこちらは

強い勇者一人で対応可能でしょうか?

率いる兵士に勇者を充てたら

魔王討伐できる体力は残りませんよね?」



「………つまり強い勇者は数多く

用意しておきたいって事ですね?」



「そういうことです。

しかし勇者を召喚するには

手間と時間が必要です。

そこで兵士ならば強さに差はあれど

数をそろえる事が出来ます。


例え勇者が一人でも

強い兵士が勇者を守るように

数多く居れば勇者は万全の体調で

魔王と一騎打ちが出来る可能性が

高まりますよね?」



「兵士が……」


「そうです。

異世界勇者の血を引く子供は多くが

優秀な兵士に育つ事が多いのです。

この世界で生まれた人達よりも

異世界の要素が含まれる分

強くなるのかもしれませんね。」



「……」



「そのためこの国では昔から

召喚した勇者の方でも特に

『優秀な』勇者の方には王族が率先して

子作りを行い優秀な兵士として育て

魔王討伐に備えるのです。


今回短い期間で特級まで昇級した

『優秀な』勇者の方の子供を作る事は

私にしてみれば国務であり義務です。

あなたにしてみれば他の兵士では

出来ない事ですが、立場の高い

女性を好きなだけ抱くことが出来る

特権を得ているのですよ?」



そういってアリシアは自らの手を

俺の肩に乗せる。


何かが流れ込んでくるような感覚に

腰から下と頭が熱くなるのがわかる。


良い匂いもして頭がくらくらしてくる。


……今何を我慢しているのだろう?


本能のままに目の前の女を犯せば

いいじゃないか……



「それに…」


アリシアは妖艶な笑顔で体を寄せて

俺の右手を自らの下腹部に導き

優しく耳元で囁く。


は準備出来てますよ」



この言葉が引き金となった。



乱暴にアリシアを押し倒し

はだけた衣服を無理やり剥ぎ取り

本能に身を委ねる。



すぐに終わるかと思ったが

不思議と何度でも黒い感情が、

欲望が湧き上がる。



「まさか……何か……

食事に……?」



気が付いた時にはもう遅かった。


本能に従い動き出した肉体は

止めることが出来ず


疲労により彼が気を失い

目が覚めたのは翌日の昼だった。

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