勇者コージは訓練から自由になる

訓練所の近くまで来て


「そういえば…」


さっきの王の間での事で

気になった事を質問してみる。


「聖剣ヴァガボンドって何?」



グスタフはきょとんとした顔で


「あぁ…そっかそっか」


と そこからか~ みたいな

態度をとったのでイラっとした。


そんなこっちの感情を汲んでか

すぐに説明してくれた。


「聖剣ヴァガボンドは

異世界勇者が作った剣だ。


まぁ…

正確に言うと異世界勇者が

『ベネディクトに作らせた剣』だ。」




曰く

元々『日本刀』に興味関心が強かった

異世界勇者が魔王討伐のために

どうしても日本刀を作りたく、

ゴネてゴネまくった結果

工業都市ベネディクトで製造する事が

決まった剣ではあるが、

本人の拘りがとても強く

材料はもちろん炉から工房から

製造方法まで色々注文付けた結果

1から製造所を作ることになった。


そして新たに作られた工房で

何度も試行錯誤を繰り返す事数百回。


かなりの日数を費やして作られた剣は

こちらの世界には無い切れ味と丈夫さで

数多の者を容易く斬り伏せる事が

可能な事から聖剣と呼ばれていると。



そんな聖剣が頑張っている俺の物になると。



名前も某有名バスケ漫画家が

宮本武蔵の事を描いた作品に似ているし

きっとカッコイイ由来があるのだろう。


だがあまりに武器としては強く、

それ自体が価値があるものなので

普段持ち出しは禁じられていると。


似たような訓練用剣を用意してあるので、

普段の訓練時はそれを使い、

任務の際には持ち出して使う事が

許されているに過ぎないと。



使用感が鈍るのを防ぐために

監視者付きで訓練所で使う前提ならば

短時間の持ち出しも可能と言われたので

後で早速素振りでもしてみよう。



聖剣の説明ついでにサラッと


「お前特級の零参部隊だから

用意されている部屋は城の方にあるから。


あぁ…それと今日から訓練は

完全に自由な。

やってもやらなくても誰からも

何も言われんぞ。

任務あるまで好きに過ごせ。」



「…は?」


ついつい特級に昇級の喜びと

聖剣に対する憧れで聞き流しそうになるのを

必死に抑えた。


「だから…

お前の部屋は城に移動。

訓練所の個室の私物持って

城の個室へ移れ。


ついでに今日から訓練は自由。

やるもやらないも自由だ。

特殊な任務に合わせた訓練が

必要になるだろうから

ここでの訓練では基礎的過ぎて

対応しきれないだろうって事だ。


もちろんここに訓練しに来たら

俺が相手してやるぜ?」



グスタフはいやらしい笑顔で

宣言してきた。



いや俺ドMじゃねぇし。



さっさと個室から私物を回収して

お城で用意されている個室に向かった。

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