勇者コージはランクアップする

召喚されてから

20日程経過しただろうか。


互いに強化無しで剣だけの条件なら

だいぶグスタフともやり合える

そんなレベルまで強くなってきた。



これなら等級戦でも良い成績出して

等級上げるのも不可では無いかな。


グスタフともやり合えるなら

特級にもなれんじゃね?


と言う希望が芽生えてきた時



「本日は王様に呼び出されたので

登城するから訓練は無し。

少ししたら呼びに行くから

部屋で準備して待機しておけ」


とグスタフに言われて

部屋で待機していた。



「何かしたっけ?」


と頭の中をここ最近の事がグルグルするも、

訓練漬けだったので


『訓練の成績が良いから特別に

等級を上げよう』


的な措置じゃね?


とポジティブに捉える事にした。











しばらくしてノックの音がして

扉を開けたグスタフが

「そろそろ行くぞ」

と迎えに来たのでグスタフの後を追い

お城の王の間に向う。



最初に王様と顔合わせした部屋に着くと

王様と王妃様はもちろん、

王女様に側近の兵士達の他に

見たことの無い煌びやかな恰好の

オッサンやオバサンがこっちを見ていた。




事前に簡単なマナーを学んでおいたので

王の間の中心まで行くと片膝をついて

頭を下げて王様の発言を待つ。



少しの沈黙の後に王様から発せられた言葉は



「勇者 野上浩二

その者を特級兵 零参部隊長に

任命する」


突然の昇級だった。




「謹んで拝命いたします」



この返答は事前にグスタフから

教わった事だ。



待遇が良くなるだけの昇級を

断るやつはいないと思うが

王様の前で任命された事を

断るのは国に敵対するのと同じ事。


「詳しい内容までは教えれないが

何か言われても

『謹んで拝命いたします』って

言っておけ」ってグスタフに言われてた。



この事だったのだろう。



湧き上がる歓喜を顔や態度に

出さないようにじっと押し黙っていると

王様は続けて



「勇者 野上浩二には

【聖剣 ヴァガボンド】を授ける

これを以て一層魔王討伐へ邁進せよ」



・・・言葉が出なかった



何て返せばいいのだろう?



後ろからそっとグスタフの声で

「『ありがたき幸せに存じます』

って言っておけ」と聞こえた。



サンキューグスタフ



「ありがたき幸せに存じます」



そう答えたら周りの人達が拍手してくれていた。



「要件は以上だ、

かの者達は下がるがよい。」



この言葉の直後グスタフが傍に着て

「ほれ、訓練所に戻るぞ」

と言って背中を押されたので

そそくさと王の間を後にした。



王の間から少し離れたところで

我慢できずに

グスタフに詳細を聞く。


「俺特級になれたの!?」


おそらく相当なニヤケ顔だったのだろう。


「あぁ、そうだ喜べ…っていうか

すでに喜んでいるか。

訓練の様子を逐一報告してあったからな。

お前が評価された結果だ。」





『俺からすればあの程度の訓練で

特級になれるのは他が雑魚すぎるか

俺が才能の塊の天才だからか?』

とも思ったが

どうやらグスタフの報告が効いたらしい。

素直にグスタフに感謝だな。



続けてグスタフが

「特級と言っても細かく

部隊が分けてあってそれぞれ役割がある。

俺は特級 第一部隊の隊長で

主に王族や城の警護がメインだ。


お前が所属する零参部隊は特殊任務を

メインとしているが最近作られたみたいで

俺には詳しい事はわからん。


近々零壱・零弐部隊の隊長からコンタクトが

あるだろうからそこで色々教わるといいだろう。」




  最近(俺のために)作られた!


  特殊任務専門部隊!


  隊長!



この事が頭から離れずしばらくは

グスタフの話は右から左に流れるように

頭に入らなかった。

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