勇者コージ等級の差を知る
「あ…あの」
イリスと言う女性が気になって
つい声をかける。
思いつく事は無かったが
何か会話がしたかった。
咄嗟に
「あなたがこの部屋の担当ですか?」
何ともおかしな質問だった。
食事を持ってきているからには
部屋の担当者で間違いないだろう。
ところが返ってきた答えは違った。
「いいえ。
今回は顔を覚えていただくために参りました。
立場的には侍女長になります。
普段は王女様やグスタフ様の
担当をしております。」
グスタフ様…
特級兵になるとそう呼ばれるのか…
と思っていると
「グスタフ様から説明があったかと
思いますがお部屋の担当者は複数の部屋を
1人が担当する形になります。
その為細い要望等は入口近くの意見箱か
お部屋の机の上にメモを残して下さい。
食事の要望等はすぐにではございませんが
叶えられるよう努力します。」
と矢継ぎ早に説明を受けた。
グスタフからは聞いてない情報だった。
「ちなみに」
とイリスが続けた。
「かつて異世界勇者が
お部屋の世話役が『下の世話』も
担当してくれると勘違いして
無理矢理迫った事がございます。」
直後
シャキィィィィィィィィン!!
金属音と共に目の前に
閉じられたハサミが見えた。
イリスの右手には閉じられた
ハサミがあったが、
ハサミを出した瞬間も
開いたハサミを閉じる瞬間も
一切見えなかった。
イリスはニヤリと笑い
「その者のそのモノは切り落としました。
異世界勇者はこちらの世界の
ルールを存じ上げない方が多いようで
事前に説明しておきます。
同じような事は考えないよう
お願いしますね。」
と言った。
「双方の同意があればその限りでは
ございませんので。」
「同意があればいいのか?」
「えぇ。
1級兵や特級兵の妻となれば
将来は安泰ですので女性の方から
アプローチも多くなります。」
と言うことはグスタフクラスになれば…
と考えていると
「グスタフ様に妻は数人ございます。
この国は一夫多妻制も認めてますので。」
……立場の違いを知った。
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