勇者コージ褒められて喜ぶ


「伸びる可能性がある」



そう言われ嬉しくなった。

自分の才能を褒められたのだ。



思えば物心ついた時から

出来のいい兄貴と比べられ

自分ではいい出来だと思っても


「この程度?」

「お兄さんの方が出来てた」

「大した事無い」


と親から言われ続けていた。


学生時代から何かと器用だった兄貴は

スポーツもそこそこ出来て

それほど勉強しなくても

テストでは良い点が取れた。


友達も多く

休みの日は数人が兄貴の部屋で

騒いでいることも多々あった。


例えどんなに騒いでても

兄貴は怒られる事は無かった。



そして就職して兄貴は家を出た。



兄貴が家から出てからは

兄貴との比較は加速した。



そのうち存在すらも否定され始めた。


頑張って兄貴と同じ結果を出しても

決して認められなかった。



そして心が折れた。


頑張る事の無意味さに気が付き

努力を諦めた。


自分が変わっても

周りが変わる事は無いと悟った。


自分は無価値だと言い聞かせた。



しかしここでは才能があると言われた。



初めて自分に価値があると思えた!


今からでも努力すれば輝ける!


心の底からそう思えた。

思わず笑みがこぼれる。

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