痛い系な誘拐
ホテルに向かう道中、3人はこんな会話をしていた。
「エディタの胸はとても形がよかった。
楽しみじゃ」
アンドレーが言うと、
「そうなんですか。
では、なんとしてもハーレムに引き入れなければなりませんね」
エミーリアが言った。
オリーヴィアもつづけた。
「アンドレー様、きっと大丈夫ですわ。
彼女はさっき、アンドレー様の名前を聞いただけで顔が赤くなってましたもの。
彼女の心は、すでにアンドレー様の手の中でございます」
「それはよかった。
すべてはポムのおかげじゃ。
奴のおかげで『ピンチになったら駆けつける王子様テンプレ』を実演できたのじゃから。
奴は、我の踏み台になるボランティア活動をしてくれた。
お礼をしてもいいぐらいじゃ」
それから色んな話をした。
やがて、ホテルの部屋についた。
トントン、エミーリアがノックする。
「ジアーナ。アンドレー様が戻られたわよ」
・・・・・。返事がない。
トントン。
「ジアーナ」
ふたたびよびかけても返事がなかった。
「あの子ったら、またどこかへ行ったのかしら」
オリーヴィアが言いながらドアノブを回してみると、簡単に回ってしまった。
「あら? 鍵が掛かっていないわ」
ジアーナの無用心さに、呆れるオリーヴィア。
「ちょっと、ジアーナ!
もうちょっと危機感を……」
オリーヴィアが、そう言いながらドアを開けた瞬間であった。
みなの顔に緊張が走った。
室内の様子が変だった。
争ったような形跡があった。
食べかけのパン。
床に転がるコップ。
絨毯にこぼれた飲み物。
その他、いろんなものが乱れていた。
部屋のどこを探しても、エディタとジアーナの姿がなかった。
アンドレーは、玄関ドアの内側を見た。
一枚の紙切れが、ナイフで打ち付けられている。
紙には以下の文言が書き殴られていた。
「アンドレー 1人でここに来い
2人の女と一緒に待ってるぞ
BY ポム」
指定された場所は、町の外の辺鄙な場所だった。
「まぁ! 大変だわ」
エミーリアが心配そうに言った。
「スキルを使うために、町の外に呼び出したのね」
オリーヴィアが言った。
きな臭くなってきた。
アンドレーは、満足そうな顔で腕を組み、こんなことをつぶやいた。
「これでさらに我の株が上がるな。
ポム、グッジョブ」
アンドレーは、2人を部屋に残して指定の場所に向かった。
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