第15話 誕生会に出席しよう!

 従者にしたロリ獣っ娘をイストネル領に速やかに移送する手続きを父親に頼んだ。あの娘が王都に居ても何もする事がないからな。あ、そういや名前聞いてなかったわ。まあいいか、とりあえずマルシェラに任せておけばきっと何とかしてくれるだろう。ボサボサからもさもさくらいには毛並みの状況改善を期待したい所だが。


 俺もさっさと家に帰りたい気持ちはあるんだが、ロイヤル獣っ娘次第では帰るのが遅れるかもしれないからな。場合によってはそのままロイヤル獣っ娘の領地に行って娘さんを僕に下さいムーブをしないといけないからだ。レイプ目獣っ娘のケアとロイヤル獣っ娘の御機嫌取り、両方やらなくっちゃあならないってのが転生者の辛い所だな。だがこんな苦労なら望む所だぜ!!



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 ついに待ちに待った誕生会の日。一体どんなロイヤル獣っ娘と出会えるのかワクワクが止まらない。なるべくなら狐と犬以外の獣人が望ましいが、この際被っても構わない。いや、今来ているビッグウェーブを考えれば本命は猫、対抗に熊か兎あたりが来るのは確定的に明らかだ。


 さて、どうやってもふもふまで持ち込むべきか…無理強いは論外、やはりここはストレートに尻尾の素晴らしさを褒め称えて触らせてくださいと頼むべきだろう。それでダメなら偶然を装って…いやいや、そんなの駄目だろ。レイプと変わんねえから。

果たして一体どんなロイヤル獣っ娘と運命の出会いがあるのか。俺は期待に胸を膨らませて王城の門を潜ったのだった。



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 父親が侯爵という事もあってか、会場に入場するのは侯爵未満の貴族連中が会場入りした後らしい。あまりに暇なので両親にめぼしい貴族でどんな奴が来てるのか聞いてみる事にする。お楽しみは後に取っておきたいが、少しフライングするくらいなら問題あるまい。俺はもう我慢できねえんだ!


 ふむふむ。イストネル含めた4侯家は全員今年5歳児がいると。どいつもこいつも計画的だな。その中で現在5歳になってるのは俺とアレスとウェスタング侯爵家のガキの3人か。残り2家は両親だけが参加してると。どうでもいいなそんな情報。獣人じゃない他の侯爵家なんて興味ないし。知りたいのはロイヤル獣っ娘がいる貴族家情報だよ!!


 でもあからさまに獣っ娘狙ってますと親に告げるのはちょっと恥ずかしいから遠回しに聞くしかねえ。どうせ誕生会が始まったら分かる事だし。ほう、王子と王女は双子じゃないと。ということは同時期に別々に孕ませたって事か?お盛んすぎだろ国王様は。色狂いが頂点とかこの国やばいんじゃないの?ふ~ん、正室が王子で側室が王女を産んだと。なるほどな、それが逆なら非常に面倒くさい事になってただろう。ましてや両方王子だったりした日には血で血を洗う骨肉の争いが繰り広げられていたかもしれないな。その点うちは問題ない。後継はアレスで確定だからな!


 しかし王子と王女か。野郎どもは王女に群がるだろうからロイヤル獣っ娘の争奪戦は低くなるだろう。しかし王子とアレスがいるからロイヤル獣っ娘がそっちに流れる可能性は高い。いかにしてロイヤル獣っ娘の関心を引くかがポイントか。うーむ、この時ばかりは無能無才のレッテルが恨めしいな。ロイヤル獣っ娘はともかくその両親にとってはマイナス査定だろうし。


 適当な野郎に難癖付けてボコッて強さをアピールしたら興味持ってくれたりしないだろうか。獣人は強さこそが大事とか異世界あるあるだし。そうでなくともロイヤル獣っ娘にしつこく言い寄る害虫がいたりしてくれたら最高なんだが。めぼしい情報も聞けなさそうだしさっさと誕生会始まってくんねぇかな。



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 ようやく呼ばれて会場入りする事になったが、その前に陰険そうなおっさんと生意気そうなガキを連れた奴と遭遇した。なんだこいつら、こっちジロジロ見やがって。気色悪いな。どうやらこいつらがウェスタング侯爵とかいう奴とその息子らしいが俺にとってはどうでも良い情報だ。しばらくすると他のおっさんおばさん連中も合流して来た。こいつらが他の侯爵家の奴らか。しかし視線が鬱陶しい。気付かれないとでも思ってんのかこいつらは?


 全く…大人のこんな視線に晒され続ければ、ゲームのカティス君も歪んでしまうのは頷けるってもんよ。、悪役噛ませ貴族にもそうなるだけの理由があるって事だな。だがガワはともかく中身は転生者の俺にとっては関係ない。とはいえ鬱陶しい事に変わりはないからな。何かしら機会があれば報復してやるから覚悟しとけよ老害共が。



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 会場入りする事になったわけだが、結構な数の貴族連中が参加してるらしくロイヤル獣っ娘がいるかどうかの確認が全く取れない。ここにいる奴ら、どいつもこいつも国王に合わせて励んだわけか、必死だなこいつら。まあ王子と王女と同年齢ってのは労せずして成り上がるビッグチャンスだからな。運が良ければ王子や王女の従者として取り立てられる可能性もあるだろうし。しかしまじで視線が鬱陶しい。早くロイヤル獣っ娘に会って癒されたいぜ…



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 国王が王子と王女を連れて入場してくる。こんな奴らに臣下の礼など取る必要は俺にはないが、ロイヤル獣っ娘と会う前に波風を立てる必要もないだろう。大人しく周りに倣って形だけ礼を取る。しかし…無いとは思ってたがやはり王女は獣っ娘じゃなかったな。ワンチャン期待してたんだが。もうこいつらに用はない。さっさとロイヤル獣っ娘を探しに行かせて欲しいんだが。


 とっとと話し終われや国王、長いんだよ話が。お前の国なんざどうなっても構わねえから。繫栄とか力を合わせるとかどうでも良いわ。あまりのつまらなさに欠伸が出る。ピクッと国王の眉が動いた気がするが、まあ気のせいだろう。そうじゃないとしても子どもの前でそんな長話してるお前が悪い。面倒くせえなと姿勢を崩す。護衛の近衛騎士っぽい奴らが俺を睨むが知った事か。同じ姿勢を何時までも取らせてんじゃねえよ。せめて座らせろや。子どもに対する配慮ってやつがねえのかよこいつら。


 他の奴らはどうしてるんだろうなと周りを見みてみるが、どいつもこいつも畏まって話を聞いた振りしてやがる。後ろを見たらギョッとしたおっさんと子どもと目が合った。どいつもこいつも優等生だな。俺には真似できねえわ。正面に向き直ると近衛騎士っぽい奴らがこいつまじかって顔して見てくるが、俺はお前らの正気を疑ってるよ。偶々俺が目立つだけで後ろの方にいる子どもも似たような態度取ってんだろうに。ったく、最前列にいるだけでとんだとばっちりだぜ。


 最後に国王が、せっかくの機会だから子どもたちは身分の差関係なく仲を深めて欲しいと言って締め括り、中身のないくだらない話が終了した。ったく、無駄に時間かけやがって…中身のない無駄話を長く続けるのは、自分が偉いと周囲にマウント取るしか能のない無能の証明だってのにな。


 王子と王女の祝福の儀は最後にするとか言ってたがどうでも良いわ。所詮は屑神と狂会の仕組んだ狂言だろうし。それよりもさっさとロイヤル獣っ娘を探さなければ!国王に唯一褒める所があるとすれば無礼講って言ってた事だな。つまりお茶目で尻尾触るくらいなら許されるって事だよな!?



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 は?まだなんかあるのか?国王に会って挨拶?王子と王女に誕生日のお祝い?そんなのどうでもいいんだが。勝手にアレス連れてやってくりゃいいだろ。向こうのお目当てもどうせアレスだろうし。俺も来いって?面倒くせえな…適当に挨拶してボケッと突っ立っとけばいいか。王子と王女にお祝いを述べる両親とアレス。俺も自分の名前だけ言って後は何を言われようがガン無視だ。何故ならこんな奴らはどうでもいいからだ。礼儀と言うのは礼を尽くすに値する相手に取るものであって、強制されるものではない。今現在、こいつらに礼を取る必要は感じられない。


 王族だか貴族だか知らないが、元を辿ればこいつらの祖先は人殺しが他より得意な精神異常者ども。礼どころかむしろ蔑まれて当然の奴らなわけだし。それを何を勘違いしたのか自分たちは偉いだの高貴な血だの寝言を言い出した挙句、逆らう奴は殺して黙らせてきただけのゴミ屑どもだ。むしろ貴族として位が高い程下賤な血と言っても過言ではない。そして貴族は貴族同士で婚姻関係を結ぶわけだから、下賤な血は濁る事はあっても澄むことはない。こいつらの本質はそこらの盗賊と変わらない。違うのは上手い事やって周りを黙らせることが出来たかどうかだけ。


 それに血がどうこう言うのなら俺に比べたら他の奴らの血などドブに流れる汚水に等しい。こちとら転生者様だぞ?俺より希少な血なんてあるわけねえだろ!そんなに血を貴ぶなら貴様ら全員俺に土下座でへりくだってろや。こいつらは貴族として見るなら下賤な血を高貴と偽る犯罪者の子孫、人として見るなら子ども相手にマウントを取って礼儀を強要する屑。どちらにしても俺が礼を取る必要はないのだ。国王は顔が心なしか引き攣り、王子王女は反応に困ったのかソワソワしている。護衛の近衛っぽい奴らは人を殺しそうな目で俺を見てるが、そもそも国王が無礼講だって言ってただろうが。俺が文句を言われる筋合いはねえよ。



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 ふ…ふ…ふざけんなボケがぁぁああああ!!!ロイヤル獣っ娘どころか獣人一人いねえじゃねえか!!!こんな所に居られるか!俺は帰らせてもらう!!

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