第10話 閃いちゃいました!

 食事の空気がまじ重いんだが。なんでこいつらこんな暗い顔してんだよ。朝飯くらい気軽に食わせてくれよ。飯食うのが数少ない楽しみだってのにこれじゃ気が滅入るぜ。


 …は?二カ月後の王子と王女の祝福の儀に参加しろだって?ふざけんじゃねえよボケが!んなもん出るわけねえだろうが!!何が悲しくて顔も知らないガキの誕生日会に出席しなきゃいけねぇんだよ!それも狂会絡みのよぉ!!寝言は寝て言えやクソボケ国王が!!そんなもんに出る位なら家でゴロゴロしてた方が億倍マシだわ。王命なんて知るか。不参加決定だそんなも…いや、待てよ?考えようによっちゃありなんじゃねえか?いや、あり寄りのあり、大ありだ!!


 王子と王女なんてどうでもいいが、おそらく貴族連中も大量に出席するだろう。同年齢の子どもを連れてな。つまりだ。ロイヤル獣っ娘と出会えるチャンスなんじゃねえの!?街中にいる獣っ娘はともかく、貴族の獣っ娘と出会えるチャンスなんてそうそうねえからな。領地離れる事なんて滅多にないだろうし、交流自体ないからな。


 これを機に俺のお眼鏡に叶う獣っ娘にツバ付けとくのもありなんじゃないか?それにあわよくば尻尾をもふもふ出来るかもしれない。大人の獣っ娘と違ってロリ獣っ娘ならガードも緩いかもしれないし。ワンチャンどころかテンチャンくらいあるんじゃないか?いける…いけるぞ!!下手したら責任を取れと言われるかもしれんが、俺が強引にでももふもふしたい獣っ娘とならむしろ望む所だ!!


 覚悟はいいか?俺は出来てる!!ついでに国王に言質取らせりゃ完璧だろ。流石に貴族なら国王を前にして聞いてない言ってないは通用しないだろうしな。ふははは!

やばいぜテンション上がって来たぜ!まだ見ぬ獣っ娘が王都で俺を待っている!!



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 二カ月後の王都行きの前に、やっておかなければならない事がある。そう、自衛と攻撃手段の確立である。本命はロイヤル獣っ娘との出会いだが、他にもやるべき事がある事に気付いたのだ。そう、王都でその辺の衛兵辺りに難癖つけて戦闘レベルを把握しよう作戦である。


 旅の恥は掻き捨てっていうからな。わざわざ住んでる所を離れて王都まで行くんだ。俺の魔法の実験台になってもらうくらいの事はして貰わないとな。世間では無能無才で通ってるわけだし、誰も俺が犯人だなんて思わないだろうし。犯罪はバレなければ犯罪じゃない。つまりこれは犯罪じゃない。殺すつもりはないしな。むしろ衛兵共は自身の無力さを恥じてより高みを目指して訓練するだろうから防衛力も上がるわけで、両者に得しかない。なんなら俺に感謝して欲しい位だぜ。


 現状魔法に関して重要な事は一つ。どうやら神を殺すだの、神を滅ぼすだのといった言葉を使うと発動しにくいという事。する事はするが気絶するんだよな。つまりそういった神に仇なすワードが禁句的な扱いになっているわけだ。そして他の魔法と違って幾ら頭の中で思っても発動しない。つまり無詠唱が出来ない。直接口に出す必要があり、しかも軽い気持ちで言っても意味がない。万感の想いを籠めて祈ら呪わないと発動しない。


 この事が分かったお陰で、なんで今まで魔法が発動しなかったのかが分かった。今まではずっと頭の中で神死ねとか思いながら魔法を使おうとしてたからだ。そりゃ発動するわけねえわな。でもそのお陰でこの世界に神が実在する事も実感できた。でなきゃ神に仇なすワードが禁句的な扱いになるわけがない。逆を言えば神をヨイショすれば効率的に魔法を使えるという事で、それがこの世界の奴らが使ってる魔法なんだろうが俺には関係ないからどうでも良い。


 つまり神を殺す時、俺と神どもで魔法の主導権争いの綱引きをするという事だ。俺の祈り呪いが屑神どもを上回った時、神殺しの魔法が発動する。とはいえ現状では気絶する上に塀に細い亀裂を走らせる程度でしか上回れていない。これではとてもじゃないが神なんて殺せない。せめて山一つ吹き飛ばすくらいの威力は欲しい。神殺しはまだまだ遠いな。まあ簡単に上回れるようじゃ面白くない。神を殺す前に狂会滅ぼす方が先になりそうだな。

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