第5話 ありきたりな祝福の儀

 5歳の誕生日。どうやらこの世界で5歳になるってのは非常に重要な事らしい。なんでも5歳になったらどんな子でも、教会に行って祝福の儀ってのを受けるんだと。

あれだな、俗にいう教会利権ってやつだ。祝福の儀ってのを受ける事で魔法の才能やどんな魔法が使えるか判別できるらしいから、それを一手に担っている教会とやらの権威はこの国では滅茶苦茶高いだろうな。


 聖職者は性職者って言われるくらい屑揃いなんだから、そんな奴らに個人情報漏らすとか頭おかしいとしか思えないんだが。どうせ回復魔法や光魔法を使える奴は教会で強制的に囲ったりしてるんだろ?まじ屑揃いで笑えないわ。協会じゃなくて狂会の間違いだろ。どんな神を崇めてるのか知らないがどうせ碌なもんじゃねえだろ。まともな神様なら俺がこんな不遇な立場でいるのを見過ごしたりするわけないし。


 神様に会った事がないとはいえ、転生者と言えばぶっちゃけ神様の使徒みたいなもんだろ?その使徒を放っておくばかりか窮状を助けたりもしないとか邪神確定待ったなし。もしこの世界に魔王なんて存在がいるとしたら、協力して一緒に神様ぶっ殺しちゃおうかな!俺はこの人生、好き勝手に生きるつもりだけど神殺しをライフワークにするつもりだからな。人の恨みは神にも届くって証明してやんよ!!

 

 狂会に行く道すがら、半ば家に監禁状態だった俺は初めてといっても過言ではない街並みを見たわけだが、間違いない、これナーロッパですわ。まあ未だに剣やら振り回してる野蛮人の集まりがいるんだし当然か。これもしかしなくても知識チートやれちゃうんじゃ?いや、そもそもそんな知識俺持ってねえから無理だな。石灰撒いて土壌改良とか俺には全く関係ないし。そもそも石灰なんてどこにあるんだよ。黒色火薬?そもそも便所で硝石集めるなんてしたくないわ。銃の仕組みなんてさっぱりだし。そもそも魔法があれば銃なんていらんでしょ。大人が全力で振り下ろした剣が防げれば弾だって防げるだろ。


 ナーロッパが確定した以上、ワクワクが止まらないぜ!魔法と獣っ娘が未知なる世界で俺を待っている!いやー楽しみだなぁ。早く出奔したいなぁ。後2年か…祝福の儀の結果次第では早まるか?なんせ今までやる事ないから頑張ってきたもんな!その結果が今日報われるわけか。いやー、千年に一人の伝説の勇者様とか言われたらどうすっかな?なんか手に輝く紋章が現れちゃったりして?救世主様とか崇められたり?

そしたらとりあえず狂会潰すのを条件に多少は手を貸してやるのも吝かじゃないな。

宗教なんてのは万害あって一利なし。あんな犯罪組織は須らく滅べばいいのだ。



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 はあ!?属性なし魔力なしの不能者って言われたんだが!?おまけに鑑定に使ってた石っぽいのがぶっ壊れて俺のせいにされたんだが!?何が神に見放された哀れな存在だ!!ふざけんじゃねえぞ!!魔力なんざ腐るほどあるだろうが!!てめぇらの目は節穴通り越して抉れてんのか?お前ら全員俺の絶許リストに載ったからな。まじ覚悟しとけよ。中世の農民なんざ、踊らされるだけの無知蒙昧な愚民しかいないだろうから許してやるが、狂会の連中ども。お前らは絶対許さねぇ。この世界から存在丸ごと消滅させてやるからな!!

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