第十話 堕落の後に
底なし沼と言っても、どこかで底に行き着くはずだ。
でも心の底なし沼は、本当に底がない。
どこまでも堕ちて行く。
今、その心の底なし沼に堕ち掛けてる。
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僕は、転校生の少女の家に、プリントと給食のパンと苺ヨーグルトを、届けに来ていた。
学校を休んだ少女の家が、僕の家の近所だからだ。
・・・と言っても、かなり遠い。
僕の家も、山奥なのだが、彼女の家はさらに山奥だった。
少女の家は、ペンションの様なログハウスで、あまり生活感はなかった。
鉄製の鹿のドアノックでノックをすると、木のドアを叩く重厚で心地いい音がした。
出てきたのは、赤のギンガムチェックのバンダナを頭に巻いた高校生くらいの女子。
お姉さんだろうか?
あまり似てないけど。
その女子が着ている白いTシャツには、
「じろじろ見ないで!」とプリントされてた。
行き成り拒絶されたみたい。。。
「あの、数学のプリントと、給食のパンと苺ヨーグルトを持って来ました」
「あ・・・りっちゃんのお友達・・どうぞ、入って」
Tシャツの台詞と違って、優しそうな声だ。
僕は、誘われるままに、家に入った。
家の中は、ペンションそのものだった。
多分、ペンションとして建てられた物件を、そのまま住居にしてるんだろう。
そのペンションのラウンジで、少女は、藍色のかなり大きなバスタオルに包まって、大画面のテレビでゲームをしていた。
「りっちゃん、お友達よ」
少女は、僕に気づくと、自分の露になっていた白い太ももを見て、そして、ぼくを見て微笑んだ。まだ髪が濡れてるから、風呂上りかも知れない。
「あの・・・数学のプリントと・・・」
僕の言葉に、少女は
「あ、あ・・・・ありがと」
と小声で言った。
顔色は良さそうだ。
ちょっとホッとした僕の後ろで、
「りっちゃんの彼氏ー?」
振り返ると、半裸の女が!
白いコットンのシャツにローライズの黒いショートパンツ。
シャツはノースリーブスで、さらに背中は空いてて、胸はノーブラ、ローライズのショートパンツからは、お尻見えてるし・・・。
シャツのボタンは1つしか着けてない。
色彩的には、清潔感はあるけど、一言で言うなら半裸。
そして、その清潔感&開放感とは対照的に、太ももには拳銃ホルダーと拳銃が装備されてた。
「この人、私を監視している、どこかの捜査官」
少女がそう説明した。
「監視している?」
「私のお兄ちゃんが、とある密売ルートのボスだから、妹の私を監視してるの」
今、かなり衝撃的な事をさらりと言ったけど、でもそれより僕の関心は・・・
「なぜ半裸?」
「おとり捜査中だからだって」
「おとり捜査中だと半裸なの?」
半裸の女捜査官は、
「わたしは半裸捜査官だからね。おとりに関わらず、捜査中はいつも半裸よ」
冗談なのか本気なのかは解らなかった。
「そもそも、おとり捜査ってって言っちゃってもいいんですか?」
「世の中ってのはね、見えそうで見えない所に、おとりの罠が仕掛けてあるのよ。
だからおとりと言ってる事自体、おとりかも知れないの」
そう言った半裸捜査官の使命感の宿った瞳は、少女を監視していると言うより、守っている感があった。
その為の、おとりなのかも知れない。
「で、さっきの女子高生が、お兄ちゃんの元彼女。
お兄ちゃんが抗争とかで危ないから、こっちに避難してきてるの」
「元じゃない現役の彼女!」
キッチンの方から抗議の声が上がった。
でも、僕はそれどころじゃなかった。
だって半裸の美人捜査官が、僕を弄ってたから・・・。
その僕の背後で、少女が囁いた。
「私以外で元気になったら、パンツに変身させて、ぼろ雑巾になるまで履きまくってやるから」
パンツに変身させて・・・履きまくってやる!?
そ・・それは罰ですか!言い方は罰だけど・・・
全然、罰になってないけど・・・罰なんですね!
でも、そんな変態行為されて、僕の精神は維持できるのか?
僕の僕としての誇りは、維持できるのか?
それは底なしの堕落を意味するんじゃないか?
可愛い彼女に履かれるなら、そりゃ嬉しいさ、でも!
履きまくられて、ボロボロになった僕は、もう以前の僕じゃないだろう。
人として・・・・
「りっちゃんの彼氏君、可愛いね・・・・・私が男にしてあげようか?」
半裸捜査官の言葉に、僕は油断してしまった。
「アウト!」
少女の判定が下った。
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眩しい・・・ここは何処だ?
気がつくと僕は、洗濯竿に干されていた。
僕の姿形は水色のパンツ・・・・リボンのついた可愛いパンツ
ん!!と言う事は・・・履かれてた。
なんて事だ!
僕は堕落の変態底なし沼へと堕ちてしまったのか!
もう僕は、這い上がれない。
もがいた所で、水色の可愛いパンツになってしまった僕に、人を語る資格はない。
・・・と嘆く反面、
僕の心の一面は嬉々としていたのも事実だ。
まさに堕落だ。
可愛い少女のパンツに・・・ニヤニヤ。
ん!?あっ、記憶が消されてる。
履かれた時の記憶を消されてる。
なんて事だ!恥ずかしがり屋さんなんだから。。。
でも、彼女の身体を包んでいた感触は、僅かに残っているようないない様な。
大切な人の大切な場所を包んでいた感触。
乾いた僕は、女子高生に畳まれ、少女の箪笥の中に仕舞われた。
箪笥の中には、少女のパンツやブラが入っていた。
新入りの僕に、桃色のブラ先輩が話しかけてきた。
「彼女の身体を優しく包んであげる。
それが私達の仕事。私はこの仕事を誇りに思ってるの。
あなたも人間の男として、彼女を優しく包んであげるのよ」
桃色のブラ先輩は、そう言ったけど、
僕に出来るだろうか?
自信はないけど。
1章 転校生の少女 完
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