第36話 好敵手


投稿が遅れて申し訳ございません。


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オレの目の前には、黒目に腰まで伸びた艶やかな黒髪の少女がいた。

その子は次の対戦相手であり、すでに試合場に立っていた。


彼女の服装はジャージや私服ではなく、狩衣かりぎぬを着ていた。

それはまるで――。


「お、陰陽師……」

「ん? へぇー、君……」


この世界は異能が発展した世界で、授業で習ったには陰陽師はない。

大昔に神道があるのだが、それは陰陽師ではなく巫女として描かれている。

つまり、彼女は。


「陰陽師を知ってるって君は何者なのかな?」

「ただの異闘初心者だよ」

「そう……。 僕はたった今、君のことが気になったよ」

「あ、ありがとう」

「僕はね、この女性誰もが特異な力を持って、それを振るう場所があることが嬉しいんだ」

「それは分かる。 オレも小さい頃から異闘に興味があったから」

「君とは気が合いそうだ」

「オレもそんな気がするよ」

「では友達の君に聞くけど、なぜこの姿を見て陰陽師と連想したのかな? 普通は巫女って勘違いすると思うけど」

「そ、それは……」

「もしかして君は……別世界の住民かな?」


迂闊だった。

オレの呟き一つで正体がばれる。

もしオレが元男とあの二人にバレたら、人生が破滅する。


「僕はね、星詠みが出来るんだ。 例えば、君の内にあるオーラが僕と同じ色を持っている。 これは今まで出会ったこの世界の住民とは違うが視える」

「占星術はただの占いでしょ、そんなこと分かるわけ……」

「それに君には他の色も視える。 僕よりも不思議だ」


彼女が語っている時の瞳は、まるで本当に内側を見られている感覚になる。


「もしかしてあなたの異能は、魔眼とか?」

「魔眼? よく分からないが、少なくとも心眼の類ではないよ、ふふ」


先程から興味津々で見ている彼女と対話をしていると、試合時間が迫って来た。

審判がオレ達の間に入り、開始の合図をする。


「さて、始めようか」


彼女は右手で懐から鉄扇を取り出して広げて、左手で粉らしき物が降る。

その姿はまるで神楽を舞う様に動く。


「この試合が終わってから、じっくりと話そうか」

「そうだね。 今は――」

「「この時間戦闘を楽しもう!」」


オレは折り畳んだ警棒を展開して、そのまま触手の媒体として発動する。

触手を突くように真っすぐに伸びる。

それに対して彼女は、先程降っていた粉を鉄扇でオレの方へ扇ぐ。

浮遊した粉が触手と衝突して、火花が舞う。

すると、そこから爆発が起こる。


「君の実力を測らせてもらうよ!」


爆発により発生した炎が蛇のように左右に揺らぐ。

それはまるで、操っているかのように。


彼女が鉄扇で扇ぐと、炎がそのままオレに向かって迫ってくる。

それを対処するために、不燃性の粘液をシールドのように目の前で生成する。


両者が衝突して、鎮火に成功する。


「やるね、君。 この炎に対抗できるのは君が初めてだよ」

「オレもこんな殺傷性が高い攻撃をされたの初めてだよ」


二人は自然と口角が緩んでしまう。

心の底から好敵手を見つけたかのように。


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あとがき


やっと、このキャラを出せた!って感じです。

次回から二人の戦いが始まります!


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