第34話 お昼休憩

試合が終わり、1階から観客席がある2階へ向かおうと会場を出ようとしたところ友達の声が聞こえた。


「やっほ~、ゆりっち~」


扉の近くでヒラヒラと手を振り、オレのことを待っててくれた。


「おつかれ~、すごい試合だったね!」

「そっちもお疲れ様。 オレの試合を見たって、縁は早く試合が着いたんだね」

「うん。 ……何か勝っちゃった」

「その曖昧な感じが引っ掛かるけど、勝ったならもっと喜んだら?」

「だよね。 ゆりっちやすずかっちみたいに死闘をして勝ったわけじゃないから素直に喜べなくて……」

「まぁ対戦相手はランダムだし、そういうこともあるじゃない?」

「あははー、二人共強い相手しか当たらないから不運なんだね」

「まったくだよ」


会場から出て廊下にある自動販売機でスポーツドリンクを買い、水分補給を行う。


「ふぅ……。 試合後のスポドリは沁みるねぇ」

「がぶがぶ飲むとすぐに喉が渇くよ」

「あぁ、そう言えば涼香はまだ試合?」

「たぶん? すずかっちも死闘してたけど、あの子なら勝てると思ったからゆりっちの方へ応援に行ったの」

「それってオレが負けると思ったからなのか……」

「はは……」


二人で近くのベンチに座って少し休憩した後、涼香も試合場に向かうことになった。

フェイスタオルを首に巻き、汗を拭きながら会場を歩き回っていると、近くの試合場から爆発音が聞こえた。

その音に反応して、二人が振り向くと火柱が立っていた。


「またあの爆発……」

「またって……?」

「前回の時も似たような光景を見たからね、つい思い出しちゃった」

「そうなんだ。 もしかしたら、その人が出場してるのかな」

「かもね。 もしかしたら、当たるかも知れないね」

「なーんか、強キャラ感出してる?」

「ふふふ、なんか意味深みたいなセリフを言いたかっただけ」







目的の試合場に着くと、すでに試合が終わっていて涼香が汗を拭いていた。


「お疲れ、涼香」

「おつかれ~、すずかっち!」

「ふぅ……。 あっ! ゆりちゃん、縁!」


涼香はオレを見るなり、瞳を輝かせてこちらに向かって走ろうとするが、さっきまでの疲労のためか足に力が入らずに床に手を付けてしまった。


「っ! 大丈夫か、涼香?」

「ええ、ってゆりちゃんが近いっ!?」


オレは心配してすぐに涼香の元に駆け寄り、立てるように支える。


「待って、ゆりちゃん。 丁度試合が終わってまだ汗とか道着の臭いが……」

「何言ってるのさ、まずは休憩して体力を戻さないと。 それに匂いは努力の勲章だから離れたりしないよ」

「ゆりちゃん……」

「はよ、いこ! すずかっち。 フードコートの席が埋まっちゃうよ!」

「はぁ~い」


これから少し早めの昼食を取るために一階にある飲食店が並ぶフードコートに向かう。

フードコートに着くと、選手やその観戦者の人で席が埋まっていた。


「人多いね~、席空いてるかな?」

「ねー。 あっ、外のテラスが解放してるみたいよ」

「じゃあ、テラスで食べるか。 少し肌寒いけど……」

「OK! アタシ、先に席取ってるね~」

「あぁ、よろしくって、ちょっと待って、縁は何か食いたいのある?」

「そうだったね、んー、味噌カツ定食で!」

「分かった、縁の分も買っとくよ」

「ありがとう~!」


ここでは食券機で先払いをして、券を飲食店に渡すとそのメニューを作ってくれる。

オレ達は近くにある食券機で豚骨ラーメンセット、焼き魚定食、味噌カツ定食を買う。


「今日は炭水化物が多いね」

「この後も試合出るんだし、食いたくなってね」

「たしかにエネルギーを凄く使うからねぇ、でも野菜も頼んで栄養バランスを考えてね?」

「お、おう。 そうするよ」


涼香の威圧に負けて、この後単品でサラダを頼んだ。

料理が出来上がりトレイを持ち運び、外のテラスへ向かう。


「おまたせ、縁」

「ありがとう~ゆりっち! わぁ~、いい匂いで美味そうだね」

「だね、メニュー表の写真と比べて結構ボリュームがある」

「そうだね、私も料理を取る時、驚いたよ」

「では、「「いただきます!」」」


テラスで外を眺めながら、談笑して楽しく食事を取る、一時の休憩。

食べ終わったら、再びデバイスでマッチングをした。


-------------------------------------------

あとがき


3人が選んだ昼食のメニューは、

豚骨ラーメンセットは、優里香。

焼き魚定食は、涼香。

味噌カツ定食は、縁です。


3人の好みは、

優里香は結構味が濃い目の料理が好きです。

涼香は和食が好みで、朝食はよく魚を食べています。

縁は気分的選んでいるので好みの偏りはあまりない印象です。


作者のモチベの向上のため、「♡」、「★」と応援コメントを気軽にお願いしますm(_ _)m

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る