第29話 縁の初陣?

新年明けましておめでとうございます。

今年も頑張って投稿していきますので、どうかよろしくお願いします!


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オレ達は現在、隣市にある貸出可能な市が運営している体育館に来ていた。

ここでビギナークラスの正式試合が出来る。


入口には多くのビギナークラスと思われる少女達が入ってくるのを眺めていた。


「縁、緊張してきた?」

「緊張しないほうが可笑しいでしょ……」

「見て、ちらほら自信に満ち溢れている子がいるわね」

「それは手強そうなライバルかも」

「今回も苦戦間違いないね」

「縁も先輩挑戦者の洗礼を受けない様に、ランダムマッチは祈まないと」

「そうね、戦闘経験によるアドバンテージ大きいもの、試合で心が折れるかも」

「でも、前回は二人共勝ったんでしょ?」

「まぁ、二人共ギリギリだけどね」


オレと涼香は前回の初陣の時を思い出していた。

すでに勝者の実績を持った対戦相手は戦い方に迷いがないため、手探り状態の初心者にとって厳しい。


「さて、オレ達も行こうか」

「だね」

「よし。 が、がんばるぞー」


三人はさっさと、建物に入り受付を済ませる。

初挑戦である縁は受付時にデバイスを受け取り、子供がおもちゃを買ってもらったようなテンションで操作をしてデバイスの機能を把握していく。

道着に着替え終わった三人はデバイス機能のランダムマッチをして、対戦相手を探す。

しばらく経つと、「ピコンっ」とデバイスが鳴る。


「みんな丁度、試合が決まったようだね」

「同時だもんね」

「すごいタイミングだった」


デバイスにはそれぞれの対戦相手のプロフィールが見れた。

お互いに対戦相手ではないことに安堵をして、それぞれの会場へと向かい始める。









―side 猫宮 縁


アタシは猫宮縁。

友達のゆりっちの影響で異闘を始めて、道場に通うようになった。

以前から運動を得意の方だったため、夏の引退までテニス部に所属をしていた。

だが、結果が上手く残せずに終わったため熱が冷めたところに、異能を授かることで異闘の方に興味が移る。

そこからは、3人で道場に通うになり武術を学んでいく。


幸いにも、アタシの異能は習っている武術を活かせる異能だったため、組手ではそれなりに熟せた。

だけど、ここ最近にゆりっちとすずかっちが大会に出場したことで異能が覚醒して、組手では勝てづらくなってしまった。

まだ武術を習いたてで真面に戦えるか分からないけど、二人から離れない様に今回の大会の参加を決意した。


試合場に着くと、アタシの対戦相手である少女も同時に姿を現す。

アタシよりもやや背が低く、長い黒髪を後ろに束ねてポニーテールにしている。


「よろしくお願いします!」

「こ、こちらこそよろしくお願いします!」


目が合うと、先に挨拶をされたので返す。

その後は、アタシは組手用ではなく異闘の試合のために用意した武具である籠手ガントレットを装着する。

お互いにメーターを胸に着けた後、審判からの挨拶をして試合が開始された。


開始と同時に異能を発動する。

猫耳を生やして戦闘態勢を取り、手を構える。

少女は両手を横に広げると、それが漆黒の翼に変化する。

どうやら、少女も身体変化系で動物に変化する異能みたいだ。


少女は両手で羽ばたき、どういう原理か宙に浮いていた。


「いくよ」

「……ん」


飛行状態の彼女から先制攻撃を仕掛けてきた。

跳ぶ速度は中々速いが、猫の目によって動きを捉えることは容易だった。


少女が目の前まで飛ぶと、顔が変形して口が鴉の漆黒で太いくちばしとなり連続で突いてくる。


「ふっ、これじゃあまるでキツツキみたいじゃない」

「……」


攻撃を避けながら、突いてくるタイミングに合わせて避けると同時に武術で習った拳で彼女の顳顬(こめかみ)を殴る。

それが上手く決まり彼女はそのままに地面に叩きつけられた。


メーターの減り具合は1.5割くらい。


顔面に直撃したことで、頭に発動していた異能が解かれて元の可愛らしい少女の顔に戻る。

それから、数秒経つが反応がない。

アタシは念のために腕を構えて、カウンターを狙う状態に体勢を整える。


「痛い……」

「えっと……、大丈夫?」


反応がないと思われた少女は目に涙を溢れさせて泣いてしまう。

一応声を掛けたが、無言のまま涙が止まらずに小鹿のように足を震わせながら翼を使って羽ばたき宙に浮く。


「これって戦闘続行だよね?」

「っんっ!」


今度は嘴を使った攻撃ではなく、飛行の速度を使った運動エネルギーを使った蹴りを繰り出すようになった。

さすがに分が悪いので、籠手でガードをしつつカウンターを決めようとしたところ、彼女に足に防具を付けていないため、素足による攻撃が硬い籠手に防がれたことで逆にダメージを追ってしまう。


「っ!? 痛いよぅ……」

「だ、大丈夫っ!? なんで足に防具付けてないの!?」


ダメージ負った足を抱えるために、床に降りた少女は蹲り試合を放棄した。

彼女は目に大量の涙が溜まっていたが、泣き言せずに立ち去ってしまい、アタシは初戦をノーダメージで勝ってしまった。


「ウソでしょ……」


さっきの少女はどう見ても、異能を2段階まで覚醒していた子のため、格上を倒したことになる。

あっと言う間の試合展開により、自分自身も呆然として試合場に立ってしまった。


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あとがき


縁ちゃんのガントレットによる無防備顔面パンチは痛すぎる。

攻撃を見切りながらカウンターを狙う縁ちゃんは強い?


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