第28話 試合が終わった後で

試合に勝利して、結界が閉じると戦闘の痕が元の通りになった。

握手をしようと彼女に寄ろうとするが、表情が涙目で睨んでいた。

それもそうだ。

魅了状態だったとはいえ、大勢の前で痴態を晒させたのだから。


「もうお嫁に行けないわぁ、あんた責任を取りなさいよぉ~っ!!」

「――なっ!?」


涙目で訴えながらオレに迫り、涼香は先程の発言に対して驚いていた。


「えーっと、すみません?」

「絶対に許さないからぁ~っ!!」


年上とは思えない程、目に涙を溜めて上目遣いで見つめてくる姿は子供の様だ。


「試合を見てたけど、さすがに擁護が出来ない内容だったよ……」

「涼香まで……。 あの子の技?を受けたと思ったら、途中で意識がなくなったから、どういう状況が分からないよ」


周りを見渡すと男性客は前屈みになりながらこの場から離れて、子連れの客は子供の目を手で隠してこの場が去っていく。

MCの方も呆然としている。

余程酷い試合だったと察してしまう。


「私をここまで恥かかせたことは絶対に許さない! 次はあなたを生まれたことを後悔するくらいにコテンパンにしてあげる。 精々、エリートクラスまで昇ってくることね、ふんっ」


彼女は去り際に威圧感のある睨みつけて俺向けて言い放つ。

目元の涙が残ってたのを見ると、ガチの様子。


彼女がステージ上から去った後は、涼香と縁から試合内容を聞いた。

まさか、成人向けの薄い本のようなことを彼女に対して行ったとなれば恨まれて当然だろう。

次会ったら心の底から謝ろう。


それから、三人でハロウィンイベントを堪能するために食べ歩きを再開する。









ハロウィンが終われば、次のイベントは文化祭だ。

ほぼ毎日、異能の修練のために文化祭で披露する芸の練習をしている。

現在は文化祭が近いため授業は準備としてLHRロングホームルームである。


オレは席の近くに立って、粘液生成で糸状の粘液を生成してそれを操りコマを動かす。


「ゆりちゃん前より上手くなったね」

「この糸って結構便利でね、日常生活にも使うようになってから練度が上がった気がするよ」


その糸は、目を薄めて注力してやっと認識できるほどの細さのため、戦闘でも頼れるほどの練度に仕上がっていた。


「この前の試合で実践してどうだった?」

「やっぱグローブがないと、実用性がない感じだね、罠で使うにも張りがでないし」

「次の異能解放まで我慢しないとね」

「単純に元の異能の強化が来れば戦いやすいし、来てほしいよ」


練習しながら、二人で会話していると猫耳を生やした縁が寄ってくる。


「ゆりっちは順調そうだね!」

「そっちはどう?」

「ウチはいい感じだよ。 ずっとジャグリングしてると、目や感覚に集中するのが疲れるから、今は休憩だね。 すずかっちは?」

「私は充分だからゆりちゃんとおしゃべり中だよ」

「失敗してもしらないよー?」

「ふふっ、最近は水の扱いに自信がついてるから大丈夫よ」

「そう言えば、今週に隣市で異闘の大会やるけど、縁は参加するの?」

「そうなんだ。 ウチも参加しようかな」

「おぉ! 縁のデビュー戦ね。 観戦は楽しみ!」

「武器を使った本気の縁ね」

「格闘だから普段の組手と変わらないよ思うけど……」


ということで、今週は三人で大会に出ることになった。


----------------------------------------------------

あとがき


来週は帰省するため、投稿できないためお休みします。

次回は異闘戦を書くつもりです。


作者のモチベの向上のため、「♡」、「★」と応援コメントを気軽にお願いしますm(_ _)m

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る