第20話 新たな異能の使い方

鑑定屋で第二の異能が判明した後、オレ達はレストランで間食をとっていた。

オレはガトーショコラケーキと抹茶ミルクを頼み、涼香は桃タルトとミルクティーを頼んでゆっくりと休憩していた。


「ショコラ、んまー♪」

「ふふっ、ゆりちゃんって本当に甘党だよね。 前もチョコ系を頼んでたよね」

「甘いものには、全てを浄化するものだよ。 涼香も食べてみる?」

「っ! ゆりちゃんの欲しいな?」


涼香は瞼を閉じて、口を大きく開けて待っている。


「そんなに期待して、そんなに嬉しいの? はい、あーん」

「あーん、あむ」


フォークで一口サイズに切ったケーキを涼香の口に運ぶ。


「んー♪ チョコ味が濃厚で甘さと苦さの味覚を感じる」

「だよねー」

「それに、ゆりちゃんとの間接キスが出来て満足」

「ん? お、おう」


満足そうにゆっくりと味わっている涼香を見て、間接キスの件はどうでもよくなった。


「これ食べ終わったらどうしよっか?」

「新たな異能が気になるし、試運転してみたい」

「だったら、公園とか広いとこに行く?」

「そうだね、現象系の異能みたいだし迷惑が掛からないとこがいいかな。 道場だと多少狭いと思うし」

「よし、決まったことだし、さっさと食べちゃお」


スイーツとドリンクを美味しく頂いた後、会計を済ます。

その後、二人で交通機関を使って、広めの公園に向かう。









公園に着くと、自然豊かな樹木が広がっている自然公園だ。

周りには人が少なく、居たとしてもハイキングを楽しんでいる者達だけだ。


「ここは無料で入園できる観光スポットの自然公園だよ」

「広いね! 観光シーズンじゃないから、人が少なくて丁度いいね!」

「さて、まずはゆりちゃんの異能を確かめてみよう!」

「そうだね。 でも、どうやって発動するんだ? 物質操作なら触れている媒体に念じれば発動するけど……」

「私の場合は、こんな水が欲しいと願うと生成されるよ?」

「そうなのか。 試すか」


粘液生成の異能は、どんな粘液物質を作成できるみたいだが、どこからどこまでの範囲で生成出来るか分からない。

とりあえず、身近の粘液であるローションをイメージしてみる。

しかし、何も起きなかった。


「あれ? 生成できない?」

「ほんとだね。 まずは何をそして、どこに生成するのか決めないとね」

「生成範囲が狭いから、手の平に決めてみるよ」

「いいと思うよ。 でも何を生成するの?」

「うーん……」


さすがに保健体育で性知識をすでに学んでいるので、主な使い道が分かってしまう。

なので、ローションって言ったら引かれそうだな。

何を生成すればいいのであろう。


「やっぱりここは定番のスライムかな?」

「スライム?」

「うん、それしか今は思いつかない」


手の平を椀の形にして、その中にスライムを生み出すように念じる。

すると、ドロドロとスライムが手の平に溜まっていく。


「見てみて、涼香! スライムが生成されたっ!」

「本当だ! 良かった、無事に異能が発動したね」

「うん。 あとはこれを戦闘で活かせないと」

「私の水生成とは違って、ゆりちゃんのその異能は粘性の高い液体なら何でも生成出来ると思うから、粘着シートみたいな動きの阻害するのはどう?」

「なるほどね」


涼香のアドバイス通りに粘着性の高い液体をイメージして、手の平に生成してみる。

ベタベタな液体が出たが、手に引っ付いて意味がなかった。


「これってどうやって能力を解除するの?」

「生成系の異能は、解除できないよ? 生成したら、そのままだよ」

「えっ……、じゃあこれはどうするの?」


試しに生成された液体により、手がベタベタとなっているのを涼香に見せる。


「大丈夫よ。 私の水で洗ってあげるわ」

「ありがとう、涼香。助かるよ」


涼香によって生成された水は以前よりも勢いが強く出る。

彼女が言うには、今回のレベルアップにより水生成の異能が強化されて、生成される量と勢いが強くなり、それを最大値まで自由に調整出来るみたい。

なので、この状況ではホースで水を放出している程度の威力に抑えて、水を出してもらいオレの手を洗う。


「涼香の水って便利だなぁ」

「でしょー! 水が欲しくなったらいつでも頼ってね」

「うん。 粘液生成の修行する際は手を洗うのに重宝すると思うから、お願いね」

「りょーかい!」


この異能は、触手を操作してるよりも体力と集中力が消耗が激しかった。

そのため、夕日が昇えい始めるくらいにこの練習を切り上げるまで練習が続く。


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